【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

寂しき心 【 大人の 挽歌 】

2007年05月14日 03時03分48秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  


何がいけなかったのか 若かった頃の昔の僕には判らなかった。



あの日から、僕の意識は堂々巡り

暗黒な脳内妄想世界、其処の迷宮回廊にて
為す術も無い苦悶な、懊悩な、永久にかと
何時までもな、終わりなき堂々巡り。

もしも っと
もしか っの

無間地獄 堂々巡り。


未熟な青の時は、刹那で過ぎ去り、今振り返っても、未だに未だにぃ・・・・
あの時何故にと、限りなく、悔やむもの胸に迫りつつ
夜更けて明かり燈さぬ中、音量絞った深夜放送のラジオ聞き

毎晩酒に溺れて、想い出責め逝きました。

肉体は、大人へと爛熟せしも
育たぬ胸の中の心、幼さ心算の半端な未熟者。



夜明けて、寝乱れし枕元。
知らぬ女が共にの、翳も見得ない終わり芝居。

「あんたぁ、もぉすこしぃ寝てようよぉぅ 」

っと、無理にと聞き覚えなき声。 だと。

無理にと、見覚えなき女の冷たき白き手がと。
其れに優しく摑まれし、我が二の腕。
頭に、僅かばかり残りし酒精の残滓、夜の出来事へと戻します。
酔いがと、せいにした、悔やむ出来事。
脳を焼いて、直ぐに想い出させてくれました。

「もぉぅ明るい、お前ぇ帰ってくれ 」

明るい障子から顔逸らさずに、唇、僅か動かしで喋ります。

「ぇ!・・・・・そぅ、醒めたんやねぇ 」
「・・・ぅん、もぉ酔ぉてない・・・・わるいな、そやから帰ってくれ 」

玄関扉、音ナク静かに閉じました。
小股ナ踵で鳴らす靴音、煙草銜え、見つめる扉の向こう側
段々消えながら、遠のいてゆきます。

胸中、忸怩たる責めな物、広がり続けます。

心で 「迎え酒ぇ するかぁ 」 っと。


布団踏みしめ、立ち上がろうとしたら、靴音が。
アパートの鉄の階段踏む音、聴こえてきました。
今度は、段々とハッきりと聴こえて来ながらでした。
小股ナ踵で、古びた板敷きの廊下を、蹴る様に鳴らしながら。

靴音、玄関の外で消え、急にドアが外側にと開かれました。
サッキの女、怖い顔して玄関に入って着ました。
肩から提げてた、茶色い蜥蜴革のバック、自分目がけて投げてきます。
自分、ワザと避けませんでした。
左の耳元掠めて、背中の後ろの襖に当たる音。

「弱虫ッ! 泣き言しかないんかッ!阿保ッぅ 」
「ぇッ お前、ナニ言うんや 」
「うちは、アンタに慰めしたんと違うッ! 」

「・・・・! 」

「うちも、アンタと同じやっと想うさかいにや 」
「同じぃ? 」
「そぉや、うちかて忘れたいことイッパイあるぅ そやからやぁ 」

玄関の外、アパートの住民が歩く足音していました。
朝の普段の生活が、始まったから。


「コッこの味噌汁、旨いわ 」
「そぉかぁ・・・アリガト 」
「ぅん、ホンマニや 」
「・・・・・そぉ 」

朝から、味噌汁の匂い嗅ぐの、久しぶりでした。

「さっきぃ、キツイことして、ゴメンね 」
「ぇえよッ、ホンマのコトやし 」

「・・・・・! 」

「!ッなんで泣くんやぁ? 」
「・・・・泣いてない 」

「・・・・・そっか 」
「ぅん 」

二人、味噌汁啜る音。 静かに部屋の中でしてました。
二人、互いの顔伏せてました。

「アッツイ(熱い)けど、旨いなぁ 」
「ぉぉきに 」
「なぁ 」
「なにぃ 」
「すまんかったなぁ 」
「えぇわぁ 」

「ちがうねん、謝ってない 」

「ぇ! 」
「自分になぁ、ゆ(言)ぅてるんや 」
「ぇ? 」
「わぃ、何時までもなぁ、コンナンしていたいなぁ 」

「意味ぃ判らんよぉ 」

「もぉなぁ、忘れるねん・・・・・そやから、此処に居ったらえぇ 」
「・・・・ぅちがぁ 」
「そや、此処に居ったらえぇ 」

「ホンマニ言うてるん 」

「嘘ぉ言うてどないするんや、あかんかぁ? 」
「ぁかんって・・・・・」

「もぉ、泣かんといてかぁ 」

「なぁんもぅ、泣いてないぃ 」
「ほな、なんや? 」

「嬉しかったら、泣いたらアカンのんかぁ! 」



過去に在った出来事は、後から何かが生まれなかったら
心の中で、想い出には為らんようでした。

何かを忘れ去らなくても、新しく生まれしもので包んでしまい
何時の間にか、忘れたようにする事は、できるようだなぁ・・・・  



 後からそぉぅ思えるかなぁっと。





      


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