JAZZはようわからん。しかし、わかってしまったらおもしろくないのではないか。
好奇心。JAZZの海に飛び込んでみる。
なんとなく、イメージで、こんなのが聞きたいというのが昔からある。
4ビートで、すごく早くて、ランニングベースで、ライドでリズムを刻む感じ。
漠然としているが、激しくて、破壊的なものである。
しかし、ジャズの海は広すぎて、なかなかそこへたどりつけない。
アーティストか曲名なら検索できても、さすがのGoogleもイメージでは検索できない。
タワーレコードのジャズコーナーをぶらりひとり旅していて、なんとなく手に取ってみた。
1968年、若かりし日のチックコリア。リターン・トゥ・フォーエバーは好きだが、そのイメージでは
ないのだ。しかし、たぶんこれは、そのハイスピード4が期待できそうだ。
解説文に「抒情性を排した」とあった。
大みそか、紅白でユーミンが歌っていた。ユーミンの歌は、「絶対POPS」であり、感情を持たない
無機質なプラスチックのおもちゃだとずっと思ってた。歌詞がテロップで流れる。「春よ、来い」。
なんという美しい歌詞、初めてユーミンの歌詞に感動した。声が震えているのは、緊張しているのか。
しかし、そうではなかった。こらえていたのだ。自らの歌にこみ上げてくる感情を抑えていたのだ。
それに気づいたとき、このシンガーソングライターの実力のすごさを思い知った。
表現者というのは、常に、感情を抑えなければならない。泣きながら歌うのは、「お涙ちょうだい」と
言って、表現ではなくて、商売モノの芸である。
チック・コリアのこのアルバムは、期待通りのハイスピードアンサンブル。そこには、ただ音がある。
音だけが、激しく流れる川のごとく、ときに迫りくる炎のごとくスピーカーから向かってくるのだ。
それを受けて、初めて聞くものの心に感情が湧きあがるのだ。
すぐれた表現者は、音で感情を紡ぎだすのだと知った。
当分、JAZZの海で、真夜中、荒波にもまれることになりそうだ。