いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

サマータイムに反対その2・・・日本のお父さんは仕事が終わっても家に帰らないでしょう?

2011年05月25日 21時30分43秒 | 日記



 日本で導入しても意味がないという理由は、もうひとつ
あります。それは、日本人のライフスタイルです。
 
 簡単にいうと、日本のサラリーマン、日本のお父さんは、
会社が終わっても、家にはなかなか帰らないということで
す。
 いま、午後6時に仕事が終わるとします。
 だいたい、多くのサラリーマンは、同僚と一緒にどこか
に飲みに行くでしょう。
 家に帰るのは、夜10時とか11時という時間になりま
す。

 日本のお父さんは、本当に家に帰りません。
 これでは、サマータイムを導入しても、まったく意味が
ないのです。

 なぜ日本のお父さんは家に帰らないのでしょうか。
 それを、逆に、なぜアメリカ人は家に帰るか?から考え
てみましょう。

 ひとつは、アメリカの家の広さの問題があります。
 アメリカの家はちょっと郊外に行くと、一戸建ての家の
敷地が100坪から200坪ぐらいあります。それが普通
の家です。
 そうすると、お父さんの部屋なり書斎があります。
 またどの家にも、ガレージがあり、地下室があります。
特別な家ではなく、普通の家です。
 
 こういう家だと、お父さんの居場所があるのです。
本を読みたければ書斎があるし、工作や大工仕事をした
ければ、ガレージや地下室がある。
 5時に会社が終わって、6時に家に着いて、そこで自分
の趣味なり仕事なり、やりたいことをやる場所があるので
す。
 
 これは大きい。

 翻って、日本の家を見てみましょう。
 お父さんの書斎がある家は珍しいでしょう。
 マンションだったら、ガレージも地下室もありません。
 それに、日本は、家の部屋を決めるとき、子供を最優先
します。たとえば3DKのマンションだとして、子供が二
人いたら、2部屋を子供にやります。1部屋が夫婦の寝室
でしょう。残るDKで、食事をしたり、テレビを見たり、
奥さんが家事をしたりします。
 お父さんが6時や7時に家に帰ってきても、居場所がな
いのです。
 DKは、子供たちがテレビを見ているかもしれませんし、
奥さんが家事をしているかもしれない。
 そこへお父さんが入ってくると、奥さんと子供が使って
いるDKの使い勝手が悪くなるのです。
 かといって、夫婦の寝室は、あくまで寝室ですから、そ
こで本を読んだり、工作をしたりというものではない。
 だから、日本のお父さんは、6時とか7時に、家に帰っ
てはいけないわけです。6時とか7時に家に帰ると、奥さ
んと子供たちで作っている秩序が崩れてしまうのです。
 だから、日本のお父さんは、外で時間をつぶしてから、
遅くなって家に帰るのです。そのころになると、もう子供
も寝ているから、DKが使えるようになっています。

 テレビで、ディアゴスティーニという会社が、工作のキ
ットを宣伝しています。毎週ひとつづつ送られてくるパー
ツを組み立てれば、戦艦大和やフェラーリ、あるいは、電
気機関車の模型ができるというものです。
 アメリカの家なら、これは十分にできます。お父さんの
書斎はあるし、ガレージもあるし、地下室もある。毎週送
られてくるパーツを組み立てる場所もあるし、それを置い
ておく場所もあるのです。
 ところが、我らが日本の家で、どこにそんな場所があり
ますか?
戦艦大和を組み立てようと思っても、どこで組み立てれ
ばいいのでしょう。どこに置けばいいのでしょう。

 だから、日本のお父さんは、本当に、家に帰らない。
 仕事が終われば、会社の同僚と、会社の近くの飲み屋で
いっぱいやり、ようやく電車に乗ったと思ったら、家に帰
る駅で、駅前の飲み屋にまた入る。
 本当に、家に帰らないのです。

 サラリーマンのお父さん、つまり、社会の主力を作る働
き手がこれだけ家に帰らない国では、サマータイムを導入
しても、まったく意味がないのです。

 サマータイムは、明るい夏の間は、時計の針を1時間進
め、早く仕事を終わって、早く帰宅し、夏の明るさを楽し
もうというものです。自然の明るさを楽しむのですから、
電気は点けない。だから、節電になるわけです。

 ところが、会社が終わっても家に帰らず、飲み屋によっ
て長い時間いるのであれば、明るさを楽しむということに
は、まったくなりません。
 それどころか、飲み屋の電気の使用量が増えて、かえっ
て、電力消費量が増えるかもしれません。

 サマータイムが導入されても、新橋の駅前では、まった
く何も変わることなく、お父さんたちが、飲み屋に入って
いきます。
 それが目に見えるようです。

 サマータイムの導入に反対する理由の第一として、サマ
ータイムが高緯度地方でこそ効果があるという地理的な理
由を挙げました。
 今回は、サマータイムの導入に反対する第二の理由を書
いたわけですが、それは、サラリーマンのありようという
問題です。簡単にいえば、「ライフスタイル」の問題です。
 これだけライフスタイルの違う所で、サマータイムを実
施しても、まったく意味はありません。

 前回と今回で、サマータイムの導入に反対する二つの理
由を書きました。
 次回は、その補足をします。
 では、また。