滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【1108/223:放射能汚染】放射性物質拡散をシミュレーション 

2011-08-24 23:58:06 | Weblog
【毎日新聞特集「なるほドリ」:放射性物質拡散をシミュレーション】

 ◇地域防災計画見直しに活用 原発事故に備え

 なるほドリ 福島第1原発の事故で放射性物質の影響がいろいろな形で現れているね。福井県の原発で事故があった場合に備えて、滋賀県内でも放射性物質拡散のシミュレーションを準備しているって聞いたけど、どうやるの?

 記者 県琵琶湖環境科学研究センターで研究していた光化学オキシダントのシミュレーションを応用します。天気の予測に使われる「MM5」という気象モデルや、化学物質の発生場所、大気中での化学反応などを組み合わせ、光化学スモッグの発生場所を調べるシステムです。東アジア規模の天気の動きや、県周辺の地形、風向き、湿度などを計算し、小さな物質の動きを追うことが可能で、放射性物質の広がり方を予測できると考えられています。

 Q 放射性物質のシミュレーションでは何を考慮するの?

 A 同センターの大気圏担当、園正さんによると、半減期(放射能が半分になるまでの時間)や、それに伴う放射線量の変化、粒子の大きさや重さが変わることによる対象物質のふるまいの違いを考慮する必要があります。今後、放射線の専門家の意見を踏まえてプログラムを設定するそうです。

 Q 事故がどの原発でいつ起きるかによって、広がり方も違うんだよね?

 A 風や天気、事故の規模や発生場所によって全く違います。幾通りも考えられる状況の中で、実際に防災計画に役立つシミュレーションを準備する必要があるのです。県防災危機管理局によると、考えられるパターンの数を増やせば精度が上がりますが、どこまでやるかは今後の検討課題。シミュレーションは今年度中に用意するそうです。

 Q どうして今になって始めるの。東日本大震災前には検討しなかったのかな。

 A 国の原子力安全委員会は従来、原発事故に備えるのは原発からおおむね8~10キロの地域でいいとしてきました。こうした地域を防災対策重点地域(EPZ)と言います。ところが東日本大震災ではEPZ圏外の多くの住人が避難を迫られ、その中には原発から47キロ離れた人たちもいます。滋賀県の場合、長浜市と敦賀原発の距離が最短で13キロですが、地域防災計画では「屋内待避が必要になるような放射線は到達しない」という想定でした。

 Q 想定が甘かったんだね。

 A それが分かり、原発に近い日本中の自治体が防災計画を見直しています。滋賀県の計画でも今後、原発事故は避難が大前提となり、計画を立てるうえでシミュレーションが活用されることになります。<回答・石川勝義(大津支局)>

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 あなたの質問をお寄せください。〒520-0806(大津市打出浜3の16)毎日新聞大津支局「質問なるほドリ」係(ootu@mainichi.co.jp)

(8月24日付け毎日新聞・電子版)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20110824ddlk25070341000c.html

【1108/222:電力供給問題】関電、節電要請の延長視野 原発停止長期化見込み

2011-08-24 23:44:19 | Weblog
 関西電力が9月22日までとしている15%程度の節電期間が、長期化する可能性が出てきた。原発11基中、停止中の7基はデータ誤入力問題の影響などで再稼働が遅れる見通しで、年内にはさらに3基が止まる予定。冬場の電力需給が厳しくなるため、節電を再度要請することや、節電期間を9月以降も延長することなどが視野に入っている。

 関電は8月22日、高浜原発3、4号機で耐震安全性評価のデータ入力に誤りがあったと発表。経済産業省原子力安全・保安院は、関電を含む電力各社にデータの再点検を指示した。各社の報告は最も遅い場合で10月末とされ、国が求める安全評価も別途必要で、原発の再稼働は来年にずれ込む可能性もある。

 稼働中の高浜2号機は11月に、美浜2号機と大飯2号機も12月に定期検査のためそれぞれ停止予定で、計約250万キロワットの出力が失われる。

 関電管内の冬場の最大電力需要は2600万キロワット以上とみられており、現在の供給力ならカバーできるが、火力発電所の一部は点検のため止まる可能性があり、関電は「需給は夏より厳しい」としている。

 長期停止中の火力発電所の再稼働は、冬には間に合わない見通し。ガスタービン発電機の新設も検討しているが、その出力は「全体の足しにはならない」(幹部)とされ、供給力確保のめどは立っていない。

(8月24日付け中日新聞・電子版)

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20110824/CK2011082402000109.html

【1108/221:琵琶湖環境】琵琶湖の植物プランクトン種類 30年で3割減少/県の機関調査

2011-08-24 23:26:22 | Weblog
 琵琶湖に生息する植物プランクトンの種類が過去30年で約3割減り、多様性が大きく失われていることが県琵琶湖環境科学研究センターの調査で分かった。湖岸開発などで複雑な生態系が失われたことが一因と考えられるという。

