昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   36.秘密の共有

2013年03月06日 | 日記
秘密の共有 咄嗟に“ディキシー”を諦め、桑原君の腕を取って引き寄せ、河原町通りに出た。雑踏に紛れた方が安全だと思えたからだった。 しかし、晴れ着姿も消え普段のにぎわいを取り戻した河原町通りの明るさの下でもう一度桑原君を見ると、その異様さはむしろ際立って見えた。濃紺の薄いセーターにはそこかしこに泥らしきものが付着し、首元に覗くシャツの襟も黒く汚れていて、しっかりと小脇に抱 . . . 本文を読む