『ゴールデン・エイジ1 幻覚のラビリンス』 ジョン・C・ライト (ハヤカワ文庫SF)
アメーバのぐるっぽ(掲示板というか、コミュニティというか)で話題に上がっていた本。
ヴァン・ヴォクトやE・E・スミスを現代に蘇らせたワイドスクリーンバロックとして紹介されているのだが、そのつもりで読んだら、わけがわからなくて投げ出すこと請け合い。
これは近頃だと、シンギュラリティ物とか、ニュースペースオペラと呼ばれているジャンルの小説だ。
大筋のストーリーはスペースオペラと大差の無い冒険小説のプロットなのだが、仮想現実や惑星改造、その他の科学技術が進みすぎていて人類の理解を超えた社会情勢になっているというところが特徴。そうは言っても、まったく理解しがたい世界なら、まともな小説にならないわけで、そこはそれ、著者のさじ加減ということに。
この小説の未来社会では、人類はナノテクによる不死性を手に入れ、多くの時間を仮想現実の中ですごし、富は計算処理時間として換算される。人々は仮想現実でのリアルさ(再現性)志向や主義主張により哲学的な派閥に分かれていたり、集団知性になっていたり、さらには、シミュレーションから枝分かれした仮想人格だったりする。
未来社会の異質さを際立たせるためか、序盤からまったく説明無しにテクニカルタームやジャーゴンが飛び交い、わけのわからない世界を演出している。この小説ではさらに、冒頭で主人公が記憶喪失(250年間もの間の記憶メモリを編集されている)という状況が拍車をかけ、読者には何がなんだかさっぱりわからないという状況になっている。これが意図的でなかったら、なんという不親切な小説だろう!
とりあえず、150ページ目まではペンギン執事に萌えながら我慢して読むこと。そこでもまだわけがわからず、面白いとも思えなかったら、諦めた方がいいかも。
主人公の記憶の蓋がパンドラの箱のように開けられると、意外な真実が明らかになり、なんとそこから法廷小説の趣となり、真の謎はまったく解決されないまま、光の中へ歩き出すラストシーンで次巻へと続く。
ジェットコースターのようなワイドスクリーンバロック小説というよりは、混乱と幻覚の迷宮の中でめまいを感じながらヘロヘロになる感覚を楽しむ小説だと思う。
いずれにしろ、続きが楽しみな小説だが、2006年の出版当時はあんまり受け入れられなかったのか、ハヤカワオンラインでは検索不能(版元品切れ?)。アレステア・レナルズの《レヴェレーション・スペース》シリーズあたりを面白いと思う人には超お勧めなのだが、出版が若干早すぎたのだろうか。
いや、3巻までの完成度が……ってことだったりして。
アメーバのぐるっぽ(掲示板というか、コミュニティというか)で話題に上がっていた本。
ヴァン・ヴォクトやE・E・スミスを現代に蘇らせたワイドスクリーンバロックとして紹介されているのだが、そのつもりで読んだら、わけがわからなくて投げ出すこと請け合い。
これは近頃だと、シンギュラリティ物とか、ニュースペースオペラと呼ばれているジャンルの小説だ。
大筋のストーリーはスペースオペラと大差の無い冒険小説のプロットなのだが、仮想現実や惑星改造、その他の科学技術が進みすぎていて人類の理解を超えた社会情勢になっているというところが特徴。そうは言っても、まったく理解しがたい世界なら、まともな小説にならないわけで、そこはそれ、著者のさじ加減ということに。
この小説の未来社会では、人類はナノテクによる不死性を手に入れ、多くの時間を仮想現実の中ですごし、富は計算処理時間として換算される。人々は仮想現実でのリアルさ(再現性)志向や主義主張により哲学的な派閥に分かれていたり、集団知性になっていたり、さらには、シミュレーションから枝分かれした仮想人格だったりする。
未来社会の異質さを際立たせるためか、序盤からまったく説明無しにテクニカルタームやジャーゴンが飛び交い、わけのわからない世界を演出している。この小説ではさらに、冒頭で主人公が記憶喪失(250年間もの間の記憶メモリを編集されている)という状況が拍車をかけ、読者には何がなんだかさっぱりわからないという状況になっている。これが意図的でなかったら、なんという不親切な小説だろう!
とりあえず、150ページ目まではペンギン執事に萌えながら我慢して読むこと。そこでもまだわけがわからず、面白いとも思えなかったら、諦めた方がいいかも。
主人公の記憶の蓋がパンドラの箱のように開けられると、意外な真実が明らかになり、なんとそこから法廷小説の趣となり、真の謎はまったく解決されないまま、光の中へ歩き出すラストシーンで次巻へと続く。
ジェットコースターのようなワイドスクリーンバロック小説というよりは、混乱と幻覚の迷宮の中でめまいを感じながらヘロヘロになる感覚を楽しむ小説だと思う。
いずれにしろ、続きが楽しみな小説だが、2006年の出版当時はあんまり受け入れられなかったのか、ハヤカワオンラインでは検索不能(版元品切れ?)。アレステア・レナルズの《レヴェレーション・スペース》シリーズあたりを面白いと思う人には超お勧めなのだが、出版が若干早すぎたのだろうか。
いや、3巻までの完成度が……ってことだったりして。