「北斗の拳」というコミックは、もう20年以上も前の作品です
が、いまでも、非常に人気があります。
主人公のケンシロウは、人間の体の構造を熟知していて、生死を
分けるツボを攻撃するのです。
彼は、荒廃した街にのさばる悪漢たちを、
「アタタタタタッ」
という気合いとともに攻撃します。
悪漢の体のツボを攻撃するのです。
相手は、何をされたか分からないので、
「なんだお前は。全然効かないぞ」
などと言って、戸惑った顔をします。
そこで、ケンシロウは、こう言います。
「お前はもう死んでいる」。
悪漢が、「へ?」と言った瞬間、
ケンシロウの突いたツボから、悪漢の体が爆発し始め、悪漢は死
ぬわけです。
「お前はもう死んでいる」
というのは、攻撃してから、10秒とか、そのぐらいの時間でしょう。
ケンシロウの「北斗の拳」が登場するまでは、こうした格闘技系
のコミックに、よく、「三年殺し」という技がありました。
格闘技の謎の達人が、相手と組み合い、さっと技をかけて、ぱっ
と離れる。
相手が「?」と思ったところに、謎の達人はこういいます。
「お前は3年後に死ぬ」。
実際、相手は、攻撃から3年後に死ぬわけです。
これを「3年殺し」と名付けます。
初めは、真剣な技のはずだったのですが、だんだん、ギャグにな
ってきました。実際、少年雑誌で、ギャグとしてはやりました。
そこで、こんな技が出来ます。
オフィスや学校で、親しい友人の肩や胸をこつんと軽く突きます。
そこでこう言うのです。
「いま、技が決まった」
「え?」
「お前は、70年後に死ぬ」
これを「3年殺し」ならぬ「70年殺し」
と呼びます。
いま30歳だとすれば、70年後は100歳です。
100歳まで長生き出来るわけですね。
けっこう、うけるジョークです。
「お前はもう死んでいる」は迫力がある。
「お前は3年後に死ぬ」は、ちょっと、くすっとする。
そして、
「お前は70年後に死ぬ」だと、完全なギャグであり、完全なジ
ョークです。
菅直人首相の「めどがつけば」の「めど」は、これと同じです。
いますぐなら、かなりインパクトがある。
しかし、「第二次補正予算もやり、震災の片付けもすみ、原発の冷
温停止も見届けて」ということになれば、
「お前は70年後に死ぬ」
というのと、同じです。
ほとんど、ギャグです。
菅首相は、ギャグを飛ばしたのでしょうか。