第二次世界大戦下のロンドン。ベンジー家の4人兄妹は、疎開のため、田舎の古い屋敷に預けられる。長兄のピーター、長女スーザン、次男のエドマンド、そして、無邪気な末っ子のルーシーは、屋敷の中で静かにするように、と女執事に厳しく言われる。しかし、遊び盛りの4人は、言いつけを破り、怖い執事に見つからないように、屋敷中に隠れる。末っ子のルーシーが隠れた部屋には、衣装ダンスがあった。扉を開けるルーシー。すると、そこは一面に雪が降り積もる森だった。衣装ダンスは、別の世界への入り口だったのだ。
世界中で愛されている名作ファンタジー「ナルニア国ものがたり」をディズニーが映画化。恥ずかしながら、原作は全く読んだことなし。名作ファンタジーというだけに、どうしても先に公開された「ロード・オブ・ザ・リング」と比較してしまうが、そこまでのレベルまではいかないまでも、十分満足できるものだった。
こういったファンタジーは、その世界に入り込めなかったら、最後まで感情移入できないまま終わってしまうことが多いが、その点、現実の世界から物語が始まるこの映画は、自然にナルニアの世界に入り込みやすくなっていて、なかなかうまい構成になっているなと感じた。
ライオンのアスランはじめ、物語に出てくる多くの動物や想像上の生物たちは、最新のCG技術で毛並みのつやまで非常にリアルに映し出されていて感心。しかもそいつらが、普通に人間の言葉しゃべってるんだから、その様子を見ているだけで楽しくなってくる。これは子供には大うけに違いない。
また、ビックリしたのは、この映画(原作か)が、思いっきりキリスト教的世界観に基づいて作られているところだ。ライオンのアスランは、誰がどう見てもイエズス・キリストをモチーフに作ったキャラクターであることは疑うべくもないし、ちょっとした台詞の中にも、キリスト教を連想させる言葉がたくさんでてきてびっくりした。途中、これはキリスト教布教のための作品かと何度も思わされるくらいだ。こういった面から見ても、この映画、また違った楽しみ方ができるでしょう。
人間ドラマがちりばめられてあり、手に汗握る展開の続く「ロード・オブ・ザ・リング」に比べると、そのストーリーとドラマの単純さで不満が残るところだが、ディズニーの映画らしく、勧善懲悪かつ、兄弟愛といったテーマを織り交ぜていて、安心して見ることができました。派手な戦いのシーンもあるが、ほとんど残酷な描写はなし。大人には物足りないかもしれないが、小さな子供もターゲットにしているという点から見ると、やむをえないだろう。