【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

嘘の始まり

2011年02月03日 20時35分02秒 | 店の妓 ツネ嬢
 
  
【戯言語り】 
    
眼の前のテーブル越しに坐る、某事務所の社長さん。
物憂いような調子で喋ってきた。
 
 
「儂にぃ、ナニせぇゆうとるんやぁ?」
「そやからサッキ言いましたんや。頼みますさかい怒らんといて下さいぃ・・・・・」
 
ット言い終わらない内に、虚勢を張ってる自分の背後にヒトが迫るのを感じた。
 
瞬間的に身が竦む想いがし、後ろを振り返りそぅになった。
無理にと堪えタブン、ナニが起こるかと判っていたので、備えた。
 
座ってるソファの、独り椅子の背が大きな音発て、蹴られた。
椅子ごと眼前のテーブルに倒れそうになった。
咄嗟な感じでテーブルの硝子天板に両の手を突き、堪えた。
 
「止めとけやぁ」
社長の口調、呟くよぉな静かな物言いやった。
 
椅子は元に戻ったけど、前屈みの態勢で髪の毛を掴まれた。
両腕以外の身体から力を抜いてたので、簡単に上向かせられた。
 
「そやけど社長、糞みたいなんゆぅてますんやでッ!コンボケっがぁ!」
ワイの顔に、痰モドキの唾吐きもって喚いた。
 
部屋の真ん中を仕切ってる衝立の向こう側で
幾つもの椅子が駆られる音と、人が立ち上がる音がした。
 
髪を掴んだ手に尚更力が加わり、顔面を硝子の天板に向かって突っ込まれた。
支えていた腕の力が抜けた。硝子の天板に載った大きなクリスタル灰皿が迫った。
 
「すなや(ヤメロ)!」
 
瞑っていた瞼を開けると、知らずに無理にと顔を背けていたので、左眼ギリギリで止まっていた。
コナイナ近くで物を観るのはぁ、久々やなぁ。ット。
 
掴まれた髪の毛が一度揺すられて放された。
ユックリト、テーブルに突いてた腕を戻し、椅子に坐り直した。
首を横向け、神棚が祭られている事務所の、壁際のパイプ椅子に坐ってるヒトに言いました。
 
「○○さん、ぉおきにですわぁ!」
 
「えぇがなチィフ」
靴先に鉄板が仕込まれた安全靴に、古い歯ブラシで靴墨を擦りつけながらやった。 
 
 
「ホレ、頼んだで」
 
髪を掴んでいた若い衆に安全靴をつきだした。
若い衆、押し頂くような仕草で受け取った。 
 
「社長ぉ、ワイが後は訊いたったら宜しいぃやろか」
「ソナイせぇや、○○チャンのゆぅこと、よぉぅ訊いたるんやで」
 
「判りました、ソナイします」
軽く頷きもってやった。
 
「チィフ、来いや」
出入り口の部厚い扉に向かう背中や肩。堅そうな筋肉太りしてた。
 
「社長さん、今日は要らんコトゆうてもぉて、済みませんでした。堪忍してくださいッ!」
自分、膝の皿にぃ、額がクッツクほどのお辞儀をしました。
 
重たい扉を開けるとき。もぉぅ!優しすぎる位の声が背中で聴こえました。
 
「何時でも遊びにぃ来ぃやぁ」
 
 
倶楽部の飲み代。附けの集金以外じゃぁ、着たくもない場所やった。
 
あの時ぃ、部屋を仕切ってる大きな衝立の向こうと
隣の部屋じゃぁ、イッタイ何人が待機してたんやろぉ。 
 
 
二階からの階段降りる時、心で一段ゴトに、毒吐きモッテ踏みましたわ。
 
縄澤の糞ダボがぁ~ッ!
 
ッテ、イッパイぃ!
 
 
 
【紅い髪の女ツネ嬢】(13)
 

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