エミール・ベルナール
原題「祖母」
画家の実の祖母であろう。冷たい目だ。これは偽物の美人のなれの果ての一例である。
若い頃はそれなりの美人であったのだ。だから結婚もできた。だが、こういう女は、ほかの女の姿をかぶっているので、それを生きることができず、すぐにその姿が崩れてくる。肌も汚い感じで汚れてくる。
それを霊的技術で何とかしまくると、こういう感じになってくるのである。
それなりに箔はあるが、何か目の冷たい、きついばあさんになるのだ。心の中には、常に若い女への嫉妬がうずいている。
本当は、この顔のほうが、本当の自分に近いのだ。年をとると、偽物の女はこうなるのである。きつい性格が表に出る上、若い頃は美人であった恨みが、いやらしい人格を作るのだ。
いやにきれいな女の顔をかぶっているから、どんなにやさしい女かと思ったら、実にきつい女だったのだ。画家はそういう女の性格を見抜いているようだ。嫌な目にもあったことがあるのだろう。