JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
国鉄東京印刷場製金額式乗車券いろいろ ~その6
国鉄東京印刷場製金額式乗車券いろいろの第六弾は「地方に飛び出した東京印刷場製金額式乗車券」についての2回目です。
② 新潟仙台地区用小児券
では、新潟仙台地区用の小児券についてみて見ましょう。
これは会津線会津田島駅で発行された小児券です。一見首都圏近郊のものと同一のものに見えますが、記載事項に決定的な違いがあることがわかります。
代々木駅発行のものと見比べてみるとわかりますが、首都圏近郊のものは発駅の下に小児運賃の記載があり、運賃区間については大人運賃が記載されています。
それに対し、新潟仙台地区用のものは発駅の下に小児運賃の記載がなく、運賃区間の欄に小児運賃が記載されています。このことは連載5回目の1枚目にアップされている会津田島駅発行の大人小児用140円券を見れば、70円という金額が大人運賃の半額であることがわかります。
これはもともと、東京印刷場では運賃区間はあくまでもその有効な営業キロに対する運賃を記載することを基本としたルールとして規定されていましたが、他の印刷場では必ずしもそうではなかったということに起因しているようです。
上の例を見るとわかりますが、仙台印刷場と新潟印刷場の金額式券の場合、東京印刷場のものとの大きな違いとして、大人小児用には小児運賃の記載がなく、また、小児券においては運賃区間の表記は小児運賃となっています。
新潟印刷場分につきましては、東京印刷場に移管されるまでの間に民間印刷券(共同印刷製)のものが一時期あいだに挟まっていますが、こちらについても新潟印刷場から委託された形での印刷となっていた関係上、あくまでもレイアウトは新潟印刷場のものに準じたものとなっていました。
新潟・仙台各印刷場の券が東京印刷場に移管される際には、出改札現場や旅客の混乱を防止するため、敢えて東京印刷場の規定に統一させることなく、各印刷場の慣習に則った方法で印刷されたため、首都圏近郊のものとは違った様式として登場することになったようです。
しかし、国鉄民営化によってJR東日本として発足した際には、「□東」の券は東京印刷場に一本化されたまま、首都圏近郊の様式に統一されてしまったようです。
それでは次回、静岡地区でも東京印刷場の券が進出していますので、そちらの方を研究して行きましょう。