百田尚樹 著。
昨年から、飛ぶ鳥を落とす勢いの百田氏ですが、私の百田デビューは
『永遠の0』でもなく『海賊とよばれた男』でもない『モンスター』
なんとなく・・・不埒な世界に浸りたい気分だったから。
別に深い意味はありません。なんとなく・・です。
「人は外見じゃなくて中身だ」
・・・と、心の底から言える人が何人いるでしょうか。
この本を読むと、この言葉が軽はずみに言えなくなります。
自分ではどうしようもない、「不公平」からこの話は始まるのです。
確かに中身は大切、だと思う。
外見よりも絶対中身、っていつも思ってる。
でも・・・そう言える人って、きっと自分の外見が、多少の不満はあるにせよ、
“まあまあ普通”の範囲の中に置かれている、という無意識の自信過剰からきている考えなんだってこの本を読んで思った。
私も一応女ですから、モデルさんみたいにスタイルが良かったら・・・女優の誰々さんみたいな顔だったら、・・・
今とは全く違う人生を歩いていたかもしれないなぁ、なぁんて
妄想の中で一喜一憂したりすることもあります。
でも・・・この小説の主人公、和子は そんな生半可な問題じゃない。
自分の容姿そのものの理由でいじめにあったり、親からも見放されたり・・
想像を絶する酷い仕打に耐え抜いて生きてきたわけです。
だから彼女が整形の世界にのめり込んでどんどん美しくなって
今まで自分を傷付けてきた人を見返してやるって気持ち、
100パーとは言わないまでも つまされて納得できてしまうんですよね。
和子は、自分の身体で稼いだ大金を全て整形に費やし
誰もが唸るような美貌を手に入れました。。
愛する人とも再会しました。
でもラストは・・・哀しいなぁ。
和子は・・・きっと幸せだったよね?
そう思わないとやってられない後味。
整形や風俗の描写が恐ろしくリアル。
自分が顔をいじられてるようで怖くなった。