拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

たった1人の誰かの為に、心を込めて歌い続けたい。

2012-12-26 | 旅人のひとりごと


今クールに見続けたドラマ、遅咲きのヒマワリが最終回を迎えました。

その中で心に残ったフレーズが、「夢は俺(私)のもの」という言葉。


目標だったり、成し遂げたいって思うことは、色々あります。

それは仕事上のことだったり、人生の中でのものだったりと様々です。


でももし「あなたの夢は何ですか?」と聞かれたら、表題につけた言葉を自分は答えると思います。


日曜日にレコーディングを終えて自宅に戻り、禁酒生活明けだからと久しぶりに今住んでいる近所の、ミュージシャンが集う飲み屋に顔を出しました。

そこで自分がリスペクトする、先輩プロミュージシャンのベーシストから言われたのが、「絶対に音楽をやめんなよ」という言葉でした。

間もなくこの世を去る父親に感謝の気持ちを伝えたくて、11年ぶりに今レコーディングをしていることを話した時、その先輩ミュージシャンから言われたこの一言は、すごく自分の中で響いた言葉でした。

「お前はたとえ観客がたった1人でも、魂を込めて歌うことができるシンガーだから、どんなことがあっても歌をやめて欲しくない。ショービジネスとか、金は関係無い。音楽は死ぬまでやり続けることに意味がある。そして何年先でもいいから、いつかお前の音楽を手伝わせて欲しい」と、その先輩ミュージシャンは言ってくれました。


人は年齢を重ねて、背負うものや、しがらみなどが増えると、好きな事を続けることや、夢を見続けることが少しずつ難しくなっていきます。

実際自分もこの10年は、音楽を続けていたといっても、表舞台から完全に姿を消して、時折数日の休暇をとり、ギターを持って旅をしては、路上で歌っている状態でした。

それを10年続けて、100ヵ国という世界の半分以上の国を、ギター片手に歌いながら回ったものの、日常生活の中では職場の同僚も、自分がうた歌いだと知っている人は殆どいません。

この10年は自分にとってそういう年月であり、それを選択したのは他の誰でもない自分自身です。


それでも歌うことをやめなかったのはなぜか。

父がもうすぐこの世界からいなくなってしまうと知り、最後に自分にできることは何かないかと考えた時、出した答えが、父の為に曲を書き、歌うことだったのはなぜか。

それは、自分はうた歌いであり続けたいという思いが、いつも自分の中にあったから。

例え観客が1人でも、歌う場所が路上でも。


「たった1人の誰かの為に、心を込めて歌い続けたい。」

その思いをいつまでも持ち続けたいと思います。