一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第80期名人戦第2局

2022-04-23 14:20:51 | 男性棋戦
第80期名人戦第2局は、19日と20日に行われた。ここまで渡辺明名人の1勝。斎藤慎太郎八段はここでタイに戻さないとかなり苦しくなる。
斎藤八段の先手で始まり、角換わりになった。斎藤八段は早繰り銀、渡辺名人は腰掛け銀で対抗する。渡辺名人は△6五歩の形から△6四角と据える。持ち角を手放すのは勇気が要るが、△6四に打てれば満足だ。
斎藤八段は▲3五銀とぶつけたが、渡辺名人は△4三銀と引いて相手にしない。そして△3四歩に▲2六銀(図)と引かせて満足なワカレになった。

この銀は▲3五歩△同歩▲同銀と活用すると△3六歩が生じるから不可。ゆえに▲1五歩から端攻めに出るしかないが、本来この銀はその趣旨で使うつもりではなかったはず。つまりこの銀を働かせるのは容易ではない。私は、大山康晴十五世名人相手に棒銀が立ち往生する、加藤一二三九段や二上達也九段を想起したのである(参考A図、参考B図)。


玉形を見ても、先手玉は7八で金銀がいるのみ。対して後手は金銀4枚の銀矢倉でガチガチである。AIは玉の固さを評価しないというが人間同士では別で、やはり玉が固いほうが有利なのだ。
渡辺名人は若いころから玉を固め、細い攻めを繋げて勝ってきた。ほかの棋士が玉の広さで戦っている今、渡辺名人はしめしめとほくそ笑んでいるのではなかろうか。
実戦は以後も渡辺名人が見事に攻めを繋げて、快勝。スコアを2勝0敗とした。
他記事によると、名人が連勝でスタートしたケースは26回あるが、防衛は25回に上るという。渡辺名人は、「七番勝負は長いので、しっかりやっていきたい」と勝って兜の緒を締めたが、内心は「もらった」と思っているのではなかろうか。
やはり藤井聡太竜王とタイトル戦を戦った経験が大きく、中盤で銀を引いた手がどうでしたか、と指摘するようなターミネーターに比べれば、人間相手に戦うことがどんなにラクなことか、と体感していることだろう。
いっぽうの斎藤八段は実質もう後がないが、いままでと同じ戦い方では、同じ結果(負け)にしかならない。何か思いきった作戦を採らばければ、光は見えないと思う。
第3局は5月7日、8日。
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