「低速走行」の話を書いた前回ブログの後、ツイッターなどで、何人もの方が、温かいコメントを寄せて下さり、本当にありがとうございます。
「記事を楽しみにしていた」というコメントは、書いているものとしては、一番に嬉しいことで、何よりの励みになります。
2月24日(月)の「組閣」以来、どうにも気持ちが下がって、乃木坂の活動をフォローする意欲は、間違いなく以前より少なくなってしまいました。
しかし、個々のメンバーを応援したいという思いは、まったく変わりありません。
私は「制服のマネキン」のMVを見て乃木坂に興味を持ったのですが、「乃木坂って、どこ?」を観たり、メンバーのブログを読んだりするうちに、乃木坂には、ダイヤの原石のような、とんでもなく素晴らしい逸材が、何人も、ゴロゴロと転がっていることに気づいて、驚きました。
ビジュアルが魅力的なだけでなく、とにかく、乃木坂メンバーは芯が強い。
アイドルになりたい、芸能の世界で活躍したいという思いを軸に、メンバーはそれぞれ自分なりの考え方を持っている。
そして、単に与えられた仕事をこなすのではなく、その中に意味を見出して、主体的に関わろうと努力する姿勢がある。
おそらく、オーディション当時、アイドル界を席巻していたAKB48ではなく、これからどうなるのか全く分からない乃木坂46を選んだ時点で、すでに多くのメンバーは、独立の意識を持っていた気がします。
だからこそ、「組閣」に乃木坂が巻き込まれたことに、何人ものメンバーが反発したんじゃないでしょうか。
戸惑いながら、葛藤しながらも、自分の考え方を持って、自分なりに前に進もうとする乃木坂のメンバー、こういう姿を見ているうちに、私の中で、それまで漠然と抱いていた「確かに可愛いけど・・・」というアイドルへの先入観がなくなり、「これは応援しなきゃ」という気持ちが芽生えてきました。
これほどの逸材は、何としても、芸能の世界で大きく羽ばたいて欲しい、いや、羽ばたかなきゃいけないんだという思いが、メンバーを観るたびに募っていきました。
そして、自分に出来る応援方法として、テキストブログである「乃木坂の風」を書き始めました。
「組閣」を通して、秋元康氏とAKB・乃木坂運営への不信感は今後消えることのないほど強くなりましたが、一方、それぞれの気持ちが書かれた公式ブログを読んで、やはり乃木坂メンバーは素晴らしいという思いは逆に深まりました。
「乃木坂の風」は、これまでの様なペースでは書けないかもしれないけど、メンバーを応援したいという気持ちがある限り、続けていくつもりです。
そして、メンバーを応援する気持ちは、そんなに簡単には消えないと思います。
2002年の「ハロマゲドン」以来、ハロー!プロジェクトの事務所への不信感は未だに消えていませんが、道重さゆみはもちろん、保田圭や石川梨華など、当時モーニング娘。のメンバーだった人は、今でも気になって、密かに応援しています(笑)。
「乃木坂の風」、宜しければ、また、ときどき読んでやって下さいませ。
さて、昨日、「気づいたら片想い」のMVが公開されましたね。
『乃木坂の風 14Feb14 ~ 8枚目MVの公開日程は「制服のマネキン」型でなく「ガールズルール」型の可能性』で書いたように、4枚目「制服のマネキン」から7枚目「バレッタ」は、表題曲のMV公開が、CDリリースの28日前から24日前に行われています。
8枚目「気づいたら片想い」は、3月7日(金)のMV公開なので、CDが発売される4月2日(水)の26日前、また、YouTube記載の公開日である3月6日(木)を使えば27日前となり、かなり標準的な公開日程と言えます。
そして、運営は、表題曲MVの公開日を、シングル発売日から逆算して決めている可能性が濃厚になりました。
つまり、発売前に行う本格的な新曲キャンペーンの期間を、ほぼ1ヶ月に設定しているということです。
ここまでの話は、MVの公開日予想が当たったという、やや「自慢」を含むお知らせですが(笑)、今日は、公開された「気づいたら片想い」MVの感想を書いてみます。
ただ、「ネタばれ」になる部分もありますので、MVをまだご覧になっていない方は、まずは、ご自身でYouTubeの動画を観られることをお薦めします。
感想を読んでから観るより、まっさらな状態で鑑賞するのが一番だと思いますので。
「気づいたら片想い」のMV (YouTube)
