守山市小浜町の川で昨年12月、彦根市高宮町の会社員菊地嘉津也さん=当時(23)=が飛び込むよう強制されて水死した事件で、恐喝と傷害致死の罪に問われた本籍福岡県立花町、無職原聖和被告(26)に大津地裁は9月16日、懲役9年(求刑懲役12年)を言い渡した。
坪井祐子裁判長は「あまりに理不尽。被告人の粗暴で酷薄な性格が根本原因。遺族の嘆きも深い」とする一方、「被害者を死に至らしめたことについては謝罪している」とした。
判決によると、原被告はボールペンを同僚の菊地さんが誤って持ち帰ったことなどに腹を立て、昨年12月15日、車中で菊地さんを脅して10万円を奪い、「ダイブ」と言って水中に飛び込ませて死亡させたとされる。
◆「息子の悲しみに近づきたかった」 被害者の母親会見
「息子の苦しみに少しでも近づきたかった」
県内で初めて被害者参加制度が適用された今回の裁判で、判決後、被害者の母親の菊地恵理さん(47)と、妹の春菜さん(22)が会見した。
「親としての気持ちを話そう」。そう決意して臨んだ裁判だったが公判でつらい現実を突き付けられ、恵理さんは何度も逃げ出したくなった。そのたびに息子の苦しみはこんなものではないと気持ちを奮い立たせてきた。
量刑には納得できないとしながらも、恵理さんは「思いは届いた。きっと嘉津也は『おかん、がんばったな』と言ってくれる」と涙を見せた。春菜さんは「兄の分までお母さんを支えていくからねと、兄に誓いたい」と話した。
恵理さんは、被害者参加制度対象事件に適用される「損害賠償命令制度」で、原被告に約9700万円の損害賠償を申し立てている。 (猪飼なつみ)
【関連ニュース番号:0909/101、9月11日など】
(9月17日付け中日新聞・電子版:同日漬け読売・朝日の電子版なども報道)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20090917/CK2009091702000001.html
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000909170002
【「裁判通し強くなれた」】
守山市で菊地嘉津也さん(当時23歳)を川に飛び込ませて水死させた事件の判決があった16日、県内初適用となった被害者参加制度に基づき、菊地さんの母の恵理さん(47)と妹の春菜さん(22)が、この日も法廷で裁判を見守った。
制度は、被害者や遺族が被告人に直接質問をするなど、「当事者」として参加できる試み。被害者側の生の声を直接反映させることができる一方、詳細な事実を知ることでさらに心の傷を負うこともあるという難しさもある。
大津市京町のNPO法人「おうみ犯罪被害者支援センター」の常勤専門相談員、松村裕美さんは「他県では、判決結果に『もっとちゃんとしゃべれたら』と落ち込んでしまう人もいたといいます」と話す。
判決後、記者会見に応じた恵理さんは、今まで断ってきた顔写真の撮影を受け入れた。「制度がなければ、傍聴席にいるしかなかった。裁判に出て、つらいと感じたこともあったけど、この裁判を通じ、日に日に強くなれる自分がいた」。瞳は涙でぬれていたが、強い光をたたえていた。
(9月17日付け読売新聞・電子版)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20090916-OYT8T01083.htm
坪井祐子裁判長は「あまりに理不尽。被告人の粗暴で酷薄な性格が根本原因。遺族の嘆きも深い」とする一方、「被害者を死に至らしめたことについては謝罪している」とした。
判決によると、原被告はボールペンを同僚の菊地さんが誤って持ち帰ったことなどに腹を立て、昨年12月15日、車中で菊地さんを脅して10万円を奪い、「ダイブ」と言って水中に飛び込ませて死亡させたとされる。
◆「息子の悲しみに近づきたかった」 被害者の母親会見
「息子の苦しみに少しでも近づきたかった」
県内で初めて被害者参加制度が適用された今回の裁判で、判決後、被害者の母親の菊地恵理さん(47)と、妹の春菜さん(22)が会見した。
「親としての気持ちを話そう」。そう決意して臨んだ裁判だったが公判でつらい現実を突き付けられ、恵理さんは何度も逃げ出したくなった。そのたびに息子の苦しみはこんなものではないと気持ちを奮い立たせてきた。
量刑には納得できないとしながらも、恵理さんは「思いは届いた。きっと嘉津也は『おかん、がんばったな』と言ってくれる」と涙を見せた。春菜さんは「兄の分までお母さんを支えていくからねと、兄に誓いたい」と話した。
恵理さんは、被害者参加制度対象事件に適用される「損害賠償命令制度」で、原被告に約9700万円の損害賠償を申し立てている。 (猪飼なつみ)
【関連ニュース番号:0909/101、9月11日など】
(9月17日付け中日新聞・電子版:同日漬け読売・朝日の電子版なども報道)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20090917/CK2009091702000001.html
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000909170002
【「裁判通し強くなれた」】
守山市で菊地嘉津也さん(当時23歳)を川に飛び込ませて水死させた事件の判決があった16日、県内初適用となった被害者参加制度に基づき、菊地さんの母の恵理さん(47)と妹の春菜さん(22)が、この日も法廷で裁判を見守った。
制度は、被害者や遺族が被告人に直接質問をするなど、「当事者」として参加できる試み。被害者側の生の声を直接反映させることができる一方、詳細な事実を知ることでさらに心の傷を負うこともあるという難しさもある。
大津市京町のNPO法人「おうみ犯罪被害者支援センター」の常勤専門相談員、松村裕美さんは「他県では、判決結果に『もっとちゃんとしゃべれたら』と落ち込んでしまう人もいたといいます」と話す。
判決後、記者会見に応じた恵理さんは、今まで断ってきた顔写真の撮影を受け入れた。「制度がなければ、傍聴席にいるしかなかった。裁判に出て、つらいと感じたこともあったけど、この裁判を通じ、日に日に強くなれる自分がいた」。瞳は涙でぬれていたが、強い光をたたえていた。
(9月17日付け読売新聞・電子版)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20090916-OYT8T01083.htm