JJ2CJB weBLOG

also W1CJB, V63CB (ex. 9M6/JJ2CJB, XV2CJB, AC2AI, V63CJB)

2. POHNPEI 2023 - 遠征先をPOHNPEIに決めるまで

2023年10月23日 00時00分02秒 | 海外運用

<いくぜポナペ>

 今回遠征で向かうのはミクロネシア連邦のポナペです。ミクロネシア連邦は西からヤップ州、チューク州
ポンペイ州、コスラエ州の4州からなり、その首都がポンペイにあります。ポンペイともポナペとも呼ばれ
独立前からの古い方はポナペと呼ぶ人が多い様です。ちなみに"石積み(Pehi)の上に(Pohn)"という意味だそう。

 2023年の春に池澤夏樹の大人向け童話「南の島のティオ」を読みました。年初の計画にある通り年間100冊以上の
本を読むことをしていますが、池澤夏樹氏は好きな作家のひとりです。この「南の島のティオ」で登場する名詞は空想の
ものに置き換えられていますがポナペの話であることは明白で、チュークへ行ったことのある自分は心弾ませて
読むことが出来ました。丁度それと同じころにチュークのかつてお世話になった方に連絡し、秋に行く打診をした
のでした。

 ところが、秋のチューク行きは難しいと現地から返事が来てしまいました。Blue Lagoon Resortが滞在先の候補ですが
イベントで既に満室であると。後日判りましたが丁度同じ日に横浜DXクラブ50周年記念の運用が行われるので、気を
利かせて私のリクエストをやんわりと弾いてくれたのかもしれません。さてどうしようか、とミクロネシアの無線
ライセンスで日頃お世話になっているJA7HMZ井川さんに相談してみました。

 すると2,3日後に井川さんより、現地の知人に問い合わせたところ使わせてもらえる部屋がありそう、と連絡をいただき
ました。詳しいことは改めてどこかに書くとして、どうやらポナペでの運用場所確保が出来そうな見込みとなったので
早速フライトの予約やトランジットのグアムの宿泊予約などを具体的に進めることが出来ました。JA7HMZ局には
いつも本当にお世話になっておりたいへん感謝しています。ちなみにフライトはユナイテッドでグアム経由となり
ますが、チュークまででもそのもう一つ先のポナペでも料金は大して変わりません。途中チュークにも降りますので
13年ぶりのチュークとなります。

 ということでいよいよ「南の島のティオ」そのものの島へ行くことになりました。これまでいくつか海外運用を
した結果、一番苦労するのはアンテナを立てる場所の確保だったので、今回もまず最初に井川さんに場所の写真を
送っていただくことから始めたのでした。

<いまさらSSBかと言わずに>

 CQWWの10月末はSSBでのコンテストです。日頃海外と交信を楽しんでいる方々の多くは長年経験してきた年長の方が
多いせいか、はたまた新技術に貪欲なアマチュアスピリットのせいか、最近は圧倒的に皆さんFT8に時間を費やして
いる様で、CWもひと頃程は普段の信号は多く無く、ましてやSSBの信号は本当に少なくなった気がします。

 自分も同じですが自宅で無線運用するのにSSBは”うるさい””喉が疲れる””なかなか通じない”が特徴として
挙げられるので、それが避けられるCW、さらにFT8の無音でミスコピーほぼ無しの方になりがちです。凄く分かる。
一方SSBで相手の肉声を聞くとまた違った印象が得られて面白くもありますし、会話が弾めばやはり自然言語での会話に
勝るものは無いでしょう。CQWWPHの時くらいは、ホコリの被ったマイクロフォンに音を入れましょう。

 一方、百戦錬磨のDXerが少なくなればビギナーや小電力局にもチャンスが増えることとなります。先の1でコンテ
ストのいろはを書きましたので、続けてオペレーションのいろはについても記載しておきます。ざくっと理解されたら
是非私のCQに応答してみてください。

<参加にあたって準備するもの>

●設備はなにがいりますか?
  免許された無線局設備であればそれだけで最低限は満たされます。
 CQ Worldwide Contestは周波数が決められており160m,80m,40m,20m,15m,10mの6バンドだけですので
 それら周波数に出ることが出来ればどんな設備でも参加は可能です。
 もちろん他より良い成績を出すためには設備の増強、特にアンテナとロケーションは必須です。

●出力はどの程度必要ですか?
 出力別にカテゴリーが分けられており、HighPower(1.5kW以下)、LowPower(100W以下)、QRP(5W以下)の3カテゴリー。

  海外へ電波を飛ばすので出力が大きいほうが当然有利ですが、小さいからといって飛ばないわけではありません。
 コンテスト中はみんな容赦なくガンガン飛ばしまくりますので、争ったら小電力は負ける可能性高いですが
 コンテストQSOはペースが速く次から次へと進みますので普段よりも小電力局が交信できるチャンスは多いです。
 呼ぶタイミングや分かりやすい信号など、オペレーション技術の差が大いに発揮されます。

