快風丸

俺の船に乗らないか。

CHICK COREA

2012-01-02 02:32:21 | Weblog

 JAZZはようわからん。しかし、わかってしまったらおもしろくないのではないか。

好奇心。JAZZの海に飛び込んでみる。

 なんとなく、イメージで、こんなのが聞きたいというのが昔からある。

4ビートで、すごく早くて、ランニングベースで、ライドでリズムを刻む感じ。

漠然としているが、激しくて、破壊的なものである。

 しかし、ジャズの海は広すぎて、なかなかそこへたどりつけない。

アーティストか曲名なら検索できても、さすがのGoogleもイメージでは検索できない。

 

  タワーレコードのジャズコーナーをぶらりひとり旅していて、なんとなく手に取ってみた。

1968年、若かりし日のチックコリア。リターン・トゥ・フォーエバーは好きだが、そのイメージでは

ないのだ。しかし、たぶんこれは、そのハイスピード4が期待できそうだ。

 解説文に「抒情性を排した」とあった。

 

 大みそか、紅白でユーミンが歌っていた。ユーミンの歌は、「絶対POPS」であり、感情を持たない

無機質なプラスチックのおもちゃだとずっと思ってた。歌詞がテロップで流れる。「春よ、来い」。

なんという美しい歌詞、初めてユーミンの歌詞に感動した。声が震えているのは、緊張しているのか。

しかし、そうではなかった。こらえていたのだ。自らの歌にこみ上げてくる感情を抑えていたのだ。

それに気づいたとき、このシンガーソングライターの実力のすごさを思い知った。

 

 表現者というのは、常に、感情を抑えなければならない。泣きながら歌うのは、「お涙ちょうだい」と

言って、表現ではなくて、商売モノの芸である。

 チック・コリアのこのアルバムは、期待通りのハイスピードアンサンブル。そこには、ただ音がある。

音だけが、激しく流れる川のごとく、ときに迫りくる炎のごとくスピーカーから向かってくるのだ。

 それを受けて、初めて聞くものの心に感情が湧きあがるのだ。

すぐれた表現者は、音で感情を紡ぎだすのだと知った。

当分、JAZZの海で、真夜中、荒波にもまれることになりそうだ。