いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

日本は軍国主義?・・・そう言われて、戸惑うのは私たち日本人です。政府の責任は重い。

2013年07月03日 01時35分40秒 | 日記

 中国と韓国から、「日本は軍国主義化した」とか、「日本
は右傾化している」「日本の政治家は右翼だ」という言い方
が、盛んに聞こえてきます。
 あるいは、「日本は歴史認識が間違っている」とか「日
本は歴史を直視せよ」という言い方も伝わってきます。
 韓国の朴大統領は中国を訪問し、習近平主席と会談
しましたが、そこで、「日本は戦争責任を取っていない」
というような会話がありました。

 こういう言葉を聞いて、最も戸惑うのは、ほかならぬ日
本人の私たちでしょう。
 こうした言い方を聞いて、私たちは、
 「え? 日本が軍国主義化しているって? そんな馬鹿
な」
 と思うのが、正直なところでしょう。
 「いま我々が暮らしているこの日本の、どこが、いった
い、軍国主義なの?」
 「日本は右傾化しているって? 本当?」
 と思います。
 ひとことでいって、
 「ウソでしょう」
 という感じです。

 困ってしまうのは、中国や韓国は、日本が軍国主義化し
ていると、どうも、かなり本気で考えているらしいという
ことです。

 日本と、中国、韓国とで、どうして、こんなギャップが
出来てしまうのでしょう。
 どうして、日本は誤解されてしまうのでしょう。

 外国人のブログを日本語に翻訳して紹介するサーチナと
いうサイトがあります。中国人のブログも毎日のように紹
介されています。読んでいると、
 「日本は軍国主義化していて、中国人を敵視しているか
ら、絶対に行きたくないと思っていたが、仕事でやむなく
行くことになった。行ってみたら、日本人はみな穏やかで
礼儀正しく、中国人だからといって、攻撃されることもな
かった。これまで、日本に対して、間違ったイメージを
持っていた」
 というような趣旨のブログが、いくつも、紹介されてい
ます。
 こういうブログを読んでいると、日本がいかに誤解さ
れているか、大変よく分かります。

 実のところ、こうしたギャップや誤解が、日本と中国、
日本と韓国の間だけで止まっている間は、まだしもよかった。
 しかし、最近、朴大統領や習主席がアメリカを訪問し、
オバマ大統領やアメリカ議会に、日本に対する批判をしま
した。
 中国と韓国がアメリカや欧州でそうやって日本への批判
を続けるものだから、問題が、日本と中国、日本と韓国の
間だけにはとどまらず、世界に広がってきたのです。

 日本に対する誤解が世界に広がるとすれば、それは、深
刻な問題で、政府は、真剣に対応を考える必要があるでし
ょう。
 もちろん、どうすれば誤解を解くことができるかという、
その対応です。

 日本は、太平洋戦争が終わり、いまの憲法を持ちました。
 いうまでもなく、憲法9条は、戦争の放棄をうたってい
ます。平和憲法です。
 
 太平洋戦争、というより、第二次世界大戦が終わったの
は1945年ですから、今年2013年で、もう68年に
なります。
 第二次大戦が終わったあと、平和憲法を持つ日本は、戦
争に参加してきませんでした。
 こんな長い間、戦争をしなかった国は、本当に少ないの
です。
 アメリカは、ベトナム戦争が泥沼となり、国力を損じま
した。最近は湾岸戦争で主役を演じ、いまも、アフガニス
タンやイラクで、軍隊を展開しています。
 欧州諸国も、あちこちで戦争をしました。イギリスはア
ルゼンチンとの間でフォークランド紛争がありました。湾
岸戦争では、最も積極的にアメリカを支援しました。
 フランスはついこの前、アフリカのマリに軍事介入した
ばかりです。
 日本が軍国主義化していると批判する韓国は、ベトナム
戦争でアメリカ側に立ってベトナムに軍隊を送り込みまし
た。ベトナムと韓国は何の関係もありません。ベトナムに
してみれば、なんで韓国の軍隊が来るんだという思いだっ
たでしょう。
 やはり日本を批判する中国は、国内ではチベットで紛争
を抱え、国境ではあちこちで隣国と小競り合いをしていま
す。旧ソ連とは、共産主義国同士で、国境において軍事
衝突をしたことがあります。アメリカが去ったあとのベト
ナムとも交戦しています。

 ところが、日本はその間、外国に軍隊を出したり、どこ
かの国と戦火を交えたということなど、ただの一度もない
のです。
  
 戦後68年間、日本は、世界にまれに見る平和国家とし
てあり続けました。
いまの日本は、その延長線上にあります。

 私たちはそういう日本に住んでいます。
 だから、中国や韓国から「日本は軍国主義だ」などと
言われると、反論するそれ以前に、
 びっくりして、
 「えっ? どうして、そんなことになるの?」
 と、戸惑ってしまうのです。

 そういう中国のほうが、はるかに軍国主義でしょう。

 どうして、こうも誤解されるのか。
 そこに、大きな問題があるのです。

 私たち日本人が、いま一番フラストレーションを感じて
いるのは、
 「日本という国は、どうしてちゃんと伝わらないのか」
 「いったい、どうすれば、我々の日本を、実像通り、
海外に伝えることができるのだろうか」
 ということだと思います。

 別の言い方をすれば、
 「日本という国の情報を、海外に向けて、もっと積極的
に、もっとちゃんと発信してほしい」
 「日本のことを、しっかりと、海外に伝えてほしい」
 ということです。

 それには、政府の責任が大きい。
 なかでも、外務省の責任が大きい。

 もちろん、海外に進出している企業は、日本のことを
伝えることができます。
 留学生もそうでしょう。
 民間団体や、NGOも、そういう役割を担えるでしょう。

 しかし、政府とくに外務省は、それが仕事なのです。
 それが、政府・外務省の大きな役割のひとつです。

 政府は、政治家(閣僚)と、各省庁の官僚から成ります。
 閣僚も、官僚も、それぞれの立場で、日本の情報を発信
してほしい。

 しかし、人数からいえば、閣僚は少数です。
 官僚が圧倒的多数を占めています。

 外務省の官僚は、日本の情報を海外に発信する責任があ
ります。

 これだけ日本が誤解されるのは、これまで、日本の情報
が発信されてこなかったためです。
 簡単にいえば、外務省の官僚が、日本の情報を発信する
努力を怠ってきたのです。
日本のことを海外の人にもっと知ってもらおうという意
欲が、決定的に欠けていたのです。
 いや、いまも欠けています。

 これだけ、日本が誤解されるのは、ひとつには、外務省
の責任が大きいのです。

 日本は戦後68年間、ただの一度も戦争をしたことのな
い平和国家であることを、海外にPRしないといけないの
です。それは、日本の誇りなのですから、もっと、それを
海外に知ってもらわないといけない。
 たぶん、海外の多くの人は、そのことを知りません。
 中国や韓国の人になると、そんなこと、ほとんど知らな
いのではないでしょうか。

 政府とくに外務省は、本気になって、日本のことを、世
界に知ってもらう努力をしないといけません。

 官僚の給料は、私たち国民の税金で払われています。
 私たちが、外務省の官僚の雇い主なのです。
 このまま働きの悪い状態が続くようだと、雇い主として
は、給料を返してもらいたいところですね。