# クリックすると、すぐに動画が始まるので、音声にご注意下さい
戦闘シーン満載の「ランボー」ではなかったですね(笑)。
まず、全体的な感想を言うと、「バレッタ」MVのように歌がドラマにかき消されて聴こえないということもなく、MVに占める音楽部分の割合も丁度良くて、基本的には評価出来る内容だったと思います。
歌詞とドラマはピッタリ重なっているわけではないけど、「切ない」という共通するイメージがあり、似たような雰囲気を漂わせていて、そのため歌がスッと心に入ってきました。
しかし、曲を途中で中断して台詞シーンを入れるなど、ドラマを歌より重視する発想は「バレッタ」と同じで、この考え方は個人的に好きになれません。
とくに、ライブでのダンスシーンは、もっとアングルを固定して、個々の振り付けや全体フォーメーションがよく見えるようにして欲しかったのですが、命の火が消えかけている西野七瀬というドラマエンディングを劇的に演出したかったのか、目まぐるしくカットが変わる上に、観客越し遠目からの舞台シーンなど、ダンスがよく見えないカットもあって、踊りを堪能する作りになっていません。
やはり、MVは、歌とダンスを見せるのが一番の目的なので、歌の中断や踊りの細切れショットは、あまり評価する気になりません。
ちなみに、ドラマの最初部分で、堀未央奈が白石麻衣に電話していることから考えても、このMVの事実上のプロデューサーは、「バレッタ」MVの人と同じという気もします。
音楽より、演劇が好きということなんでしょうか(笑)。
では、ドラマ部分はどうだったかというと、どうしても言いたくなるのは、「脚本の書き込みが足りない」ということです。
亡くなった筈の人が、一定期間だけ生きられるという設定は、使い古された感はあるものの、悪くないと思います。
しかし、そのお伽話的設定に魅力を与えられるかどうかは、ひとえにディテールを上手く表現出来るかどうかにかかっています。
物語は、西野七瀬が意識不明で病院に運ばれてくる場面から始まりますが、彼女が危篤状態になってしまった原因がまったく描かれていません。
交通事故なのか、病気なのか、何かの事件に巻き込まれたのか、全然分からない。
また、堀未央奈が、なぜ病院にいるのかも分からない。
西野さんが映っている携帯動画をニコニコしながら観ているので、友だちが命に関わる状況に陥っているのに、随分と薄情な子だなあと一瞬思ってしまうのですが(笑)、どうやら堀ちゃんは、七瀬まるとは無関係に、偶然居合わせたようです。
全然元気そうなので、あるいは、集団検診で念のため検査した方がいいと言われて、バリウムを飲みに来ていたのかもしれません(笑)。
主人公が命を落とすこととなった経緯や、友人が最初にそれを知った流れは、一見、どうでもいいように思えますが、視聴者を物語に引き込む、もっとも大事なディテールだと思います。
ドラマの基本設定が現実離れすればするほど、細かな部分を詳しく描かないと、リアリティが希薄になって、観ている側の感情移入が弱くなってしまいます。
あまり良くない例えですが、詐欺に似ています。
とんでもない高配当の金融商品があるといったお伽話でも、高配当を実現するに至った経緯を、詳細に説明されると、細部に目がいってしまって、それら一つ一つの話は筋が通っているように見えるので、話全体も本当なのだろうと思い始めて、大きな嘘を信じ込んでしまうことがあります。
また、19世紀には、数多くの「永久運動機関」が発明されたそうですが(笑)、これも細部の作りが上手いので、全体でも、エネルギー供給なしに永遠に動く機械だと、多くの人に驚嘆されたわけです。
「気づいたら片想い」MVのような物語も、観ている人をがっつり引き込むためには、細部が大事になりますが、「命を落とした主人公がタンポポの綿毛が全部飛び去るまでの間だけ生きていられる」という本筋に集中して、命を落とした原因や登場人物の性格といった、周辺のディテールが描き切れていない印象を受けます。
もちろん、「ミュージック・ビデオ」なので、物語部分が希薄でも、音楽部分がしっかりしていれば全然問題ないのですが、上に述べたように、曲を途中で中断したり、ダンスシーンがよく見えないなど、ドラマ重視の発想で、音楽部分も影響を受けてしまっています。
物語重視で行きたいのなら、もっと脚本を書き込んで、お伽話を現実感のあるドラマに仕上げる工夫が必要だし、そうでなければ、音楽重視で、歌とダンスが、視聴者によく伝わるように作らなければいけない。
