シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

今井正監督「にごりえ」(1953年、130分)☆☆☆★

2020-11-28 14:55:49 | 日本・1950年~


樋口一葉による「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」をオムニバス形式で作品化した映画です。明治時代、市井の片隅に生きた女性たちの苦悩、哀しみを描いています。

第一話は「十三夜」。高級官吏の家に嫁いだ「おせき」(丹阿弥谷津子)が夫婦の不和で実家に戻ってきます。母は同情しともに泣きくれますが、父は厳しく「おせき」に帰るように諭します。帰り道、人力車の車夫は幼馴染みの録之助(芥川比呂志)でした。

第二話は「大つごもり」。資産家の家に奉公にでた「みね」(久我美子)は、病弱の育ての親(中村伸郎)に二円の前借りを依頼されます。しかし、奥様(長岡輝子)に前借りを断られ、窮余の策で、二円を盗んでしまいますが・・・。

第三話は「にごりえ」。本郷の小料理屋で働いている「お力」(淡島千景)は、その苦界から逃れようとしています。もと妻子のある元蒲団屋の源七(宮口精二)は有り金をつぎ込んで「お力」に入れあげていましたが、「お力」は彼に会おうとしません。源七は彼の素行にやかましい妻(杉村春子)と離縁します。しかし、なんとも悲しい結末に・・・。

明治時代の若い女性の暮らし、哀感を描いた樋口一葉の作品は、今井監督の手によって生き返りました。
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