わたしは お前の眼を、直視することも出来ずに、
銜えて点けたばかりの煙草の煙を、吐き出すついでみたいにして 聴きました。
「もぉあれから (別れてから) 四年目くらいかぁ ?っ なぁ? 」 っと。
何故って?
お前えが 余りにも、綺麗になっていたから。
どぉしようも無く わたしの胸の鼓動が でした。
あの時っ 別れの最後にお前が叫んだ 言葉っ
「あんたぁあ~! 鈍感よぉお~! 」 っ!
はね、今でも鈍感な私の耳の奥に 響き続けてるよ。
どぉぅして今、君はやさしそうに微笑んでいられるの?
なぁ何故?っ 私のぉ・・・・!っ
「茶ぁ しばかへんかぁ なぁ! 」 っのね、
無理強い決め誘いを、迷う素振りも無く受けたの?
「ぉ! ひっ久しぶりやなぁ!っ 」
「ぅんっ あそこの角からあなたに気付いてたよぉ 」
「ぇ!っ そっそぉなん? 」
「うんっ 右肩上がりの歩く姿勢の人って あんまりいないよねっ 」
「 ぅん 」
もぉ少しで、泣けそうになる言葉です。
だから私ぃ 息を呑んで我慢っ!
出逢ったのは 思いがけずに偶然でした。
観るからに重たい様な 黒っぽいドブ鼠色の雨雲 っが
濡れて立ち並ぶ高層ビル群の テッペンを覆う様に低く垂れ込む 梅雨空。
朝から降り続いていた雨が やっとの切れ間の薄暗い夕方頃
店(倶楽部)の 今夜の仕込みをする為にの出勤途上で
何時もの角を曲がって、俯き加減で歩いていたら
見慣れていたヒールの高い赤い靴が 私の脚を蹴る様な感じで 足元にっ!
雨水溜り弾いて 突き出し置かれました。
今では随分昔みたいな 懐かしい想いの気持ちでした。
お前の誕生日にわたしが贈った 赤い靴ぅでした。
幸せそうで私ね、嬉しかった
けどね、心の何処かで何時かはっ って。
だからね、必死で笑顔っ 作っていたよっ!
っで、君の言葉
「今でも 無理してるんだぁ! 」
恥ずかしかった。私ね ゼンゼン成長してないから
あの頃から
真っ白いティカップ摘んだ細い指 赤いエナメル塗った爪
懐かしさで 横目で盗んで見詰めた。
長い洋モク吹かす仕草 眩しくって!っ
「どぉしてるのっ? 」
っと、聞かれて詰まったっ! 返事に
今でもって、言えなくって
「今でも あそこに居るのっ? 」
「ぅん 居るっ 何処にも往けないから 」
「そぉ 苦しくなかった ? 」
思いがけない言葉っ!
「ぁあっ どないもぉないよぉ 」
何時かは、帰ってくるかも っとの 言葉を飲み込んで言ったぁ!
後から幾ら想い出そうとしてもね、此の時。
他になにを お前と話したか、 あんましぃ想いだせない。
唯ぁ、お前がっ
「私っ 離婚したんよぉ ぇへ! 」
明るく言った。
其れを聴いたわたしの心の底に 静かに何かが広がった
「 ゎたしねぇ明日ね 佐世保に帰るんよぉ 」
「ぇ! そぉなん? 」
「ぅんっ 帰るのっ 」
「 そぉかぁ 」
「 そぉ 」
わたしっ お前の顔。益々観れなかった。
「何時なん? 」
「ぇ? !っ 」
「何時ごろになん? 」
「 ぁ、あぁ! 始発に乗るんよぉ 朝ぁ早いからぁ起きれるかなぁ・・・・」
「そぉやなぁ 未だに苦手なんかぁ? 」
「ぅん 起き難いよぉ 」
「 そぉかぁ ちゃんと起きんとアカンでぇ なぁ 」
「ぅん 頑張ってみるなぁ 」
「 ぉぉ! 」
お前との話し、何の蟠りも無くやった。
其の日の夜 わたしなぁ店で散々荒れたって。
理由は一つ 自分の不甲斐なさ。やった。
酒に逃げて酔い潰れ 目覚めれば店の暗いボックス席の下の 絨毯の上。
酔脳が時間は? っと。
目の前に持ってきた腕時計 文字盤が夜光塗料で正午過ぎ っと。
涙ぁ 止め処も無くやった
声ぇ 幾ら堪えても 暗闇にぃ嗚咽の響きがぁ やった
暫くした或る日の 深夜
店がハネテからアパートに帰ると 切れかけた蛍光灯瞬く階段下の
錆びて赤色ペンキが剥げ掛けた 金属の郵便受けに葉書が
『 あほ! 馬鹿たい! 鈍感たい! 』
っと お前の怒り文字での 言葉が
続く文字言葉は 非難と責める言葉の羅列
瞬く蛍光灯の下で葉書を読み続けると、葉書の端に
何かの雫が落ちて、濡れて乾いた様な 痕がぁ・・・・!っ
言葉の裏が読めました。
文字言葉の最後に 『 迎えに来てください 』
っと。