そんなに
ため息ばかりつかないで
塩辛い涙を煮詰めて
焦がしているばかりでは
魂が根無しの花のように
いつか枯れてしまう
胸がせつないのは
気持ちが焦っているからです
焦っているのは
何も見えなくなっているからです
あなたがこだわり続けているものが
あなたの魂を呪縛して
まわりのすべてのものから
遠ざけてしまっているのです
空の明るい真昼に
ロウソクを何本灯しても
見ようとしないものは見えない
網にかかった人魚を
海に解き放つように
少しは息を抜きませんか
あなたを縛っているものは
たわいもない小さな暗示なのです
蟻のようにちっぽけな一本のピンが
あなたの影を刺して
動けなくしているだけなのです
(花詩集・13、2004年6月)