読書の初夏

2020-06-05 22:19:21 | 読書、書物

  晴れ。昨日よりは過ごし易い陽気だった。

 ついに「アベノマスク」が届き、ある意味嬉しいです。見て驚いたのは、やはりそのサイズです。どう見ても子供用、鼻から口元全体を覆うのは無理。洒落で職場へ着けていくのはいいかも知れません。

 そんな無駄な品が届いた今日この頃ですが、ゴルゴ13の合間にちまちまと読んでばかりだった「世界文学全集 第二十六巻 ジッド」を読み終えました。収録作品は、「背徳者」、「狭き門」、「イザベル」、「田園交響楽」の四作品です。世界文学全集も、大分つまらなくなってきたな、などと思っていた後半戦ですが、アンドレ・ジッド著のこの四作品は、やたらに長くもなく、最後まで面白かったです。

 せっかく拾った命を馬鹿げたことにばかり使い、大事な人を失う結果となる「背徳者」。

 祭り上げ、祭り上げられ破滅してしまう皮肉と矛盾に満ちた「狭き門」。

 幻想を膨らませ、現実を見せつけられて幻滅する「イザベル」。

 動物のようだった盲目の少女が知性に目覚め、盲目を治癒されて見た現実に衝撃を受けて命を落とす「田園交響楽」。

 いずれも理想と現実の落差、皮肉と批判に満ちた作品という印象です。「背徳者」の主人公ミシェルの後半、どうしようもない有様はイライラさせられます(笑)。こう見ると悲劇ばかりですが、ただ悲しいだけではなく明らかに批判的だったりします。

 次は息抜きにファンタジーを。ウィリアム・モリスコレクションより、「世界のかなたの森」を。このシリーズ、全巻揃えるつもりですが現在は絶版、けっこうな価格で取引されています。ウィリアム・モリスはアーツ・アンド・クラフツ運動の主導者。生活と芸術の統一を目標に手工芸にこだわり、生活を全て美的に洗練させるための運動。当然ながら手工芸ですと全て高価になってしまい、金持ちしか恩恵に預かれないという矛盾が生じましたが、その考え方には共感できるものがあります。そんなモリス氏はアマチュアの作家さんでもあったので、自作の著書を書いて自分の工房から出版していた次第。

 

 その一冊がこれ。

 

 有名な挿絵。エドワード・バーン・ジョーンズ作です。

 

 実物と比較(画像は拝借)。全てのページが洗練された装飾文字、活字で埋め尽くされ恐ろしく豪華です。これじゃ高価にもなりますね(笑)。

 前にも一度読んでいて、ご都合主義全開だった記憶があります。今回は二度目ですので、楽しめるハズ。

 就寝前からお昼休み中に切り替えた「昼食後読書」で読んでいる、三島由紀夫著「豊饒の海」シリーズ第三巻、「暁の寺」も読み終え、現在は第四巻で最後の「天人五衰」を読み始めています。相変わらず難しい字ばかりですが、特に難しい「奔馬」に比べると読み易いです。

 明日は朝練に出かけますのでこの辺にて