趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
日立電鉄 車内乗車券
平成17年に廃止された、日立電鉄の車内乗車券です。
同鉄道は昭和46年に日本初の郊外電車でのワンマン運転を開始したという経緯があり、それ以降はワンマン列車とツーマン列車の2本立てで運転されていましたが、平成8年に全列車がワンマン化されてしまっています。
御紹介の券は完全ワンマン化直前である時期の平成7年頃に購入したもので、黄色JPRてつどう地紋の駅名式券です。同社の硬券や補充券類が山口証券印刷調製であることから、この券も同じ調製であるものと思われます。
比較的晩年の様式であるにもかかわらず、領収額欄に「5円」があるのが特徴です。
発行箇所名は「乗務員区」となっており、「乗務員区 車掌 発行」という表現も特徴的です。
2枚目の券は、昭和53年頃に乗車した際に購入したものです。
やはり黄色JPRてつどう地紋の駅名式券ですが、1枚目の券とは異なり、「発売当日限り有効」が「通用当日限り」となっていた点や、発行箇所名が「久慈浜車掌区 乗務員発行」となっていた点が異なります。また、当時は分社化していなかった自動車線(バス)の記載もあり、鮎川駅接続でバス区間までの連絡乗車券も発行できるようになっています。
2枚を比べてみますと、基本的にはあまり様式的に変化はないのですが、左上にあった自動車線の記載部分が削除されて鉄道線の記載部分そのものが上に移動し、金額欄も5円以外の5円単位の金額が削除されたことによってマス目が少なくなり、その結果に生まれた空白部分が記事欄になったような印象を受けます。
宮福鉄道 福知山駅発行 金額式乗車券
昭和63年7月に福知山駅で発行された、金額式乗車券です。
入場券同様の日本交通印刷による調製で、宮福鉄道自社地紋のA型券となっています。
裏面です。
宮福鉄道はワンマン運転でありましたため、料金機対策が施されています。
前回エントリーでも申し上げました通り、宮福鉄道は開業から1年で北近畿タンゴ鉄道になってしまいましたため、宮福鉄道自社地紋はせっかくオリジナルのものが作成されたにも拘わらず、わずか1年の短い期間しか使用されませんでした。
しかし、この金額式の様式は、北近畿タンゴ鉄道地紋券となったうえで、北近畿タンゴ鉄道に引き継がれて現在も使用されています。
宮福鉄道 福知山駅発行 硬券入場券
昭和63年9月に、宮福鉄道福知山駅で発行された硬券入場券です。
日本交通印刷調製の無地紋A型券で、社名が中央上に印刷されている様式です。
宮福鉄道は国鉄再建法によって工事が凍結された宮福線を引き継ぎ、昭和63年7月に非電化の第三セクター路線として福知山~宮津間が開業しました。この券は開業から2カ月経った時期の発行ですので、おそらく開業時に設備された券であると思われます。
その後、宮福鉄道は平成元年8月にJR宮津線の引き継ぎが予定されていたために北近畿タンゴ鉄道に改称され、宮福鉄道は開業から1年あまりの社名となってしまっています。
宮福鉄道であった路線は北近畿タンゴ鉄道宮福線となり、直流電化によって高速化され、JR直通の特急列車の走る路線となっています。
JR四国 津島ノ宮駅発行 金額式乗車券
平成2年8月4日に、予讃線津島ノ宮駅で発行された、金額式乗車券です。
赤色JRS地紋のB型券で、管理駅である多度津駅発行となっています。
津島ノ宮駅は予讃線の駅ですが、毎年8月4日および5日の津島ノ宮夏季大祭開催日のみ営業される臨時駅であり、長期休止となっている駅を除き、日本一営業時間の少ない駅として有名です。そのため、同駅発の乗車券を購入するためには、年2日の、しかも、日中の営業時間のみという限られた時間しかチャンスがないことになります。
平成2年の営業時には硬券乗車券に予備鋏による入鋏を入れての発売となっていましたが、翌年には入鋏に変化が見られました。
ダッチングが薄いですが、平成3年8月4日に同駅で発行された乗車券です。
パンチによる入鋏は廃止され、スタンパーによる入鋏に変わっています。
スタンパーも管理駅である多度津駅のものではなく、津島ノ宮駅専用となっており、これはこれで大変貴重なものになっています。
JR四国の金額式乗車券には、国鉄時代から大人・小児用の様式は未見であり、恐らく存在していなかったものと思われますが、そうなりますと小児用の券があることになります。
やはり、同駅にも小児用の設備があり、このような硬券が発売されていました。
現在でも営業日には駅員が多度津駅から派遣されているようですが、硬券での発売はなく、車発機による発売となっているようです。
南海電鉄 和歌山市駅発行入場券
平成22年3月に南海電鉄和歌山市駅で発行された入場券です。
白色無地紋のA型千切り式軟券で、発行都度日付印の捺印と発売時間を記入して発売されます。本来はA型券の大きさなのですが、ちょうど「耳」がついている券でありましたため、耳を切り取らない状態で発売していただきました。
和歌山市駅は南海電鉄本線と和歌山港線の他にJR西日本紀勢本線の共同使用駅となっていますが、南海電鉄の駅として開業したことに由来し、南海管理駅となっており、JRの入場券は発売されていません。そのかわり、南海電鉄の入場料金は150円ですが、JRの料金に合わせた140円となっています。
しかし、なぜか券売機で発売されている券については150円となっており、それを知らないで券売機で購入してしまうと10円の差額が発生してしまうという珍現象が起こっています。
このことについて南海電鉄の社員の方に理由を伺ったことがありますが、「南海の券売機では乗車券の初乗り運賃より10円安い140円の設定ができないため、そのまま150円で発売している」とのことです。
いったい、それで良いのでしょうか?
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