トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

映画「母べえ」観ました

2008-09-22 02:31:34 | 映画
 日曜の午後は、山田洋次監督の「母べえ」のホール上映に行ってきました。こうした作品の事をよく言わないが人がいますね。評論家でも、テーマが反戦とか平和に関するものだと、全く評価しない人がいます。戦争を行うのはどっちの国にも事情があって、一概に善悪は問えないだとか、メッセージ性の強いものは感覚的に合わないとか、要するに映画評論の私小説化か、判断停止なんですね。評論を感覚だけでする人も、評論家の名に値いないようです。評論を職業にする人にそういう人がいるから、おいら達、鑑賞者としての一般人にも、変な事を言う人がいても不思議はないわけです。この作品を見て、「父べえ」は自分の思想のために家族を不幸にしたから父親失格などとコメントをする人がいました。要するに、自分の信念なんか捨ててしまって、長いものには巻かれろと言っているわけです。こういう人が多くなった状態が、戦争への道をたやすくしたんでしょうね。元ネット右翼の青年が、以前は戦時中に弾圧された人がいたのは、国家を転覆しようとしていたのだから、当然だと信じていたいうことを何かに書いていたのを思い出しました。
 映画の世界にも右傾化の傾向が続いていました。そうした中で、このような作品を作ったことは十分評価できると思います。
 野上家の不幸は、決して自己責任ではない。日本という国に問題があったんだ。そう思います。今の世の中にも、日中戦争に始まる日本の戦争を正当化しようとする人が少なからずいます。彼らは、大方、現在の隣国を非難することを常としています。しかし、当時の日本は、まさに彼らが批判している独裁国家と同じ構造を持っていたことには言及しません。神話を史実として教えて、非合理な考えの下、思想・信条・信仰の自由もない社会が当時の日本でした。御真影に向かって紀元節の歌を歌ったり、どこかの独裁国家そっくりの事が行われていました。
 奈良のおじさんは、初めは嫌な人物に思えましたが、当時の風潮に合わないことをちゃんと体現していたようでした。映画ですから、現実とは違う脚色がなされていますが、当時の様子を丁寧に描いています。食糧不足の折にも、警察関係の旅館には肉がたくさんあったりするわけです。
 今回もこの作品を観て思ったのですが、治安維持法の名の下に思想犯の弾圧・拷問・リンチを行った特高(特別高等警察)に対する、日本人自身による責任追及は何故なされなかったのかということです。戦争責任全般に対してもです。ムッソリーニがパルチザンによって銃殺され逆さ吊りにされたようなことはありませんでした。もちろん、リンチが推奨されるわけではありませんが、東郷らに対して日本人からの断罪はなされていない、そんな事が現代の「戦争論」に尾を引く大きな原因になっています。横浜事件の決着も被害者にとっては未だについていません。
 小林多喜二を虐殺した特高の関係者も、一時は公職追放されましたが、その後は教育委員長になったり、右翼になったり、レストランの経営者になったして、普通の生活を送って天寿を全うしています。このあいまいさが、未だに日本には続いているようです。
 


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2 コメント

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母べえ~観たいなっ。 (小町)
2008-09-22 18:12:19
予告でも、泣きそうなシーン。
是非、観たい映画です(^^)

でも、いろんな背景があるのですね。。。
そのころの方は、表現の自由もないのに、偉いなぁ~と思ってます。

私は、土曜日、なでしこ隊のドラマを録画して、観ました。なんとも言えない悲しみと、やり場のない、苦しみを、感じました(うるうる)
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Unknown (トッペイ)
2008-09-22 19:49:28
千層を描いた作品は、覚悟してみるようにしています。
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