●周波数はどの辺りで出ればよいですか?
  バンドプランのSSBが認められた範囲を全てワッチしましょう。普段覗いた際には誰も出ていなかったバンドが
 コンテスト当日には上から下まで隙間なく信号で埋まることもあります。その日のコンディションにも拠りますが
 少なくとも普段より沢山の信号が聴こえるはずです。
 例えば15m(21MHz) なら21.150MHzから21.450MHzまでくまなくワッチします。慣れていない方にありがちなのが
 ダイヤルを回すのが速すぎることです。仮に私が上記の15m全部をワッチすると(途中で交信しながらではなく
 聞くだけで)大抵は2~3分は少なくともかかります。コンテストでは頻繁にCQが出ますのでゆっくりワッチすれば
 それだけ沢山の信号を聞け、その中で応答ありそうな相手を探しましょう。

●記録(ログ)はどうすれば良いですか?
 普段使っているログでも構いませんが、コンテスト用のソフトウェアを使うことをお勧めします。
 N1MM、CTESTWIN、zlogなど色々あり各局それぞれのこだわりがあるようです。
 コンテストログを使わないと不便なのは
 ・コンテストナンバーを入力する専用のインタフェース(入力欄)が無い
 ・得点計算を自分で手でやらないといけない
 ・リアルタイムに今何点かわからない
 ・ソフトでエンティティ、大陸種別は自動判別するが使わないと自力でやることになる
 ・二度目の交信をアラームで教えてくれるが、それがない
 ・コンテストで使わない入力欄が邪魔
 ・ログ提出をネットで提出することがしにくい(あとから手入力を要する)
 などなどたいへん不便です。
 様子見で数局だけ試しにやってみるくらいなら特にログは何でも良いかと思います。

<実際の交信>

●どうやって交信すればいいのですか?
 CQ出している局を呼ぶか、自分でCQ出すか、のいずれかとなります。
 コンテストが始まるとバンド中でCQ Contestと連呼する局が沢山出てきます。まず最初はCQ出している局を
 呼ぶ方からやってみましょう。

 免許の試験で勉強した「CQ3回以下、こちらは、自局コールサイン、どうぞ」の様な定型は全く使いません。
 コンテストは”短く簡潔明瞭に余計なことは一切省く”を徹底して、少しでも短時間に沢山の交信を行います。
 CQ WW Contestですと1分間に3,4交信することはザラにあるくらいのスピード感です。もちろんゆっくりした
 ペースで出ている局もいますが、全体に普段に比べて爆速であると思って良いです。速いというのは早口でと
 いう意味では無く、無駄なやり取りは一切しないことでペースを速くします(多少は早口になりますが)。

 例)V63CBが出すCQをJJ2CJBが呼ぶ場合

 相手 : CQ ビクターシックススリーチャーリーブラボー
 自分 : ジャパンジャパンツーチャーリージャパンブラボー
 相手 : JJ2CJB ファイブナイン トゥーセブン
 自分 : ファイブナイン トゥーファイブ サンキュー
 相手 : サンキュー ビクターシックススリーチャーリーブラボー
 次の交信へ

 こんな感じです。慣れている方なら10秒くらいで1交信終わります。

●コンテストの交信で心がけることは何ですか?
 先の例に示す通りポイントは
 ・最初呼ぶときに一度だけフォネティクスで呼ぶ
 ・出来るだけ正しいフォネティクスを使う。ただJapanなど当たり前に使われているものなら許容範囲です。
 ・「了解しました」「どうぞ」「こちらから」などは一切いらない
 ・Thank youなども不要ですが、それくらいは交わす余裕があってもいいかと私は思ってます。
  海外局からはThank you以外にGood Luckなどが返ってくることは多いです。
 ・QTHとか名前とか前回交信はとかQSLカードは、とかは全く不要です。不要と言うより害悪です。
 ・あまりに短いやり取りであっけないので、交信出来たのか不安になるかもしれませんが大丈夫です。

●相手がミスコピーしたらどうする?
 自分のコールサインを相手がミスコピーすることは良くあります。
 まず焦ってあれやこれや言わず「Negative!」(ちがうよ!)とはっきり伝えます。
 続けて再度やや丁寧にフォネティクスで正しいコールサインを送ります。
 それでもなかなか正しく取って貰えないことは良くあります。そこからはケースバイケースですので
 沢山冷や汗かいて経験値を付けて下さい(笑)。
 どうしても伝わらなければ無視して交信を終えてしまえばその場は良いですが、何がいけなかったんだろう
 と課題を考えることはスキル付けるための貴重な経験となります。

 ・この知識を応用すると「何度もコールサインを送ってしまうと相手は間違って取ったと勘違いする」という
  ことが判ります。よって一度正しくコピーされたらコールサインを繰り返さないことがコンテストでは大事です。

●相手が言っていることが判らないときどうする?
 普段の交信程コンテストで交わす言葉にバリエーションはありません。
 良く聞かれる言い回しには
 Again! もう一回送れ、の意味
 make your callsign! コールサインをもう一度ちゃんと送れ、の意味
 Complete your callsign! 上と同じ
 give me my number! コンテストナンバーを送れ、の意味
 他にもいろいろありますが、それは実際聞いて経験されてください

 

コメント