滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

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【0607/24:新知事所信表明演説】7月26日の県議会で嘉田由紀子・新知事が所信表明演説(要旨)

2006-07-28 01:36:13 | Weblog

7月26日の県議会で嘉田由紀子知事は議員らと115の傍聴席を埋めた市民らを前に所信表明演説を行いました。その要旨は以下の通りです(全文は滋賀県のホームページhttp://www.pref.shiga.jp/chijiに掲載されています)。

戦後60年、時代は大きな曲がり角にさしかかっている。今、県政改革が求められている。改革の柱は、1)財政再建を中心とする行財政改革、2)破壊された自然の再生と復元、3)未来を担う人育て、の三つである。

選挙中に「もったいないを生かす滋賀県政を」と訴えた。「もったいない」という言葉は過去に県内をあるいたときに地域の方々から教えられた「暮らし言葉」であり「生活哲学」である。「もったいない」は物事の本質的な価値を指し、それが失われたり損なわれたりすることを「もったいない」と表現する。改革の三つの柱を「もったいない」で説明する。

★税金の無駄づかいはもったいない:県債の残高、すなわち県の借金は2006年度末で1兆円を超え、県民一人あたり約73万円となる。昨今の地方交付税の削減などが大きな原因だが、私は行政運営全体として、同じ便益を得るにもより多くの費用を要する高コスト構造に原因の一つがあると考える。

しかし財政再建には県民の痛みが伴う。子や孫が生きる20年後、30年後を見据えた県政が求められている。県の事業を大幅に見直すために早急に外部メンバーによる「施策・事業見直し会議」をたちあげ、県が行うべき仕事を仕分けしたい。

財政再建のために、財政負担の大きい三つの公共事業を凍結するか見直したい。すなわち新幹線栗東新駅、びわ湖周辺の6つの大型ダム、大津市栗原の廃棄物処理施設である。新駅の県負担は117億円、周辺整備にさらに40億円が要る。選挙で訴えたとおり「限りなく中止にちかい凍結」に賛成という県民の意思が示された選挙結果を厳粛に受け止め、実行に取り組む。凍結にあたっては、県、栗東市、新駅設置促進協議会、JR東海の4者の合意が必要である。凍結に向けて問題が山積しているが、県議会のみなさんの意見を伺ったうえで、私が先頭に県として関係者との対話に尽くし、合意が図られるよう努力する。

★びわ湖や自然本来の力、壊したらもったいない:改善しない水質問題、水草の異常繁茂、湖底で進む低酸素化、固有種生物の減少などが続いている。偉大な宝であるびわ湖を生き返らせるため、住民の知恵、科学者の知識、行政の施策の三つの力を合わせて取り組みたい。

県内には国と県が計画するダムが6つある。私自身の約束である「凍結・見直し」に県民が示した意思を受け止め、それぞれについて、地元住民との対話を通じて、その必要性、財政的措置、環境保全などの点から適切な解決策を見出したい。ダムに求められる治水機能については代替案を含めて検討する。「流域治水」の角度から各地域にどのような方法が有効か、最適な方法を探る。

ごみゼロ社会を実現し、ものを大切にする行動は、「もったいない」を生かす社会に変えることにつながる。大津市栗原に計画されている廃棄物処理施設は、大量廃棄の発想から脱却していない。まず、ごみ減量を徹底し、この計画を凍結する。

★子どもや若者の自ら育つ力、損なったらもったいない:家庭や地域の教育力が低下し、不登校やいじめなど、子どもの心をめぐる問題が課題となっている。学校教育が責任を果たすと同時に、経験豊かな地域の人々に教育活動に参加してもらえるよう工夫したい。森や川、湖など、県ならではの自然の場で、精神をはぐくむ機会を増やせるよう、自然の再生、若者のサポーター育成を図る。女性が社会の活力として能力を発揮できるよう、就労、起業、NPO活動など、さまざまな分野でチャレンジできるよう支援する。

★対話と共感で、参加と提案の県政を:県民の安全・安心と魅力ある滋賀づくりも進める。地域のつながりを大切にして、市町と連携し、犯罪のない地域づくり、減災の視点から災害に強い地域づくりを進める。製造業、流通業が強い利点を生かし、企業誘致を積極的に進めたい。

滋賀には京都にも大阪にもない自然と文化の魅力がある。美しい景観と品格のある県土を大切にする。

政策を実現する基本的方法は「対話」である。県民と対話を重ね、参加と提案の県政を実現したい。地方自治体は首長と議会の「二元代表制」である。意思形成には「対話と共感」が大切であり、議員の方々の理解と了解を得て進めることが重要である。

大切なのは「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」である。「やる、やらない」という主体的な意思と、その意思を実現するための合理的で共感的な戦略が欠かせない。これから4年間、まっすぐにしなやかに、対話と共感が生きる、次世代に喜ばれる、次世代育成型の県政を生み出し、育てる覚悟だ。

(7月27日付け各紙が報道)