神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 神獣聖戦 Perfect Edition

2009-02-09 22:45:10 | SF
『神獣聖戦 Perfect Edition (上・下)』 山田正紀 (徳間書店)




鏡人=狂人(M・M),鯨夢(GAME!),幻視物理学者…….
よく考えれば,田中啓文レベルの駄洒落にすぎないのだが,山田正紀が使用すると,とてつもない破壊力で認識の変容をせまってくる.

高校生だった頃の僕は,トクマノベルズ版の「神獣聖戦」に頭をやられてしまった.
背面世界へ脳内物質で飛翔する,インナースペースへのトリップとアウタースペースへのトリップを背中合わせで同時に実現するという設定.
絶妙な語呂合わせで結び付けられる,まったく異なるイメージ.
夏草の匂いがすべての夏休みの記憶をよみがえらせるように,鼻を凍らせる北風が冬休みの記憶をほとばしらせるように.
すべてのSFの記憶を歓喜=喚起させる,まさしくイメージの洪水.
ストーリーなんて関係なくて,ただひたすらな,イメージの洪水.

黄金時代の14歳のときに読んだら,そのまま悪魔憑き(デモノマニア)になってしまったかもしれない.それぐらいの威力=異力.

さて,そんなこんなで,“あの”神獣聖戦が大幅加筆訂正版で復活ということで,買うのは早かったんだけど,読むのは時間がかかってしまった.
ちゃんと時間がとれる時に一気に読もうと思っていたら,なかなかまとまった時間が取れなかったせいで,読むのに詰まってたわけじゃないんだけど.

読み終わってみて,そうか,そういう話だったのかという納得と発見がいくつか.
特に,永劫回帰のくだりって,あんまり覚えていなかった.ループというか,らせんというか,リングというか……(←なんだか別な作家の話みたいだが)
渋谷駅の構造も,今ならわかるしね(笑)

『エンジン・サマー』と『ガンパレード・マーチ』の永劫回帰についても,結論も無く,ちょっと考え込んだりとかもしたりして(笑)