世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

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エリザベス・シダル

2018-02-18 04:16:44 | 黄昏美術館


ダンテ・ゲイブリル・ロセッティ


ラファエル前派の牽引者のひとりであるロセッティの作である。モデルの何げないポーズを描いたものだろう。ロセッティの絵の中の女性は、このように静謐な情感を漂わせたものが多い。

だがこの画家はモデルを愛しているわけではない。モデルの形を描きながら、自分が女性だったらこうなりたいという女性を描いているのだ。

シダルはそれに気づいている。

だが何も言わず、じっとポーズをとっているのである。

ロセッティはシダルと結婚をするが、裏切り続けた。ほかにいい女をいくつもつくり、友人の妻と浮気をしていた。シダルはそれに耐えきれずに、自殺に等しい死をとげる。

妻のそういう死にたいして、ロセッティは嘆くことさえできずに、場当たり的な対応しかできていない。愛していなかったからだろう。

彼が愛していたのは、愛人のジェイン・モリスでもない。多くの愛人たちの中に見ていた、もうひとりの自分なのである。





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