ん~、「バレッタ」のように、展開する物語が過剰で、音楽が吹き飛ぶといったことはなく、ドラマも素直に楽しめるのだけど、ストーリー設定や登場人物のキャラを、もうちょっと作り込んで欲しかったという気持ちが、観た後に残ってしまいます。
細部を充実させ、人物のキャラやお互いの関係性をもっと明確にして、他の誰でもない、西野七瀬センターの乃木坂46にしか作り出せないドラマが見たかった。
「ガールズルール」のMVは、また違ったタイプのドラマですが、それぞれのメンバーのキャラが立っていて、乃木坂の独自性を出すことに、かなり成功していると思います。
結局、MV全体の個人的評価としては、「バレッタ」より良いけど、「ガールズルール」には及ばない、そんなところでしょうか。
あと、個々のメンバーの演技ですが、このドラマは「主人公はすでに死んでいる」という強力な基本設定になっているので、視聴者は登場人物の感情を推測しやすく、「演技力」はあまり関係ないという気がします。
大声を上げて泣いていれば「こみ上げる激しい悲しみ」、無表情であれば「内に秘めた悲しみ」、笑っていれば「突き抜けた悲しみ」と(笑)、まあ、「切なく悲しい」のは間違いないので、役者そのものの「演技」は、少なくとも私は気になりませんでした。
さらに、主役級の三人、西野七瀬、白石麻衣、橋本奈々未は、全員テレビドラマ経験者なので、安心して観ていられます。
欲を言えば、生田絵梨花の演技を、もっと観たかったですね、上手いし可愛いから(笑)。
それに、何か華があるんですよ、ドラマ空間でのいくちゃんには。
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「おまけ」
乃木坂の風 21Jun13 ~ 「君の名は希望」を作ったのは誰か
// 過去の記事を読みたい方へ
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 14Nov13 ~ 関連記事の目次 (01Nov13 ~)
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 14Nov13 ~ 関連記事の目次 (19Apr13 ~ 31Oct13)
// えくせれんとブログ
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 10Jul13 ~ えくせれんとブログの目次
// 星野みなみの溢れる魅力
乃木坂各論第3話、星野みなみ ~ 紺碧の微笑、静謐の情熱、ここにヒロインがいる
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 24Sep13 ~ 星野みなみのコーナー
# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています
「記事を楽しみにしていた」というコメントは、書いているものとしては、一番に嬉しいことで、何よりの励みになります。
2月24日(月)の「組閣」以来、どうにも気持ちが下がって、乃木坂の活動をフォローする意欲は、間違いなく以前より少なくなってしまいました。
しかし、個々のメンバーを応援したいという思いは、まったく変わりありません。
私は「制服のマネキン」のMVを見て乃木坂に興味を持ったのですが、「乃木坂って、どこ?」を観たり、メンバーのブログを読んだりするうちに、乃木坂には、ダイヤの原石のような、とんでもなく素晴らしい逸材が、何人も、ゴロゴロと転がっていることに気づいて、驚きました。
ビジュアルが魅力的なだけでなく、とにかく、乃木坂メンバーは芯が強い。
アイドルになりたい、芸能の世界で活躍したいという思いを軸に、メンバーはそれぞれ自分なりの考え方を持っている。
そして、単に与えられた仕事をこなすのではなく、その中に意味を見出して、主体的に関わろうと努力する姿勢がある。
おそらく、オーディション当時、アイドル界を席巻していたAKB48ではなく、これからどうなるのか全く分からない乃木坂46を選んだ時点で、すでに多くのメンバーは、独立の意識を持っていた気がします。
だからこそ、「組閣」に乃木坂が巻き込まれたことに、何人ものメンバーが反発したんじゃないでしょうか。
