昨年、7月14日に下書き投稿したものを加筆修正して投稿公開しました。
≪モントブレチア≫
昨年撮影したモントブレチアですが、今年もこの時期咲いています。
テレビやエアコン等のリモコンが動作しなくなることがあります。
デジカメでもありました。
機能切替のスイッチが動作しなくなってしまいました。
修理に出しましたら、電子基板動作不良と言うことで、基板が交換されて戻って来ました。
しかし、しばらくしてまた、同じ動作不良が出ました。
今度は、修理に出さず、しばらくそのままにしておきました。
すると、正常に動作するようになりました。
このようなトラブルを経験された方は、多いのではないでしょうか?
この原因は、湿度によるものと考えられます。
温度が高く湿度が高いと湿った空気がケースの隙間を通して機器のケース内に取り込まれます。
温度が下がると空気が冷やされ飽和蒸気圧が下がり電子部品を搭載した基板に水滴が付きます。
また、温度が下がると、空気の体積が小さくなり密閉されたケース内の空気は外に出にくくなります。
このことも、内部に水滴を作り易い一因になります。
水滴が、純水であれば、電気を通すこともないので、問題は少ないのですが、大抵チリやゴミががケース内に入り込んでいます。
不純物が水分に含まれ電気を通すようになります。
最近の電子機器は、高密度の実装をしています。
ICなどの接続端子の間隔は、大変小さなものです。
プリント基板の配線の間隔も大変狭いものです。
更に、最近の電子回路のインピーダンスは大変高くなっています。
電子機器の省電力化により、回路を流れる電流は、大変小さくなっています。
これらの為に、水滴が付くと絶縁抵抗が下がり、ショート状態になります。
これによって、電子機器が動作しなくなったり、動作がおかしくなるのです。
これらは、新品の製品で起きることは少ないですが、時間の経過とともに起こる確率が増えます。
それは、チリやゴミがすぐに付くものでなく、時間を経過して次第に溜まるからです。
この類の故障は、時間が経過すると直ってしまったり、ケースの蓋を開けると直ったりします。
それは、内部の水滴が乾燥してしまったり、ケースを開けることによって、内部の湿気が外に出てしまうからなのです。
この種の修理は、修理時点で症状が出ないことが多く、原因が突き止めにくいものです。
今回は、テレビリモコンの修理をしました。
このリモコンは、ビスを一つも使わずに、はめ合わせで、ケースを閉じるように作られています。
(このような構造は、温湿度の影響を受けやすいと考えられます。)
解体の方法が分からなかったのですが、ネット上に外し方の記事がありましたのでそれを参考にして開けました。
プラスチックカードを隙間に挿入してこじ開けます。
≪ケースを開けた状態≫
ケースから基板を取り出し分解しました。
≪3つのパーツに分解≫
基板のX1(セラミック振動子)と書かれた辺りとVccと書かれた付近が汚れています
≪基板表面の汚れ≫
基板の裏側の左下付近にも水濡れしたような縞模様のシミ跡が見えます。
これは、基板表面の汚れの有るカ所の真後ろに当たります。
また、ICの右側列も汚れているようです。
≪基板裏面の汚れ≫
これらの汚れを落とすために、基板を綺麗な水で洗浄し、良く乾かします。
洗浄の際、歯ブラシのようなもので軽く擦って掃除をします。
あまり強く擦ると部品が外れたり、レジストがはがれたりするので、シミや汚れが取れる程度にブラシを掛けます。
乾燥後、シリコーンを塗布して、防湿処理をすると良いのですが、入手が出来ないのでそのままにしました。
その他筐体内部の汚れやチリも除いておきます。
清掃の終わった各パーツを組み立てなおします。
電池を入れてテストしました。
分解前は光らなかったリモコンの通信用LEDがスイッチを押すと点灯します。
もっとも、この光は、肉眼では見ることが出来ません。
電子カメラなどを通すと見ることが出来ます。
TVに向かってリモコンのスイッチを押すとTVの各機能が動作します。
これで、修理完了です。
暫くして確認しても動作しています。
湿度によるトラブルには大変苦労した経験があります。
電子機器の故障で多いのが、湿度によるものだと思います。
しかし、その故障のカ所を見出すのは大変難しいものです。
一度、筐体内に取り込まれた湿度は、なかなか外へ出ないのですが、一度筐体を開くと湿気が散ってしまい故障の症状が出なくなってしまうこともあります。
低電流で動作する回路のインピーダンスは高く、ちょっとしたことで、回路のインピーダンスが下がってしまい、動作しなくなるのです。
対策は、基板の防湿処理です。
最近のエアコンのカタログを見ると、基板の「シリコンコーディング」をうたい文句にしているものを見かけます。
正に防湿対策なのです。
電子機器の故障の原因となるのが、夏は湿度、冬は静電気です。
トヨタの車がアメリカでトラブルを起こしていたことがあります。
日本では、それほど騒がれませんでしたが、アメリカでは大問題になりました。
恐らく、その原因は静電気だと思っています。
私も、携帯機器を開発して経験しました。
アメリカの静電気と日本の静電気では、発生する電圧が大変違っていて、アメリカの方が高く、発生頻度も多いです。
静電気も湿度同様、わずかな隙間にも入り込みます。
静電気が入り込まないように、電子機器を金属で完全に覆えばいいのですが、必ずしもそうできません。
車ですと、車内に沢山の配線がされていますから、これらの配線を通して静電気が電子回路に流れます。
私が扱っていた携帯機器ですと金属で覆うことすら出来ません。
対策には、苦慮させられました。