 7月27日に大津市内で開催されたセミナー「琵琶湖ストーリー」で、同センターの一瀬諭さんが発表した。今津沖など琵琶湖の4カ所の調査地点のデータを分析した結果、南湖では1979年から10年間の平均が208種類だったが、最近10年では140種類に減った。スタウラスツルムなどの緑藻類が98から56種類に減ったのが目立つという。

 北湖も同じ傾向で、過去30年で148から110種類に減った。

 一瀬さんによると、湖水中のリンや窒素を取り込む植物プランクトンはわずかな環境の変化にもいち早く反応する。「湖岸整備が進み、さまざまな植物プランクトンが共存していた内湖や浅い砂浜が減った。単純化された環境で、一部の植物プランクトンが大量発生する可能性が出てきている」という。近年、アファノテーケと呼ばれる藍藻類が増えているのもその一例だという。(飯竹恒一)

(8月24日付け朝日新聞・電子版)

http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001108240002

【1108/220:原子力防災】備えは万全か、(上)モニタリング / 情報共有で不安解消

2011-08-24 16:06:46 | Weblog
【京都新聞特集:「備えは万全か 湖国の原発防災、新エネルギー、 (上)モニタリング」】

 「放射線は目に見えない。子どもがちいさいから、何があれば気付けるようにしたいと思って・・・」。高島市マキノ町の主婦磯部亜希さん(33)は毎朝、放射線量を測っている。
 22世帯の山間集落。子どもの見守りも、冬の雪かきも、互いに助け合う。人情と自然に引かれて昨春、一家4人で移り住んだ。
 最寄の美浜原発から25キロ。震災後、不安が募り、インターネットで簡易の線量計を買った。6月に高速増殖炉もんじゅ(敦賀市)で落下装置の引き上げ作業が行われた時は、夜通し付けた。幸い、今まで異常値を示したことはない。
 ネット上で、湖西で高い数値が計測されたという不確かな情報が飛び交ったこともある。「自分で数値を見れば安心できる。でも一番大事なのは、原発の出来事が正確に早く伝わることと思う」
 福島第一原発事故で放射性物質が拡散したことを受け、多くの市民が「放射線量」に敏感になった。不安解消に役立てようと、彦根市は7月11日から放射線量を記録する。毎朝9時、線量計を市役所前に設けた高さ1メートルの台に載せる。1カ月の計測数値は、毎時0.03~0.33マイクロシーベルト。自然界の数値という。
 市危機管理室は「市民の問い合わせに対応できるよう、市独自でできる限りのことを考えた」。だが、あくまで簡易測定。市ホームページでの公表も「説明を加えないと、数字が一人歩きしてしまう」(岸本真二室長補佐)と思案中だ。
 滋賀県北部の長浜、高島両市も、身近な支所に配置する線量計を近く購入する。だが高島市原子力防災対策室は「データの裏付けとなる県の継続的観測が、市民の安心にまず必要だ」とする。
 というのも、福井県境に近い両市の4カ所で放射線量の変化を察知してきた常設モニタリングポスト4基を、滋賀県が昨年9月に止めたからだ。県独自の導入から10年たち、再稼動に2億2千万円、維持には年1500万円かかる。「効果的で費用も少ないシステムを考える」(嘉田由紀子知事)として、車での月2回の計測に変えた。
 県に常時観測の再開を求める大津市などの市民団体は11日、休止中のポストの前で独自の計測を行った。団体代表の森井壽廣(としひろ)さん(59)は「行政の
計測情報を市民が共有することが安心につながる。情報弱者が生まれないよう、市民ボランティアが線量計で計測して自治体に協力する仕組みも考えてはどうか」と提案する。

 東日本大震災の福島第1原発事故を経て、原発14基が立地する福井県・若狭湾に隣接する滋賀県では、防災や新エネルギーに対する関心が高まっている。各地の市民や自治体の動きを追った。 (石崎立矢、猪口健司) = 3回連載します

【関連ニュース番号:1108/120、8月13日;1108/61、8月6日など】

(8月20日付け京都新聞)

【1108/219:原発問題】坂井市など「脱原発」に理解 (福井)県市議会議長会、議案は否決 

2011-08-24 01:27:58 | Weblog
 県市議会議長会の定期総会が8月22日、福井市議会全員協議会室で、全9市の正副議長18人が出席して開かれた。越前市提案のエネルギー政策の抜本的な見直しを国に求める議案と、小浜市提案の原子力発電からの脱却を国に求める議案は採決の結果、反対が多く否決されたが、提案した市以外では坂井市がいずれの議案も賛成、鯖江市が越前市の議案にのみ賛成し、「脱原発」に理解を示した。同議長会での採決は異例。

 北陸新幹線の早期整備など22議案が提案され、会長の加藤貞信福井市議長を除く17人が採決、20議案を可決した。このうち敦賀市が福島第1原発事故を踏まえた原発の安全対策を求める議案を提出、鯖江市を除く15人が賛成し可決。10月の北信越市議会議長会総会への提案項目の対象になる。

 一方、「原発を漸減廃止し、エネルギー供給構造を抜本的に見直す」などとする越前市提案の「脱原発」の議案は同市と、小浜、鯖江、坂井3市の8人が賛成したが、反対が過半数を占め否決。小浜市提案の「脱原発」の議案は同市と越前市、坂井市の6人が賛成しただけで否決された。