戸惑いながら、葛藤しながらも、自分の考え方を持って、自分なりに前に進もうとする乃木坂のメンバー、こういう姿を見ているうちに、私の中で、それまで漠然と抱いていた「確かに可愛いけど・・・」というアイドルへの先入観がなくなり、「これは応援しなきゃ」という気持ちが芽生えてきました。
これほどの逸材は、何としても、芸能の世界で大きく羽ばたいて欲しい、いや、羽ばたかなきゃいけないんだという思いが、メンバーを観るたびに募っていきました。
そして、自分に出来る応援方法として、テキストブログである「乃木坂の風」を書き始めました。
「組閣」を通して、秋元康氏とAKB・乃木坂運営への不信感は今後消えることのないほど強くなりましたが、一方、それぞれの気持ちが書かれた公式ブログを読んで、やはり乃木坂メンバーは素晴らしいという思いは逆に深まりました。
「乃木坂の風」は、これまでの様なペースでは書けないかもしれないけど、メンバーを応援したいという気持ちがある限り、続けていくつもりです。
そして、メンバーを応援する気持ちは、そんなに簡単には消えないと思います。
2002年の「ハロマゲドン」以来、ハロー!プロジェクトの事務所への不信感は未だに消えていませんが、道重さゆみはもちろん、保田圭や石川梨華など、当時モーニング娘。のメンバーだった人は、今でも気になって、密かに応援しています(笑)。
「乃木坂の風」、宜しければ、また、ときどき読んでやって下さいませ。
さて、昨日、「気づいたら片想い」のMVが公開されましたね。
『乃木坂の風 14Feb14 ~ 8枚目MVの公開日程は「制服のマネキン」型でなく「ガールズルール」型の可能性』で書いたように、4枚目「制服のマネキン」から7枚目「バレッタ」は、表題曲のMV公開が、CDリリースの28日前から24日前に行われています。
8枚目「気づいたら片想い」は、3月7日(金)のMV公開なので、CDが発売される4月2日(水)の26日前、また、YouTube記載の公開日である3月6日(木)を使えば27日前となり、かなり標準的な公開日程と言えます。
そして、運営は、表題曲MVの公開日を、シングル発売日から逆算して決めている可能性が濃厚になりました。
つまり、発売前に行う本格的な新曲キャンペーンの期間を、ほぼ1ヶ月に設定しているということです。
ここまでの話は、MVの公開日予想が当たったという、やや「自慢」を含むお知らせですが(笑)、今日は、公開された「気づいたら片想い」MVの感想を書いてみます。
ただ、「ネタばれ」になる部分もありますので、MVをまだご覧になっていない方は、まずは、ご自身でYouTubeの動画を観られることをお薦めします。
感想を読んでから観るより、まっさらな状態で鑑賞するのが一番だと思いますので。
「気づいたら片想い」のMV (YouTube)
# クリックすると、すぐに動画が始まるので、音声にご注意下さい
戦闘シーン満載の「ランボー」ではなかったですね(笑)。
まず、全体的な感想を言うと、「バレッタ」MVのように歌がドラマにかき消されて聴こえないということもなく、MVに占める音楽部分の割合も丁度良くて、基本的には評価出来る内容だったと思います。
歌詞とドラマはピッタリ重なっているわけではないけど、「切ない」という共通するイメージがあり、似たような雰囲気を漂わせていて、そのため歌がスッと心に入ってきました。
しかし、曲を途中で中断して台詞シーンを入れるなど、ドラマを歌より重視する発想は「バレッタ」と同じで、この考え方は個人的に好きになれません。
とくに、ライブでのダンスシーンは、もっとアングルを固定して、個々の振り付けや全体フォーメーションがよく見えるようにして欲しかったのですが、命の火が消えかけている西野七瀬というドラマエンディングを劇的に演出したかったのか、目まぐるしくカットが変わる上に、観客越し遠目からの舞台シーンなど、ダンスがよく見えないカットもあって、踊りを堪能する作りになっていません。
やはり、MVは、歌とダンスを見せるのが一番の目的なので、歌の中断や踊りの細切れショットは、あまり評価する気になりません。
ちなみに、ドラマの最初部分で、堀未央奈が白石麻衣に電話していることから考えても、このMVの事実上のプロデューサーは、「バレッタ」MVの人と同じという気もします。
音楽より、演劇が好きということなんでしょうか(笑)。
では、ドラマ部分はどうだったかというと、どうしても言いたくなるのは、「脚本の書き込みが足りない」ということです。
亡くなった筈の人が、一定期間だけ生きられるという設定は、使い古された感はあるものの、悪くないと思います。
