茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

当院の「不妊治療」と「不妊」に対する東洋医学的な考え方。

2012-03-04 13:47:13 | 日記
当院では不妊治療を行っております。当院の不妊に対する東洋医学的な考え方をご紹介いたします。
現代のストレス社会において、人それぞれ気・血の流れの変調は必ずあります、ですから鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。

 では不妊症の治療において鍼灸治療はどのような効果を持つのでしょうか。

 東洋医学において、大きく分けて肝・脾・肺・腎の4つが、妊娠に影響すると言われています。実際に不妊治療を受けている人を観察すると、特に肝・腎の力が不足している人が多く見られます。昔から、「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。そして、全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとされています。

 腎は、生殖用の精も貯蔵しています。生殖用の精が不足すると、妊娠ができないいろいろな症状となって出てきます。男の精と女の精が合体し、胎児の腎気となり妊娠が成立します。受精した時点で胎児の腎気の強弱が決まっていて、これが持って生まれる「先天の気」です。腎の力は成長と同時にその力も高まっていきます。中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。
 女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。21歳で体格は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈が空虚になり、月経が停止する」
 最近CMでよく見る女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。
 つまり、生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若かくても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

 肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜まってきます。このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。


不妊症では、腎・肝・脾の3臓が大切です。つまり腎経・肝経・脾経のいずれかが弱っている事により、不妊症の諸症状が出てくるのです。鍼灸を用いて、特に腎経・肝経のツボを刺激することによって、自分が本来持っている力を再び取り戻し、卵巣と子宮の機能が高まり、妊娠しやすい体質へと改善されていくわけです。卵巣機能不全などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。けれども東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては西洋医学との併用が有効です。

当治療院では鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「体の冷え」を治療し妊娠しやすい体質に改善をいたします。







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壽堂日記3月4日「がんと鍼灸治療。」

2012-03-04 06:26:47 | 日記
最近患者さんから『がんに鍼灸は効きますか』と聞かれることが多くなりました。当院では西洋医学と東洋医学を併用して疾患を治すのが最善であるとの立場を取っております。国民の二人に一人は「がん」になる時代です、家族・知人に「がん」の患者がいることは珍しい事では無くなりました。鍼灸治療は人間が元々持っている自然治癒力(=正気)を高め、惹起する力があり、免疫力を亢進させる治療法であり、特に灸治療は免疫力亢進に効果があります。当院の鍼灸治療は「澤田流太極療法」と「深谷灸法」ですが灸を使う治療法として、東洋医学界では認識されております。
鍼灸治療がどのような病気に効果があるは「WHO設定の鍼灸治療適応症」が一つのガイドラインです。「がん」、病原微生物による感染症、血管系の病気(脳出血、脳梗塞など)、心筋梗塞などの急性の疾患、手術を必要とする重い病気などは鍼灸治療の不適応症とされています。過去に「がん」になった事がある人が、体に違和感を感じたら再発や転移のおそれがあるため、まずは西洋医学の精密検査を受けるべきであると考えます。
では鍼灸治療が「がん」に対して有効ではないかと言えば、そうではありません。
現代医学でのがん治療は、がん細胞を取り除くために外科手術の放射線治療や抗がん剤が使用されます。がん細胞は邪気でありますから、これを排除するために放射線治療や抗がん剤治療をする事は間違いではありません。ところがこれらの方法はがん細胞と共に正常な細胞まで攻撃してしまいます、それにより自然治癒力(=正気)まで弱くなってしまい、病人の体が治療に耐えられなくなってしまいます。そこで最近では鍼灸や漢方と言った東洋医学が併用され、西洋医学的な手法でがん細胞を攻撃しつつ、東洋医学的な手法で「正気」を助け病人の体を守ることが主流となっています。鍼灸は西洋医学の補完的、代替医療として西洋医学でカバーできない部分を補い「自然治癒力=正気」や免疫力を高めて症状を改善するのに有効であると考えます。








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