シンジへ。
お疲れ~、カズです。
約12時間のフライトでようやく日本に戻ってきたよ。
実は帰りの便が、なでしこジャパンの選手達と同じ飛行機だったんだ。
驚いたことに、世界一に輝いた彼女達は、オレと同じルフトハンザのエコノミークラスでの帰国だったよ。
(通常飛行機のチケットは往復で買うので、大会前はマイナースポーツの日本代表だったから、仕方が無いことかもしれないけれど)
それでも今日本では、「なでしこジャパンフィーバー」と言って良い程すごい盛り上がりで、TV番組の情報によると、普段彼女達はスーパーのレジ打ちのバイト等をしながら、サッカーの練習を続けてきたそうだ。
最も恵まれている、プロ契約のINACの選手でさえ、月収10万円位らしくて、ミュージシャンとしてメジャーデビューしたのに月収10万円で、深夜時給1000円のコンビニのアルバイトをしながら食い繋いでいた、昔の自分を思い出したよ。
なでしこジャパンの彼女達は、あの夜、オレ達の目の前で奇跡を起こした。
被災地に勇気と希望と感動を届けようと、チーム一丸になって、120%以上の力で戦い、これ以上無い最高の結果を手にした。
同じようにオレ達も、「U・S・A!、U・S・A!」という周りの声に負けないように、声をからしながら、「ニッポン!!!ニッポン!!!」と叫び続けた。
少しでもなでしこジャパンの選手達の背中を押せる様に、被災地の人々に思いが届くようにと、スタジアムで精一杯声を出して、一緒に戦ったよな。
そしてあの夜、オレ達の目の前で、新しい歴史が作られた。
どんなに困っていても、ある日突然、救世主がやってきて、オレ達を助けてくれる訳じゃない。
「アラブの春」も、今回のサッカー女子ワールドカップでの「なでしこジャパン世界一」の偉業も、普段はフツーの生活をしてる人達の「熱い思い」によって達成されたんだ。
今の自分を取り巻く毎日に不満があるなら、見えない将来に不安を感じるなら、その状況を変えられるのは、他の誰でも無い、自分自身だけだと思うんだ。
あの夜、小さな彼女達が目の前でおこした、奇跡の瞬間に立ち会って、オレ達にだって何かできることがあるはずだって、そう強く感じたよ。
シンジの言うとおり、日本経済の状況を見れば、日本企業の海外進出がさらに進んで、これからもっともっと沢山のニッポンジンが、海外に出て行くことになるだろう。
でも見知らぬ土地で、異なる言葉や文化、価値観の中で、何かを成し遂げることは簡単じゃない。
フランクフルトのシンジの自宅で、ワールドカップ決勝戦の後、朝まで飲み明かしたとき、シンジの話を聞きながら、オレはニッポンジンがこれまで以上に世界に出て活躍するには、必要なキーワードが3つあるって、そんなことを感じていたんだ。
それは揺ぎ無き「心の軸」と、誰にも負けない「自分の武器」、そして海外で頑張るニッポンジンを孤立させない「支える仕組み」の3つだ。
なでしこジャパンにとってのそれは、チーム一丸となった「被災地への思い」と、バルサを彷彿させる「パスサッカー」、そして被災地を元気付ける為にと頑張る彼女達に共感し、日本中が祈りを込めた「ニッポンの人達の熱い応援」だろうか。
あの日ヨッパライながら、明け方にシンジがオレに語った言葉を覚えているかい?
