ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

秋彼岸

2017年09月22日 | 俳句

 9月20日が秋彼岸の入りで、23日が中日、即ち「秋分の日」、26日は秋彼岸明けです。以前にも書きましたが、「彼岸」は春の季語ですので、秋は「秋彼岸」とか「後の彼岸」といって区別します。この7日間に寺院や墓所に参り、法会を行ったりするのは春と同じですが、今から陽に向かって行く春の彼岸に比べて、やはりこれから陰に向かって行く秋彼岸は淋しさが漂いますね。

   人の世に男女のありて秋彼岸     草間時彦

 この句なども、例えば下五を「彼岸かな」としたら、いかがでしょう。この世には男女しかいないのですが、その男女が今から恋をして、結婚して子供も生まれ…と人生の高みに登っていくのに対して、「秋彼岸」だとすると、途端にこの男女は凋落期に入っていく感じがしませんか?やはり人生の黄昏を暗示してしまうんですね。このように同じような季語であってもそれぞれみな持ち味が違いますので、俳句を詠まれる方は、その季語の本意を理解して詠むことが大事ですね。

   地の罅によべの雨滲む秋彼岸     岡本 眸

 詳しくは分りませんが、この句は句集『朝』に所収とありますので、恐らく昭和40年前後に詠まれたものでしょう。しかし、何となく昨今の地震や水害などを連想しませんか?大地のあちらこちらの罅(ひび)割れに蕭々と雨が滲み込んでいく…ああ、今日は秋の彼岸なんだなあ~と、まるでこの世の無常を感じているような句だと思いましたが。でも、そのころ関東に大きな地震などがあった様子でもないし…とすれば、単なる罅割れかも知れませんね。その地面の割れ目に雨が滲みて、ああもう秋彼岸…これからは雨が降る度どんどん秋が深まっていくんだろうなあ…とこんな季節の移り変りへの感傷だったのかも知れません。

 まあ、俳句は作者の手を離れたら、その時点でどう読み取られようと全く自由なんですから、これでよしとしましょう。

 秋の彼岸は、ナンテッタッテこれでしょう、〝彼岸花〟!でも、この花は面白いですね。「死人花」「幽霊花」といわれる一方で、天上に咲くという花の名の「曼珠沙華」とも言われていますもの。この花を見るとすぐに次の句を思い出します。

   つきぬけて天上の紺曼珠沙華     山口誓子

 ところで、我家には3色の彼岸花があります。一般的には赤ですが、最近は白が増えていますね。それに加えて黄色です。白は〝シロバナマンジュシャゲ〟黄色は〝ショウキズイセン〟といって、全部ヒガンバナ科ヒガンバナ属のリコリス(ラテン語)の一種です。以前掲載しました〝ナツズイセン〟も同じ仲間ですが、咲く時期が少し早いですね。山野草の〝キツネノカミソリ〟も同じ仲間ですよ。 

 

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