いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

菅首相の進退・・・「めどがつけば」と格闘技の「3年殺し」の関係を話しましょう。

2011年06月07日 18時23分03秒 | 日記

 「北斗の拳」というコミックは、もう20年以上も前の作品です
が、いまでも、非常に人気があります。
 主人公のケンシロウは、人間の体の構造を熟知していて、生死を
分けるツボを攻撃するのです。
 彼は、荒廃した街にのさばる悪漢たちを、
 「アタタタタタッ」
 という気合いとともに攻撃します。
 悪漢の体のツボを攻撃するのです。

 相手は、何をされたか分からないので、
 「なんだお前は。全然効かないぞ」
 などと言って、戸惑った顔をします。

 そこで、ケンシロウは、こう言います。
 「お前はもう死んでいる」。

 悪漢が、「へ?」と言った瞬間、
 ケンシロウの突いたツボから、悪漢の体が爆発し始め、悪漢は死
ぬわけです。

 「お前はもう死んでいる」
 というのは、攻撃してから、10秒とか、そのぐらいの時間でしょう。

 ケンシロウの「北斗の拳」が登場するまでは、こうした格闘技系
のコミックに、よく、「三年殺し」という技がありました。
 
 格闘技の謎の達人が、相手と組み合い、さっと技をかけて、ぱっ
と離れる。
 相手が「?」と思ったところに、謎の達人はこういいます。
 「お前は3年後に死ぬ」。
 
 実際、相手は、攻撃から3年後に死ぬわけです。

 これを「3年殺し」と名付けます。
 初めは、真剣な技のはずだったのですが、だんだん、ギャグにな
ってきました。実際、少年雑誌で、ギャグとしてはやりました。

 そこで、こんな技が出来ます。
 オフィスや学校で、親しい友人の肩や胸をこつんと軽く突きます。
 そこでこう言うのです。
 「いま、技が決まった」
 「え?」
 「お前は、70年後に死ぬ」

 これを「3年殺し」ならぬ「70年殺し」
 と呼びます。

 いま30歳だとすれば、70年後は100歳です。
 100歳まで長生き出来るわけですね。

 けっこう、うけるジョークです。

 「お前はもう死んでいる」は迫力がある。
 「お前は3年後に死ぬ」は、ちょっと、くすっとする。
 そして、
 「お前は70年後に死ぬ」だと、完全なギャグであり、完全なジ
ョークです。

 菅直人首相の「めどがつけば」の「めど」は、これと同じです。  
 いますぐなら、かなりインパクトがある。
 しかし、「第二次補正予算もやり、震災の片付けもすみ、原発の冷
温停止も見届けて」ということになれば、
 「お前は70年後に死ぬ」
 というのと、同じです。

 ほとんど、ギャグです。
 菅首相は、ギャグを飛ばしたのでしょうか。



大阪の君が代起立条例・・・こんな条例を成立させてはいけません。これは本当に危険です。

2011年06月07日 01時34分32秒 | 日記

 大阪の公立の小中高校で、君が代を歌うときは起立する
ことを義務づけた「君が代起立条例」が、大阪府議会で可
決・成立しました。
 橋下知事が発足させた大阪維新の会が、府議会で過半数
の議席を持っており、反対した民主、自民、公明を抑えて、
成立させたものです。

 国会と民主党が、不信任案でおおもめにもめている間隙
を縫い、大騒ぎにならず、すいっと成立してしまいました。
 これは、本当に危険だと思います。

 この問題は、ふたつ、大きなポイントがあります。
 ひとつは、言うまでもなく、君が代を歌うときに起立を
義務づけることの馬鹿馬鹿しさです。
 二つ目は、そんなことを、自治体、この場合は大阪府で
すが、自治体が条例で一方的に決めることが出来るのだろ
うか、ということです。

 まず、二つ目の話からです。
 この条例には、民主党はもちろん、自民党も反対してい
ました。自民党は、国会で与党だったころ、「国歌・国旗
法」を成立させています。その自民党でさえ、大阪の君が
代起立条例には、反対しているのです。

 これはなにかというと、既存政党、いまは民主と自民で
すが、既存政党が支持を失ってしまい、「大阪維新の会」
という新しい政党が、あれよあれよという間に、大阪府議
会の与党第一党になってしまいました。しかも、単独過半
数を占めてしまう大勢力です。
 既存政党に対する不満を、吸収したのです。

 第一党になった大阪維新の会は、選挙で焦点にさえなら
なかった君が代起立条例案を、突然、議会に出してきた。
 
 みんな、「えっ?それ、なに?」と思いました。
だって、維新の会は、地方分権や、関西連合など、国煮
対抗する勢力の結集を目的にしていたはずです。
 突然、君が代とは、当の維新の会のメンバーもびっくり
したのではないでしょうか。

 さて、何が問題かというと、こんなことで、君が代を歌
うときに起立することが義務づけられてしまうとすれば、
同じように、大阪維新の会は、どんどん、自分たちの求め
ることを条例案として出し、可決・成立させていけばいい
ということになります。

 これ、こわいですよ。

 たとえば、大阪府の大学生は、1年間、自衛隊で訓練を
受けることという条例を作ることも可能です。
 大阪府では、消費税を15%にしますという条例も作れ
ます。
 大阪府の学校では、入学式のときに、皇居を向いて遙拝
すること、という条例を作るコトも出来ます。

 もちろん、そんな条例は、憲法違反でしょう。
 君が代起立条例も、憲法違反でしょう。
 しかし、成立した条例を、憲法違反だとして提訴しても、
判決が出るまでにいったい何年かかるか分かりません。ま
して、勝訴を勝ち取れると言う保証もありません。
 
 大阪の例を見て、東京や愛知、兵庫と、全国の都道府県
が、同じように、君が代起立条例を出し、成立させたとす
れば、それは、もう、国レベルの法律と実体的には同じ効
力を持ちます。

 既存政党が良い政治をできず、そのすきまをついて、新
しい政党が出来る。そして、その新しい政党が、有権者の
不満を吸収し、ふと気がついたら、圧倒的多数の議席を獲
得し、すべてを支配していた。
それは、戦前のドイツでヒトラーがやったことです。

 あれよあれよという間に、議会の過半数を握った。
 議会を支配したと見るや、選挙のときには話題にさえし
なかったことを、採決して成立させてしまう。

 いま、国のレベルでは、民主党も自民党も支持を失って
います。
 そのすきまを縫い、どこか新しい政党、たとえば、維新
の会が、一気に過半数を握れば、維新の会は、同じように、
国会でも君が代起立法案を提出し、可決・成立させるとい
うのでしょうか。

 理論的には、可能です。
 そして、それは、ヒトラーという前例があるのです。

 これは、本当に危ないと思います。