昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   35.不穏な1972年の年明け

2013年03月04日 | 日記
不穏な1972年の年明け 柳田に揺り起こされ目覚めたのは、午前3時を回った頃だった。しばらく事態が呑み込めず呆然とした後、奈緒子を求めて頭を巡らせた。店内には、僕と柳田だけだった。両方のこめかみが動悸を打ち、その度に頭の芯から痛みが響いた。 「大丈夫ですか?」という柳田の手を振り払い、トイレに駆け込んで数度吐いた。吐く毎に嫌な思いが蘇ってきた。 “奈緒子はどうしたんだろう?夏美さ . . . 本文を読む