シンジがドイツでここまで頑張ってこれたのは、世界でも最高峰の製品とサービスを生み出してきた「ニッポンジンの誇り」と、後に続く人達へ自分が道を切り開くという「開拓者魂」、そこらのヨーロッパ人には絶対負けないという、ITエンジニアとしての「技術力」があったからだって。
でも「孤立無援の中、1人で頑張っていると、時々シンドイって感じることがある」とも言っていたよな。
オレ達は人生の中で、誰よりもたくさん走って、誰よりもたくさん体を張って、時に倒されて泥まみれになりながら、それでも頑張り続けなきゃいけない時がある。
なんで自分はここまでシンドイ思いをして、こんなに頑張っているのだろう?と心が折れそうになる時がある。
そんな時に自分を支えてくれるのは、揺るぎなき「心の軸」と、誰にも負けないって思える「自分の武器」だ。
でも1人の人間ができることには限界がある。
また孤立無援で長期間に渡って、1人でずっと頑張り続けることは不可能だ。
だから一定の結果を出し続ける為に、「周りのサポート」が必要不可欠なんだ。
一度この小さな島国の外に飛び出すと、オレ達は嫌がおうでも思い知らされる。
ニッポンで生まれ育ったオレ達は、どこまで行ったって、どんなにあがいたって、結局ニッポンジンなんだって。
でも日本は今、未来への希望の光と、進むべき道を見失いかけている。
世界のどの国も真似できない、高いクオリティを持った日本の製品達が、円高や税制度の問題、韓国などの新しいライバルの存在によって、今世界で苦戦を強いられている。
そんな中、現在の日本の大きな強みは、長年世界最高品質の製品とサービスを支え続けてきた、オレ達「ニッポンジン」自身だ。
これまで日本製品が、世界の人達の暮らしを変えてきたように、これからはより多くのニッポンジンが海を渡って、世界の人達の暮らしを変えられる可能性があるって、オレは感じているんだ。
シンジの言うとおり、他人に言われなくても普通の人達が高いレベルで頑張れる"ニッポンジン"は、オレ達自身が思っている以上に、日本の大きな武器だ。
しかしシンジがそうだったように、いきなり海外生活未経験で出て行っても、その国に適合し本来の力を発揮できるまでには、少なくとも2~3年は時間がかかってしまう。
その間、誰からもサポートを受けられず、うまく現地へ適合できなければ、何も成し遂げられないまま挫折する可能性も高い。
仮にそれを個人のチカラで乗り越えて、その国に適合できたとしても、孤立無援の篭城状態で、日本人だけが1人で頑張り続けるという構造では、いずれ限界が訪れる。
だからニッポンジンが、これからもっともっと世界に出て活躍するには、そのニッポンジンを支える「新しい仕組み」が必要だと思うんだ。
海外に出て行くニッポンジンの絶対数が増えれば、いままでは出来なかったことでも、可能になることが増えてくる。
そしてFacebookを使って実現された、アラブの春の例にもあるような、インターネット技術の発達とその応用は、日々すごい勢いで地球のサイズを小さくし、新しい選択肢と可能性を増やし続けている。
これらは「新しい仕組み」を作る上で、大きなヒントになるだろう。
あの夜、オレやシンジは、ピッチに立って実際に戦えた訳じゃない。
でもスタジアムに響き渡った、オレ達の「ニッポン!!!ニッポン!!!」という叫び声が、まったく無意味だったとは思えないんだ。
一人ひとりの声は小さくても、オレ達の叫び声が、周りの人達の声と重なり、それが大きな輪となってさらに広がり、1つの固くて強い「思いのカタマリ」となって、選手達を支える大きな力になれたって、オレは信じているんだ。
同じように、世界の最前線で戦うニッポンジンが結果を出せるよう、後ろで、周りで支えることがすごく重要だって、この数年間、Facebook越しにシンジの背中を見ながら、強く感じていた。
これからニッポンジンが、世界で大きな活躍をし続けていくには、ニッポンジン同士が今以上に手をとり助け合い、支えあうことが絶対に必要だ。
皆が強い「心の軸」と「自分の武器」を持って、自分の与えられた役割を背一杯頑張る。そしてそれを「周りが支える」。
そうすることでオレ達ニッポンジンは、この国と自分達の未来に、希望という名の光を再び灯すことができるとオレは思うんだ。
シンジがやろうとしてる、「ドイツで経験したことを、Facebookやインターネットを通して日本の人達へ伝える」という試みはいいね。
シンジのそのチャレンジを応援したいって思うから、オレにできることがあったら何でも言ってくれ。
そしてオレ自身も、海外で頑張るニッポンジンを支える、「新しい仕組み」を作る為に、今日が再スタートの日だって思っている。
シンジ。"ニッポンジン"も、世界をあっと言わせることができるんだって、次はオレ達が証明してやろうな!!!
P.S.
シンジと一緒に体験した、一生忘れない奇跡の夜の1枚を、オレもアップするよ。
シンジ、お前はお前のできることを、オレはオレができることを、これからも頑張っていこうな。
ここ1番頑張らなきゃいけないとき、苦しい時や心が折れそうなとき、そして嬉しい結果が出せたときには、あの夜と同じようにまた一緒に叫ぼうぜ。
「ニッポン!!!ニッポン!!!」ってね。
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