神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 天冥の標2 救世群

2010-03-14 23:15:22 | SF
『天冥の標2 救世群』 小川一水 (ハヤカワ文庫JA)




全10巻を予定している小川一水のライフワーク、第2巻。

地球外の植民地らしき惑星を舞台とした『天冥の標1 メニー・メニー・シープ』とはうって変わって、現代地球を舞台にしたアウトブレイク小説。1巻の続きは6巻以降だったりして(笑)

映画『感染列島』があり、リアルパンデミックの新型インフルエンザがあり、日本のアウトブレイクに対するお粗末さが暴露された昨今、日本人全員が読んで備えておくべき小説といったら言い過ぎか。

この小説では、人々の知恵と勇気が致死率100%近い未知のウィルスの封じ込めに、ある程度成功する。現実はこんなに上手くはいかないだろう。恐怖と無知、無理解は罪となる場合があることを、人々はもっと知るべきだ。そして、自衛隊がどこまで何ができるのかを、あらかじめ議論しておくべきだ。これは軍靴の音がどうこうとか言っている問題ではない。

自分は、この手のアウトブレイク小説に弱いのか、映画『アウトブレイク』でも泣いたし、『感染列島』ですら国仲涼子の死に泣いた(笑)

この小説では、フェオの勇気、千茅のけなげさ、青葉の友情に泣かされっぱなしだった。
異星人の侵略よりも、核戦争よりも、未知のウィルスの感染は、すぐそこの身近にある危機に感じられるのだろう。
そして、その危機に対する人々の勇気に感動するのだ。そのようにありたいと願い、そのようにできなかったらと怯える。

『復活の地』にしても、『天涯の砦』にしても、ぎりぎりの危機に瀕した登場人物たちが、生死の究極の選択をするシーンは本当に心が痛む。非実在なんとやらが立法化したら、小川一水は大悪人だ(笑)

そこで選択をする勇気があるかどうか。それこそが、自分が怯え、感動するポイントなんじゃないだろうか、とか自己分析してみたり。

ラストで「ちょっおまっ!」って叫ばされた1巻の行方はわからないまま、さらに「えっ!なにこれ!」と叫ばされた今回。
まだまだシリーズとしての繋がりが、意味ありげな単語の一致のみにとどまる中、物語はいったいどこへ転がっていくのか。
3巻は今年の夏だそうだが、ここまで続きを読みたくなるシリーズは久しぶりだ。


[SF] コララインとボタンの魔女

2010-03-14 22:32:29 | 映画
『コララインとボタンの魔女3D<日本語吹替版>』 - goo 映画


(C)Focus features and other respective productions studios and distributors.


子供向けだと思っていたのでノーマークだったのだが、S-Fマガジンでやたらと好評だったので見に行ってみた。

朝からの上映だったせいか、会場は小中学生の女の子がいっぱいで、妙に場違いな感じ。
Web予約済みだったのだけど、窓口で「両隣が空いてる場所へ移りますか?」と言われたのは、そのせいか!
「カエレ(・∀・)ロリコン!」みたいな感じ?

子供たちがうるさいかと思いきや、思いのほか静か。DQNやオバサンの方がマナー悪い。
上映前にトイレを済ませたり、カップホルダーの位置を確認したり、携帯の電源を切ったり、微笑ましい。
いや、ロリコンじゃないから!

で、肝心の内容ですが、これがすばらしく良かった。
お話は家族向けのほのぼのファンタジーではなく、ホラーなダークファンタジー。人形アニメだからまだましだが、これを実写でやったら果てしなく気持ち悪いはず。
人形が重要アイテムになるため、人形アニメで作ったことで人間キャラと人形が入れ子になって見え、見た目のグロさを無くしたまま不気味さ倍増な感じ。これは人形アニメで製作したのは大成功だ。

コララインのちょっと曲げた口元の表現もすばらしい。製作過程を情報番組で見たが、顔が上下パーツに分かれていてその組み合わせが何万通りだとか。このアイディアもちょっと凄い。

しかも、3Dがぜんぜん不自然ではない。実写の3Dだと、人間がちょっと人形っぽく見えると思うのだが、これは最初から人形だからな!

人形アニメの技術や演出だけでなく、ストーリーも非の打ち所がない。少女の勇気と、親は親という想いを、ファンタジーの中で描ききった。
親に相手にされないことを嫌ってファンタジーへ逃避するのではなく、ボタンの魔女と戦うことで親を取り戻すという筋書きは、少女版のビルディングロマンスとして非常に良く出来ている。

3Dで飛び出す爪にキャーキャー言う女の子達の声を聞きながら、スリリングな展開にオジサンも手に汗を握っちゃいましたよ。
いや、ロリコンじゃないからっ!

