田淵行男さんは残雪の山に浮き出る「雪形」の研究家でもあり、収集家でもあり、写真家でもある。そんな田淵さんの業績をまとめた「山の紋章 雪形」(昭和56年、学習研究社発行)を借りてきて読み進めたが、あまりの数の多さと種類の多さに戸惑っているうちに返却期限が過ぎてしまったので、明日返しに行こう。
主に安曇野から眺められる北アルプス関係と東北の山から収集されているが、春の安曇野行きの前にまた借りてきて、手帳に雪形の紋様と持ち主の山々を書き留めて出かけよう。
古くは、農作業のシグナルとして麓の人々に語りつがれてきたが、いまは気象情報に取って代わって忘れさられつつあるのだろうし、我々のような「普通の現代人」にとっては忘れるよりも前に、知られもしないだろうし、あまり興味もわかないことなのだろうが、古代から人々は雪山の残雪や雪どけの地肌や岩に現れる動物やヒトの姿に何かしらの意味付けをしたりや物語を作ったりしてきたのであり、それはなんともロマンチックではないか。
オイラも「普通の現代人」として、まったくと良いといいほど興味がなかったが、田淵さんに教えられるとなんだか、残雪の山を眺める楽しみがじわりと増してきたように感じる。
残雪の春山に「見えないものを見つけて」想像のつばさを拡げる。愉快なことではないか。
田淵行男「山の紋章 雪形」から
白馬岳の山名の起源は「代搔き馬のシロウマ」。クロウマだけど分かるかな。
白馬岳登山口に会った「二岐小屋」のスタンプ(昭和5年)