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【0905/41:稲作問題】「キヌヒカリ」夏の高温で品質低下:他品種米へ転換加速

2009-05-07 22:30:59 | Weblog

【写真:JAレーク大津が育成している「レーク65」の苗=大津市で】

 県内で多く栽培されている「キヌヒカリ」の品質低下が顕著になっている。夏の異常高温により、米粒が白くなる乳白被害が急増したのが原因。大津市のJAレーク大津が、暑さに強い「レーク65」への転換を進めるほか、県も別品種の拡大を図っている。

 昨年、大津市内で収穫されたキヌヒカリは、品質の良さを示す一等米比率が2割程度まで落ち込んだ。穂の出る夏の夜間に異常高温が続き米に十分な栄養が行き渡らなかったことで、米粒が白く濁る乳白が増えた。

 キヌヒカリは、味の良さと栽培のしやすさから20年前に県内で導入され始めた。全県で2割、大津市内では5割以上の作付けを占める。もともと暑さに弱く、乳白しやすい品種だったため、近年の異常高温で品質が急速に悪化した。

 JAレーク大津は今年、キヌヒカリに代えて、県の試験場が開発した暑さに強い「レーク65」の作付けを推奨。100ヘクタール分、2万3000個の苗箱を育成したが、農家からの注文が相次ぎ、苗の育成が追い付かない状態だという。

 レーク65はキヌヒカリと栽培方法が似ているため、兼業の多い管内の農家に受け入れられやすい。JAレーク大津は「3年後には、全体の3割まで作付けを増やしたい」とする。

 これとは別に、県もキヌヒカリの作付けを減らし、収穫時期の違う「秋の詩」へ転換を進める方針だ。

 県はかつて全国平均を超える80-90%の一等米比率を維持していたが、ここ十数年は60-70%程度と全国平均を下回る年が多い。県は「近畿最大の稲作県として、高い一等米比率を維持したい」と品種転換による品質向上を目指す。

 レーク65も秋の詩も、味の良さはキヌヒカリと変わらないが、知名度が劣るのが難点。消費者はブランド米を嗜好(しこう)するため、名前の売れない米は需要が少ない。

 レーク大津は、市内に2つある直売所でレーク65を直販し、地元の特産としてのブランド化を図る方針。「商品に特徴を付けることで生産者のやりがいも増えるはず」と狙う。

 県は「評価が高くても需要がないとだめ。品質向上と平行して、ブランド化のための応援が必要だ」としている。

 (小西数紀)


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