ただ、最近ニュースでよく聞くネグレクトの件などを思い浮かべると、ちょっと複雑な気分になる。
もし、あの子供たちがボタンの魔女に出会ったら、かれらはボタンの魔女を選ぶのだろうか、虐待親を選ぶのだろうか。
たぶん、それでも子供たちは親を選ぶのだろう。

そう思ってみると、余計にダークさが際立って、背筋が冷たくなるのである。


3月13日(土)のつぶやき

2010-03-14 00:09:55 | つぶやき
08:52 from Tween
ドライヤー壊れた。どっかショートしたらしく、風が出ないで煙が出る。まだ寒いのに、この濡れた髪をどうしてくれよう!
09:21 from Tween
またbk1ギフト券が来たので、『グリーンワールド(上下)』買っちゃったよ。けっきょく、今月1万円越えしそう。ってか、もうする。
09:33 from Tween
Club toto初利用でtoto買った。始まった頃は黄色いカード持ってたくらいなんだけど、ここ数年、買ってなかった。勿論、札幌勝利で。草津-愛媛は迷ってマルチ(笑) 謙伍も柴田もガンバレ。
11:14 from Tween
立川クラッキ行くかどうか迷う。あそこ、緑の拠点だし、狭いんだよね。
11:20 from Tween
立川北口のカウンティクレアはコンサドーレ戦どころか、Jリーグもろくにやってない(泣)
11:39 from Tween
「SF Japan」伊藤計劃の幻のデビュー作が!って、2002年夏号GAINAX特集持ってる(笑) PROJECT ITOHなんて、まったく気付かなかった!
12:54 from Tween
草津vs愛媛@スカパーなう。
13:28 from Tween
さすが、柴田w
15:54 from Tween
さぁきたー。正座して見る。 #consadole
16:55 from Tween
後半はがんばろう。それしかいえないでつ…… #consadole
17:58 from Tween
毎年バカ負けの試合はあるとはいえ、今日はホーム開幕戦なんだが。 #consadole
18:03 from Tween (Re: @CS_KANTO
なんというツンデレ。 QT @CS_KANTO: そのあと札幌コール


18:08 from Tween
福岡は次引き分け以上で今年をもう決めちゃうかもな。札幌はこのあと3連勝しないと、早くも昇格争いは脱落決定だべ。
18:13 from Tween
コンサの試合中にクロネコが来てグリーンワールド置いていった。早ぇーよ、TODAY便。中空けたらルビ付きでびっくり。入植者用の植民惑星生態系解説書。未来のゆとり系日本人にも優しいということかw
18:16 from Tween
これからSF読んで現実逃避。……でも、観測されちゃったものはタイムトラベルしないと変えられない。
23:14 from API
【最終定理 (海外SFノヴェルズ) (単行本)】ラストはフェルマーに無関係な未来の歴史。たぶん、このタイトルの意味は深い。人類にとっての最終定理とは。 http://book.akahoshitakuya.com/cmt/5335945
23:22 from Tween
あ、やばい。バスツアー申し込んだのに、栃木戦のチケット買ってねぇー!
23:33 from Tween
今日はスポーツニュースもサッカー番組もパス。札幌の結果なんて、ほとんど出ないんだろうけど、ゴンちゃんいるからw
by kats_takami on Twitter

[SF] 最終定理

2010-03-14 00:00:05 | SF
『最終定理』 アーサー・C・クラーク&フレデリック・ポール (早川書房 海外SFノヴェルズ)




クラークの遺作ともなった、フレデリック・ポールとの共作。メインで執筆したのは2歳下のフレデリック・ポールということでいいのかな。

表題の“最終定理”は“フェルマーの最終定理”のことで、主人公は最終定理のわずか5ページに収まる証明を導きだした天才。とはいえ、彼がその実績ゆえに世界の動向の鍵を握ることになったというきっかけを与えただけで、最終定理そのものは本筋の物語とはあまりが関係ない。

世界は『1986』のオセアニア、ユーラシア、イースタシアのような三大国家に支配されつつある。そして、それを決定付けたのが、ガンダム・ダブルオーではないが、圧倒的な抑止力となる“サイレント・サンダー”の運用。

しかし、原子爆弾の爆発を捉えた銀河中心から、地球上の悪疫である人類を消毒しようと、攻撃艦隊が出動していた。

で、フレデリック・ポールはともかく、アーサー・C・クラークの小説で、そこから宇宙大戦争に発展するわけもなく、あくまでもおだやかに、皮肉を込めた結末、そしてさらなる未来へと物語は続いていく。

これは未来の歴史。こうあって欲しいという、希望に満ちた未来の歴史。

起動エレベーターや宇宙オリンピック、ソーラーセイリングといったクラークおなじみSFネタや、数学マジック、アップロードといったポール好みの大ネタ、小ネタを取り混ぜて、波乱万丈な天才少年の一生と共に、起動エレベータの据付地であるスリランカという小国に生きる彼の視点から見た近未来社会が描かれる。

しかし、そこにはSFならではの嘘や、好意的な異星人というラッキーな出会いが重要なファクターとなっている。逆に言えば、クラーク&ポールという巨匠二人の手においても、地球人だけでの楽観的な未来を描くことが出来なかったということではなかろうか。

最終定理とは、容易に理解することはできても、それを証明することが非常に困難な定理である。
“フェルマーの最終定理”という固有名称を離れての、“The Last Theorem”が示すもの。
人類にとっての最終定理とはなにか。そして、それを証明することはできるのか。

それこそが、クラークが最期まで追い求めたものだったのではないか。