今日もいいお天気になり、昼間はそこそこ暑くなりました。カラッと晴れてはいるものの、秋晴れというには些か暑いような気がするのは私だけでしょうか…。
さて今日10月3日は、アメリカの作曲家スティーヴ・ライヒの誕生日です。
スティーヴ・ライヒ(1936〜)は、ミニマル・ミュージックを代表するアメリカの作曲家です。上の生年にある通り存命中で、現在85歳です。
ミニマル・ミュージック(Minimal Music)とは、音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽のことです。現代音楽のムーブメントのひとつで、1960年代から盛んになりました。
ライヒには様々なミニマル・ミュージックの作品がありますが、ある意味一番それを体現しているといえるのが、1972年に発表された二人の手拍子のための《Clapping music(手拍子の音楽)》というものです。
ライヒと彼のアンサンブルは、1972年にヨーロッパでライブツアーをしていました。そしてブリュッセルでのコンサートの後、プロモーターから「フラメンコを見に行かないか」と誘われて、とあるクラブに行くことにしました。
そこで、ライヒに言わせれば「ギターも歌も下手くそな2人組のミュージシャン」が登場しました(汗)。しかし彼らが大声で手拍子を始めたのを聴いた時に、怪我の功名的にこの曲の着想を得たのだそうです(言い方…)。
この曲は二人の手拍子によって演奏(?)されます。仕組みとしては
タタタンタタンタンタタン、タタタンタタンタンタタン…
というシンプルなリズムの拍手で始まり、それが8回繰り返されてから、第2奏者が8分音符1個分ずつリズムをズラして、それを8回繰り返したところで更に8分音符1個分リズムをズラしていき…を延々と繰り返していって、最終的に元のリズムに帰ってくるまで8分音符1個分ズレをひたすら繰り返していく…というものです。
よくフラメンコの舞台ではカント(歌い手)が手拍子で表拍を刻みながら歌い、合いの手が裏拍を叩いて絡ませていきますが、この曲もそれに似た感じに聴こえるところがあります。ただ、歌が無いのとフラメンコよりもリズムがより複雑になっていくのとが、ただの手拍子ではないライヒ作品たる所以です(笑)。
実際にやってみると分かるのですが、とにかく第2奏者は頭がこんがらがりそうになるのを必至に耐えながらリズムをズラしていかなければなりません。一方の第1奏者は一切リズムが変わらないのですが、横で第2奏者のリズムがどんどんズレていく中で、己を保ちながらひたすら同じリズムを叩き続けるという強靭なリズム感と集中力を必要とするのです。
そんなわけで、今日はその《Clapping music》の演奏(?)動画を転載してみました。下の声部がどんどんズレてリズムが複雑になっていくのを御覧になりながら、たかが手拍子と侮れないライヒのミニマル・ミュージックならではの世界をお楽しみください。