【写真】感謝使節が琵琶湖源流の元水を湖上から注ぐ、びわ湖まつりの感謝祭。時代の流れで、約70年の歴史に幕を下ろす(2001年8月)
もうそんな時勢ではなくなった―。滋賀県の新年度予算案で廃止・縮小された事業の中には、社会情勢の変化を受けて存続が見直されたものがある。大がかりな観光イベントや、たばこ購買の推進、職員のレジャー補助など、長年続けられてきた事業が時代の波に洗われた。
■慣例事業あれこれ
県内全市町村から選ばれた女性の「感謝使節」100人余りが遊覧船に乗り込み、竹生島へ渡って琵琶湖への感謝をささげる。かつてはこんな光景が繰り広げられた「びわ湖まつり」だが、本年度限りで中止が決まった。
観光客誘致を目指して1935年に始まり、以来毎年8月に行われてきた。年々参加する自治体が減少し、本年度の参加は6市町のみ。観光客の誘致効果も「びわ湖大花火大会」の35万人に対し、同まつりは関連イベントと合わせても2万8000人にとどまっていた。県商工観光課は「誘客力が中途半端だった」と話す。
健康志向の高まりを受け、県はたばこ税の増収を目指す補助事業の打ち切りも決めた。販売促進のため毎年「県たばこ連絡協議会」に支出していた100万円を廃止する。県税政課は「たばこに対する風当たりが強まっている上、補助の効果がはっきりしなかった」と話す。
たばこをお歳暮にする時代の名残から、補助金で歳末にマスクやカイロを配っていた同連絡協議会の初田勝事務局長は「協議会の会長は副知事が務めるなど、県も昔は事業に力を入れていた。時勢とはいえ、一方的に打ち切るのは許せない」と憤る。
ディズニーランド入場やゴルフ場利用、スポーツ観戦に釣り具の購入…。県教委は、職員の余暇や健康づくりの一環としてこのような活動の4割を公費で補助していたが、それも廃止する。これらは教職員互助会の事業で、公費削減は年間1億円に上る。
すでに一般職員の互助会では見直しが進んでおり、県教委も歩調を合わせた。県教委は「全国的な公務員の厚遇批判の中で、県としても見直した。今の社会情勢には合わず、10年度までに公費補助を限りなくゼロにもっていく」としている。
(2月28日付け京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022800043&genre=A2&area=S00