横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

GeoGridの形が見えてきた

2010年01月26日 22時34分26秒 | OSGeo/FOSS4G
 本日開催のGeoGrid成果報告会に出席した。

 GeoGridは、地球観測グリッドを意味し、詳しくはこちらに記されている。このプロジェクトがスタートしてから5年になり、当初は本当にどういう形で実現するのだろうかと感じたものだった。さらに、早い段階からこのプロジェクトがオープンな仕様(OGC準拠)で、ベンダーロックインしない方向性を明快に打ち出していたのには、私は優れた先進性を賞賛したものの、それを実現するためのFOSS4Gツールは、当初は一部にまだ未熟さもあったりして、果たしてどこまで活用できるのかが不安でもあった。

 今年の成果報告会に出席して、いよいよその成果が期待を上回って結実しつつあることを実感した。
GeoGridのアーキテクチャ

 GeoGridは、原則的にユーザーからはOGCのWebサービス群にしか見えない。OGCのWebサービスを実際に利用したことのある人ならおわかりのように、お世辞にもそのパフォーマンスは良いとは言えず、それを改善するのには様々なノウハウを必要とする。また、主コンテンツである衛星画像は、容量や枚数が半端ではなくて160TBとかいう数字が普通に飛び出してくる。どんなデータが利用可能なのかを知るためにも、カタログサービスは必須である。データの仕様に対応した最適なWebサービス仕様が必要なので、サービスの種類は多い。つまり、下手に作ると巨大でやたらと動作の遅い、どうにも使えないシステムになってしまう。完全ではないものの、その課題をほぼクリアできそうなところまで成果が出つつあるようだ。これはすごいと率直に思う。しかも、このシステム自体はOSSとして提供される予定であるという。

 このシステム基盤を活用する方向性での応用研究も種々なされており、後半はその発表があった。産総研は昔の地質調査所を引き継いでおり、ボーリングデータなどの膨大な地質関連資産を所有している。衛星画像に加えて、こうしたリアルな地質データが統合されることで、地球観測グリッドはその価値を高めることができる。さらに、地震や環境系のセンサーネットワークの情報を加えれば、リアルタイム性を持つことができる。こうなれば、GeoGridは、国(あるいは世界)の重要な資産となり得る。

 さて、これだけの可能性を秘めたGeoGridだが、今後鍵となるのは、運用ポリシーだろう。従来の研究組織や自治体組織の利用者だけでなく、広く「コミュニティ」に開放されるものであって欲しい。GeoGridの想定利用者としてしばしば耳にする「研究機関」「自治体」「民間企業」というカテゴリ分けだけでは、これだけツールやデータへのアクセシビリティが良くなった今や、圧倒的に足りない。利用者がどこかの「関係機関」に属していることを前提とする利用普及のアプローチだけではなく、インターネットの向こうに幅広く散らばるユーザーコミュニティがあるという前提でのアプローチも必要だ。もちろん、これらのコミュニティは、国内にあることを前提にするのではなくて、世界中にあるのだから、今回の成果もぜひ英語によるブロードキャスティングにより広めて欲しい。

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