【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

心は裏腹でした

2006年06月15日 02時07分01秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
   


 【 迷惑 】           


おかぁはんの店の裏通りから 車の止まる音がして、クラクションが短く一度
暫くして、開け放たれていた裏口から おかぁはんの顔が。

「あんたぁ 若社長はんにアンジョウ言うといたからなぁ 」

 自分 おかぁはんと入れ違いに 外に。

出掛けに 「 ぅんっ おぉきに 」 っと。 


路地裏道 真夜中暗さが宵の口のケバさ 隠していました。
其処に、ヘッドライトの灯りを消し停車している 独逸製高級セダン 
夜の暗さの中でもボディの輝き、艶めいていました。

場末の路地裏に
獰猛な獣が蹲る様に、場違いな感じっで 停まっていました。

自分近づくと 運転席のブラックフイルム貼られた窓 
微かなモーター音と共に下がります。

 自分、窓から首ぃ突っ込む様にして 小声で言いました。

「たいしょお(大将) こないなぁ晩い時間に無理言うてぇ すいません
 カンニンっでっせ 」

「気にすなっ あいつにはよぉ世話になってるさかいになっ ええっ 」

 酒屋の若大将 囁き喋りの息に酒臭さがでした。

「おぉきにですっ 」

パジャマ姿の酒類問屋の若大将 助手席から鰐革手提げ鞄取りあげ
中かを手探りで某ブランド物のキーホルダー 指に引っ掛け取り出し 
鍵を外して此方に差し出しました、倉庫のシャッターの鍵を

自分受け取りましたっ 摑まれました!っ 手首をっ! 
蒼白い顔の若旦那 受ける印象からは想像出来ない様な力で、
自分の手首 強く握ってきました。

「真二はんにぃゆうてなっ 我慢しぃやぁって 」

 自分の手首っ 無理やり上下に揺すられっ でした。

「はい 伝えますわぁ 」

 嘘ぉ 言いました

「はよう往ったりぃ 」
「ホンマにおぉきにでっせぇ 」

「あっ!シャッターなっ電動やけどなっチョッと重いけどガンバって自分で開けやっ 
 電気入れると大きな軋みぃするさかいにな 近所のんが間違ぁて警察に泥棒やって
 言うさかいにな 手で開けた方がええでっ 」

「はいっ そぉしますぅ ホンマにおぉきにぃ~! 」


車っ 灯りを消したまま静かに裏通りを表道まで 
ブレーキランプが一瞬 輝き 右に曲がって視えなくなりなった。


「おかぁはんっ 今度真二から連絡あったら 倉庫で待ってるゆうてなぁ 」
「  うんっ、ちゃんと言うとくっ・・・・・こぉちゃん、ごめんなぁ 」
「ぇえよぉ 忘れんとゆうてなぁ 」

自分っ 酔っ払いたかったです。
けどぉ、街のアッチコッチから聞こえるパトカーの狂った様な 甲高い鳴き声
其れが 自分を追い立てる様に聴こえ 今宵始まる出来事への想いが

 自分の背中を 押しました。


『 今夜ぁ なんで皆はんワイの事ぉ 名前で呼ぶねんっ ックッソォ! 』

 叫びたいのを堪えて 夜の空 振り仰げば

   月ぃ 銀色でした。


 今夜 自分の心ぉ メッキリ老けてました

      

  
此の少し前 酒類問屋の大旦那におかぁはん、夜分に無理な事を電話で言ってます。
 
『今までの付き合いやろぉ・・・・・うちの真ちゃんなぁ・・・・ほんでなっ
  どっかに匿えるとこぉないやろかぁ・・・・ 』

自分 茶碗酒ぇ呷りたいのを我慢しぃ 聞き耳立てていました。

押し殺した囁き声で 「ぇ! 息子はん 来てくれますんかぁ! 」 って、おかぁはん。



自分っ 茶碗酒呷りながら
『ぁ!っ また迷惑が生まれるなぁ・・・ 』 っと。 でした