■■■■■■■■■■晩秋の古都散策■■■■■■■■■■
■「晩秋の古都」
暫くは雑木紅葉の中を行く 虚子
●紅葉は、京の晩秋を彩る美しき自然の象徴である。
師走を迎えた東山鹿ヶ谷界隈は、日増しに山肌が黄色を増していく。
紅葉の頃もいいが、落葉のころの方が、趣きがあって好きだ。
寒気が迫る中、落ち葉を踏み占めながら、静寂な哲学の道を散策する
風情は、また格別である。
●今年もまた、銀閣から法然院を経て、哲学の道をそぞろ歩き、
小堀遠州がつくつた名庭のある南禅寺別院「金地院」まで、タイから
の客人を案内して観光した。日本の旧き良き詫びと寂びに触れる素晴
しい晩秋の一日だった。
■「法然院の草庵]
●京都の名跡の中でも一番好きなのが、東山山麓の「法然院」で
ある。紅葉の時期の法然院は、自然に包まれた泰西の名画のよう
なたたずまいを見せてくれる。世界に誇る日本の名勝である。
法然院は、鎌倉時代に法然上人によって建立された寺院で、作風
は、写実的で質素、禅文化の趣を取り入れたものである。
約900年を経た今も、草庵は当時そのままの風格を保っている。
■「釣瓶落とし」
●初冬の午後は、陽が沈むのが早い。いわゆる「釣瓶落としである。
あっと言う間に,陽は西に傾く。
法然院の草庵は、濃淡の深いコントラスㇳを強め、やがて静寂な墨画
のような雰囲気を漂わす。ここに佇む事でしか味う事が出来ない有限
の境地といえようか。まさに歴史と自然が織りなす、和の極みである。
(銀閣寺道に集う外国の観光客)
(いつも訪れる、銀閣道入口にある、ぜんざい処 Cafe「里山」)
(銀閣から哲学の道を南禅寺へ)
■【大本山南禅寺金地院」
●南禅寺にある別院の金地院は、小堀遠州の庭園で著名な名刹である。
案内した親しいタイの客人は、定番の南禅寺観光よりも、静寂な禅寺で瞑
想して、庭石の自然と対座し、その醍醐味をたしなみたいと言う。
●「心より心に伝はる花なれば、風姿花伝と名附く」
日本の伝統文化や禅の境地に関心を持つ外国人が、多くなって来た事は
正直言って驚きでもあり、本当に嬉しい限りである。
●しかしその反面、日本の寺は、危機にあるという、全国に約7万を超す
仏閣があるが、そのうちの1万2千の寺には、既に僧侶が不在だという。
何故か。
無宗教日本とか、「葬式仏教」とか言われる中で、いま日本の仏教が、
追い詰められている、 そこには、n二律背反的な難しい現実がある。
(小堀遠州の庭と石庭)
(庭をは眺めて佇む事1時間、まさに禅の境地)
●日本を訪れる外国人は、タイを含め、今年は1500万人を超すという。
5年後の4000万人を視野に 日本全国で新しいおもてなし作戦が始まる。
そのためには、観光だけでなく、日本の伝統文化の真髄を、多くの外国の人
たちに体験して貰ったり知識してもらうことがいかに大切か、改めて認識し
た次第である。
●やがて古都は、東寺の「終い弘法」を掉尾にして、申歳の新しい年を迎える。
●次回は、「日本仏教とタイ仏教」と [インバウンド」について、お話をしたい、
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