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DXの地から届いた切手 QATAR(18)

2019年02月28日 00時00分11秒 | DX stamp

A7 - QATARの切手

この国の名前「カタール」はアラビア語の「噴出=qatura」が語源、正に噴出する資源で成り立つ国である。


 そもそも歴史的にアラブ人のイスラム地域のど真ん中であるが、他のイスラム地域同様にオスマン帝国時代を経て

第一次世界大戦のオスマン帝国敗北によりヨーロッパからの、特に英国の資本進出が始まり、これによりアラビア半島の

石油掘削が本格的に始まった。

 そのインパクトが巨大すぎるので、ペルシャ湾西岸のこの地域も石油に代表される地下資源の話に尽きる。

わが国でもカタールからは原油、天然ガスを多く輸入しており特に天然ガスの輸入量は多いが

近年は若干カタールからの天然ガス輸入量は減少している様だ。とは言えエネルギー資源の取引で

カタールと日本の関係は強いものだ。





 英国は1968年にスエズ以東から撤兵したものの、この地をサウジアラビアに独占させないよう周辺部族に積極的に介入してきた。

サウジの北はヨルダン、イラク、クエート、東はアブダビ、ドバイ、シャルジャ、ラアス・ル・ハイマ、フジャイラ、

バーレーン、カタール、アジュマン、ウンムルカイワイン、南はオマーン、イエメン。これらの部族をサウジが呑み込まないように

独立を陰で後押しするが、既に原油益で潤い自力で国家独立する経済力のある2首長は独立した国を興した。

一つがA9(バーレーン)、もう一つがA7(カタール)。残った7首長はA6(アラブ首長国連邦)を結成した。

サウジの独占支配は阻止したものの、細かな各国はサウジともう一つの大国である対岸のイランとの関係も

模索しはじめ、更にはサウジに介入してきた米国との関係、さらにさらにかつての帝国トルコとの関係、等々

この地の勢力関係と敵味方の関係は目まぐるしく変わるとともに、出口が見えにくい。その複雑さのためか

私たち日本人は中東について余りにも知らないことが多い。


 今は2022年のFIFA ワールドカップ開催に向けて盛り上がっている様だ。

Doha Katar. One day in Doha Qatar. Doha city tour. 4k ultra hd. (1/3)


 アマチュア無線局もオイルマネーの恩恵か設備は景気いい。

LUSO36XX and XTR36MG A71VV



 歴史的にはこの辺りのアラブの民は漁業が真珠獲りで生活してきた人々。ところが御木本幸吉が真珠養殖を発明したお陰で

商売は壊滅的になった。生活に困った人々はペルシャ湾の外まで船を出して海賊業をせざるを得ず、ソマリア、イエメンと併せて

この海域は今でも海賊が多く出るエリアだ。

 そんな国に石油が出て、莫大なオイルマネーの恩恵を受ける。

石油様様で金持ちになったバブルな人達だ。カタールには所得税が無いし、電気・医療・電話など全て無料。

一人当たりの富は先進国よりはるかに上を行く。有名な放送局アルジャジーラは首長がポケットから300億円以上を

ぽんっと出して作ったものだ、スケールが違う。


 そんなカタールだが、ちょうど先日OPECから脱退し、同時に天然ガス輸出量の増加を発表した。

軸足を原油から天然ガスへ移して、国際エネルギー市場でのカタールのプレゼンスをさらに高めようとしている。

イランに代表されるシーア派との協調関係も明らかになっており、サウジ及びバーレーン、UAEから断交されたばかり。

かつては混乱時に米国の去就が大きな影響力を発揮したが、今の米国ではそんな力は無い。

一触即発の状況である中でサウジが意向に沿わない論説を書くジャーナリストを殺害する事件が起こり

米国がイラン核合意から離脱したことで大国イランとの関係が急激に悪化し、もう一つのこの地域の大国トルコは

エルドアンが張り切ってどこにでも顔を出しオスマン帝国復活をもくろんでいる気配。


 この地域の情勢は猫の目の様に変わるが、A7の信号が途絶えることが無いことを願いたい。


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