ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

芙蓉布

2017年09月10日 | 俳句

 昨日は午後と夜との句会で、一番忙しい日でしたが、更に母の見舞にと、京都から旦那の弟夫婦、甥とその子の計4人が来るという。でも、私は休むわけにはいかないので、旦那だけが一緒に食事をしながら応対して、私は句会が終わってからホテルへ挨拶にだけ行きました。

 いつものことですが、同じ会場でやりますので移動しなくて良いのは助かります。

 「今日は何の日でしょう?」と聞くと、一番年輩の人から、「重陽!」とすぐに答えが返ってきました。「さすが…〇〇さん!」というと、かなりの人はポカンとしていました。そうなんです。昨日は9月9日、「重陽」(ちょうよう)なんですが、これもやはり陰暦の行事です。

 陽の数である九が重なることをめでたいとして言われるのですが、その頃はちょうど菊の花の盛りでもあるので、菊の節句とも言われています。正月七日の人日、三月三日の上巳、五月五日の端午、七月七日の七夕とともに、五節句の一つ。中国では「登高」と称して、丘などの高いところに登って、長寿を祈り菊花を浮べた菊の酒を飲んだんだそうです。日本では奈良時代より宮中で観菊の宴が催されました。

   重陽の日は三輪山の上にあり    大峯あきら

   酒持たず高きに登る高きは佳し    藤田湘子

 当日の兼題は「芙蓉」でした。もちろん秋の季語です。中国・日本南西部原産のアオイ科の低木で、高さ1.5~3メートル。長い柄を持つ掌状の葉が3~7つに裂けて、茎にも葉にも細かい毛が生えています。花は直径8~10センチで淡い紅色の五弁花。夕方にはしぼんでころころと落ちてしまいます。観賞用には白芙蓉、八重咲き芙蓉、酔芙蓉などがありますが、酔芙蓉は朝の咲き初めは白く、午後にはピンク、夕方からさらに赤くなるのでこの名が付いたのです。

   枝ぶりの日ごとにかはる芙蓉かな   松尾芭蕉

   花芙蓉くづれて今日を全うす     中村汀女

 この日一番分らなかったのが、〈南国の衣に転じ花芙蓉〉の句でした。

 「南国の衣」とは?と作者に聞くと、鹿児島に「芙蓉布」と言うのがあるんですって。「ヘ~、そんなのあるの?芭蕉布や葛布は知ってるけど…」というと、皆もウンウンと頷いていました。作者はこの教室で一番若い40代の人。「ネットで調べたんですよ。淡い芙蓉のような色をしていて…、100年ぶりに復元された布なんです。」と。芙蓉で作った布があるということは初耳です。

 調べてみると、確かにありました。薩摩半島から約50K,東シナ海に浮ぶ甑島(こしきじま)に、鹿児島県伝統工芸品としての〝甑島芙蓉布〟がありました。ここにしかない日本唯一の布で、明治の初め頃まで作られていたのが100年途絶え、それを復元しようとして取組んだ人がいるのです。それは大正10年生れの中村悦子さん、50歳の時に始められ13年掛けて成功されたんです。今は娘さんが伝承され熟達されていると言うことですが…。この芙蓉布のことを方言で〝ビーダナシ〟と言い、芙蓉の枝から採取した板状の繊維を細く割き、手で紡いで長い原糸にして、それで織るのですが、繊細な輝きとふんわりした色味がその布の特徴だそうです。また一つ賢くなりました。ホントに教えてくれてアリガトウ!

 

 これは隣の家に咲いていた〝小海老草〟、これも季語にありません。コエビソウとは、メキシコ原産のキツネノマゴ科の植物。日本では道ばたの雑草としてごく普通なキツネノマゴと同属である。 名前の由来は、花のつく穂が苞に覆われていて、その形が小海老の尻尾に似ていることによる。花はその苞の間から顔を出す。Wikipedia

 

 

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