しかし、そのお伽話的設定に魅力を与えられるかどうかは、ひとえにディテールを上手く表現出来るかどうかにかかっています。
物語は、西野七瀬が意識不明で病院に運ばれてくる場面から始まりますが、彼女が危篤状態になってしまった原因がまったく描かれていません。
交通事故なのか、病気なのか、何かの事件に巻き込まれたのか、全然分からない。
また、堀未央奈が、なぜ病院にいるのかも分からない。
西野さんが映っている携帯動画をニコニコしながら観ているので、友だちが命に関わる状況に陥っているのに、随分と薄情な子だなあと一瞬思ってしまうのですが(笑)、どうやら堀ちゃんは、七瀬まるとは無関係に、偶然居合わせたようです。
全然元気そうなので、あるいは、集団検診で念のため検査した方がいいと言われて、バリウムを飲みに来ていたのかもしれません(笑)。
主人公が命を落とすこととなった経緯や、友人が最初にそれを知った流れは、一見、どうでもいいように思えますが、視聴者を物語に引き込む、もっとも大事なディテールだと思います。
ドラマの基本設定が現実離れすればするほど、細かな部分を詳しく描かないと、リアリティが希薄になって、観ている側の感情移入が弱くなってしまいます。
あまり良くない例えですが、詐欺に似ています。
とんでもない高配当の金融商品があるといったお伽話でも、高配当を実現するに至った経緯を、詳細に説明されると、細部に目がいってしまって、それら一つ一つの話は筋が通っているように見えるので、話全体も本当なのだろうと思い始めて、大きな嘘を信じ込んでしまうことがあります。
また、19世紀には、数多くの「永久運動機関」が発明されたそうですが(笑)、これも細部の作りが上手いので、全体でも、エネルギー供給なしに永遠に動く機械だと、多くの人に驚嘆されたわけです。
「気づいたら片想い」MVのような物語も、観ている人をがっつり引き込むためには、細部が大事になりますが、「命を落とした主人公がタンポポの綿毛が全部飛び去るまでの間だけ生きていられる」という本筋に集中して、命を落とした原因や登場人物の性格といった、周辺のディテールが描き切れていない印象を受けます。
もちろん、「ミュージック・ビデオ」なので、物語部分が希薄でも、音楽部分がしっかりしていれば全然問題ないのですが、上に述べたように、曲を途中で中断したり、ダンスシーンがよく見えないなど、ドラマ重視の発想で、音楽部分も影響を受けてしまっています。
物語重視で行きたいのなら、もっと脚本を書き込んで、お伽話を現実感のあるドラマに仕上げる工夫が必要だし、そうでなければ、音楽重視で、歌とダンスが、視聴者によく伝わるように作らなければいけない。
ん~、「バレッタ」のように、展開する物語が過剰で、音楽が吹き飛ぶといったことはなく、ドラマも素直に楽しめるのだけど、ストーリー設定や登場人物のキャラを、もうちょっと作り込んで欲しかったという気持ちが、観た後に残ってしまいます。
細部を充実させ、人物のキャラやお互いの関係性をもっと明確にして、他の誰でもない、西野七瀬センターの乃木坂46にしか作り出せないドラマが見たかった。
「ガールズルール」のMVは、また違ったタイプのドラマですが、それぞれのメンバーのキャラが立っていて、乃木坂の独自性を出すことに、かなり成功していると思います。
結局、MV全体の個人的評価としては、「バレッタ」より良いけど、「ガールズルール」には及ばない、そんなところでしょうか。
あと、個々のメンバーの演技ですが、このドラマは「主人公はすでに死んでいる」という強力な基本設定になっているので、視聴者は登場人物の感情を推測しやすく、「演技力」はあまり関係ないという気がします。
大声を上げて泣いていれば「こみ上げる激しい悲しみ」、無表情であれば「内に秘めた悲しみ」、笑っていれば「突き抜けた悲しみ」と(笑)、まあ、「切なく悲しい」のは間違いないので、役者そのものの「演技」は、少なくとも私は気になりませんでした。
さらに、主役級の三人、西野七瀬、白石麻衣、橋本奈々未は、全員テレビドラマ経験者なので、安心して観ていられます。
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『6枚目「ガールズルール」の収録MV』
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