いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

福島原発・・・メルトダウンしていました。ところが、あまり大きなニュースになりません。それが危ない。

2011年05月15日 01時31分20秒 | 日記

 福島原発の1号機がメルトダウンしていたことを、東電
が発表しました。
 2号機、3号機も、その可能性があるといいます。

 これは、ものすごいことです。
 メルトダウンというのは、核の燃料棒が、空だき状態に
なり、すっかり溶け落ちて、容器の底にたまってしまった
ということです。
 もし、そのまま容器の底を溶かしてしまえば、建家の床
も溶かしてしまい、地面にまで届いてしまう可能性だって
あります。
 アメリカの原子炉でそういうことが起きたら、溶けた燃
料棒が、地球にめり込み、そのままアメリカと反対の側に
ある中国まで行ってしまうーーというので、かつては、チ
ャイナ・シンドロームという名前までついていました。
そういうタイトルの映画もあります。ジェーン・フォン
だが主演していました。

 福島で、実際に、そのメルトダウンが起きていたのだと
いうのです。
 幸い、容器の底にたまっており、容器を溶かして外に出
るまでにはなっていないーーということのようです。

 すごい話でしょう。

 ところが、新聞各紙は、それほど大きな扱いになってい
ません。
 騒ぐのが好きなテレビのニュースでも、そうたいして「騒
いでいませんでした。

 それが怖いのです。

 もし、このメルトダウンが、震災後、早いうちに起きて
いたら、新聞もテレビも、大騒ぎしたことは間違いありま
せん。
 もしかすると、パニック状態になっていたのではないで
しょうか。

 もちろん、パニックになる必要はありません。
 しかし、メルトダウンを、これだけ小さなニュースにし
てしまっていいのでしょうか。
 本来は、もっと大きなニュースでしょう。

 福島原発の事故から、2か月たちました。
 この3、4週間は、原発も小康状態になってきて、なん
となく、落ち着いた感じになっています。
 報道は、引き続き、一面トップで続いていますが、むし
ろ、今後どうするかーーという記事が多くなっています。

 あれほど騒いだ放射線も、東京では、なんとなく、遠い
世界とまではいいませんが、ちょっと遠い感じの話になっ
てきています。
なにしろ、事故直後は、自宅待機というような企業まで
あったのですから、そのころに比べると、平穏なものです。

 その中でのメルトダウンです。
 だから、かつてほどの緊張感がありません。
 しかし、それが危ない。
 メルトダウンというのは、大変なことです。
 処理が格段に難しくなるのではないでしょうか。
 事故処理の工程だって、かなり遅れるでしょう。
 
 原発の報道で難しいのは、事故そのものが非常にわかり
にくく、専門知識がないと正確な記事を書きにくいという
点にあります。
 過大評価せず、過小評価せず、しっかりと判断する。
 
 メルトダウンのことは、過小評価しすぎではないでしょ
うか。
 報道する側は、もう少し緊張感を、持続しないといけな
いと思います。