 原発関係の議案にすべて賛成した坂井市の高間正信副議長は「各議会の意見を尊重したためで、全協で話をしていないが、脱原発は心情として賛同できる」。鯖江市の高田義紀副議長は「減原発の立場で越前市のみ賛成した。敦賀市と小浜市の提案は極端なので…。今後、勉強会を開いて方向性を決めたい」と話した。

(8月23日付け産経新聞福井版・電子版:同日付け福井新聞・電子版なども報道)

http://sankei.jp.msn.com/region/news/110823/fki11082302070001-n1.htm

【「脱原発」要望案、異例の否決 県市会議長会、小浜と越前提案】   

(写真:「脱原発」の議案をめぐり激しい議論が交わされた福井県市議会議長会8月定期総会=22日、福井市役所)

 福井県市議会議長会の8月定期総会が22日、福井市役所で開かれた。国への要望事項のたたき台として、小浜、越前両市会はそれぞれ「脱原発」を求める内容の案を提出したが、ともに賛成少数で否決された。同会での議案否決は極めて異例。ただ、採決で17人のうち越前市会案に4市8人、小浜市会案には3市6人が賛成した。

 県内9市の正副議長18人が出席。各市の提出議案に賛成者が挙手で採決した。東京電力福島第一原発事故を受け、敦賀、越前、小浜の3市会は原発の安全対策とエネルギー政策に関連する案をそれぞれ提出した。

 越前市会は▽増設中止を含め期限を定めて原発を漸減廃止▽高経年化した原発は延長を認めない▽防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲を半径20キロとする-などを盛った。小浜市会も「期限を定めて原発から脱却」を掲げ、30年を超えた高経年化原発の運転延長を認めない-などとした。両市会とも6月に脱原発の意見書を全会一致で可決している。

 この3項目については会長の加藤貞信福井市会議長を除く17人で個別採決した。「脱原発」の越前市会案には坂井、小浜、鯖江の各正副議長が同調したが過半数に1票届かなかった。小浜市会案には坂井、越前の正副議長が同調した。

 一方、敦賀市会は福島第一原発事故の早期収束や事故を踏まえた安全対策、広域的な避難道路・施設の早急整備-などを求める案を出し、鯖江市会の2人を除く15人が賛成した。

 3案全てに賛成した坂井市会の広瀬潤一議長は「各議会の考えを尊重する意味で賛成した。ただ、内容的には(脱原発の)越前、小浜の考えに同調した」と説明。越前市会案にのみ挙手した鯖江市会の高田義紀副議長は「(敦賀と小浜の)中間の考え方として越前市会案に賛成した」と話した。

 その他の項目を含め、賛成多数だった20項目は3項目に絞り、10月に長野市で開かれる北信越市議会議長会評議員会に提出する。

 議長会のメンバーはこの日、県庁を訪れ、採決した項目とは別に福井駅周辺整備促進や国道の整備・改良、原発の安全対策など各市1項目ずつ挙げた要望書を、西川知事に提出した。

■立地、準立地 激しく応酬

 原発準立地の小浜、越前両市会から提出された「脱原発」の2案をめぐり、県市議会議長会総会では立地の敦賀市会との間で激しい意見の応酬となった。否決はされたものの、越前市会案は過半数まであと1票に迫り、採決後に敦賀市会の正副議長は「ふーっ」と深い息を吐き出した。

 採決前、敦賀市会の堂前一幸議長は「新エネルギーなどは現時点では安定性などの課題も多く当面は原子力が必要。嶺南では地場産業の一つであり、雇用、生活、地域経済の発展に与える影響は大きい」と訴えた。さらに「18日の嶺南市町議長会では(脱原発の小浜市会案が)不採択となり、19日の県市長会でもこのような議案は提出されていない」と力説した。

 これに対し、小浜市会の池尾正彦議長は「地域住民の命を守ることが大事。段階的に(脱原発を)考えてもらいたい」、越前市会の嵐等議長は「すぐ(原発を)やめるとは言っていない」と反論した。

 この日の議長会は、立地自治体が大勢の嶺南市町議長会とは異なり、立地自治体は敦賀市のみで、防戦に回る形に。「こんな議決をされると嶺南の生活そのものが脅かされる。総合的な判断を」(北條正敦賀市会副議長)、「もう安全は保障できない。敦賀ももう少しお考えになったらどうか」(嵐越前市会議長)などと激しい応酬が続いた。

 結局、小浜、越前の「脱原発」案は否決となり、敦賀の堂前議長は閉会後「理解してもらえ、感謝している」と話した。

 ただ、議案提出の市会は議会で意見をとりまとめて臨んだのに対し、それ以外の正副議長の多くは「個人的な見解」や「数人の議員と話し合った結論」を基に賛否を表明。出席者の一人は「全員協議会で議会の意見を決めてから臨んだ方がよかったかもしれない」と課題を挙げた。

(8月23日付け福井新聞・電子版)

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/30034.html