茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記3月6日「脳下垂体腫瘍による失明の治療。」

2012-03-07 05:18:51 | 日記
デイサービスで鍼灸治療を担当していると、色々な病気の利用者さんを治療します。治療の日は、一時間前に出勤し、その日担当する方の症状や前回の治療をカルテで確認し治療方針を立てます。
今日は、初めて担当する利用者さんの治療が入っていました。症状は「脳下垂体腫瘍による失明」でした。脳下垂体腫瘍は手術で摘出されたそうですが、視力が戻らず、今では明暗が分かるだけの状態です。鍼灸治療を受けた後は明るさが増すそうですから、効果はあると言うことです。
「脳下垂体腫瘍」について簡単に説明しますと、眼球でとらえた視覚情報は、眼球から視神経を通じて大脳の後頭葉(こうとうよう)にある視覚中枢へと投影されます。その途中、ちょうど脳下垂体(のうかすいたい)の上方で、左右眼からの視神経が交わって視交叉(しこうさ)をつくります。
 視交叉では、視野の外側(耳側)を担当する視神経線維は交叉して反対側の視索(しさく)へ入り、内側(鼻側)を担当する視神経線維は交叉せず同側の視索へと入ります
 脳下垂体に腫瘍が生じると、視交叉の前方を下方から圧迫し、視神経線維を圧迫して、両耳側半盲(はんもう)など特徴的な視野障害が生じることになります。
症状の現れ方として、脳下垂体腫瘍による視交叉下方からの圧迫では、視交叉の中央部に位置する両眼視神経のうち、鼻側由来の視神経線維が障害されやすくなります。その結果、両眼の耳側視野が徐々に狭窄(きょうさく)・欠損し、進行すると両耳側半盲といわれる特徴的な視野障害を示します。
 また、下垂体腫瘍内での出血による急激な腫瘍容積の増大は、下垂体卒中(かすいたいそっちゅう)と呼ばれ、視交叉の急激な圧迫により、片眼または両眼の急激な視力・視野障害を起こすことがあります。
今日の治療は全体治療と顔面部の局所治療として「視神経萎縮」の治療法をベースに行う事にしました。
主要穴は柳谷素霊先生の「一本鍼伝書」に紹介されている「眼病一切の鍼=風池」の他に晴明・さん竹・球後・れい溝・合谷・光明・腎兪・肝兪・目窓などを使用しました、使用した経穴の中で、
風池は胆経の兪穴で疎通益肝明目の効果があり。
光明・れい溝は肝経と胆経の絡穴で眼球を潤養の効果があり。光明の反応を見たとき気持ち良いと言われました。
晴明は太陽経の経穴で眼部に位置し、刺鍼することで、局所の経気を疎通し補腎益目します。
球後は眼科疾患に効果がある経外奇穴です。
施術後眼が明るくなり気持ちが良いとの事でしたが、利用者さんが「眼がいきなり見える様にならないかな?」と話されるのが、やるせないですね。


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