一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

里見女流名人、7連覇達成

2016-02-27 20:30:30 | 女流棋戦
23日の女流名人戦、山田久美女流四段と高浜愛子女流2級との一戦は、山田女流四段の勝ち。山田女流四段はリーグ入りまであと1勝となった。高浜女流2級は昇級後初の対局だったが、上位者の壁は厚かった。
高浜女流2級は、もはやほかの女流棋士と同じ勉強量ではダメである。勝ち星を稼ぎたいなら、今後相当勉強しなければならない。食事と寝ている時以外は将棋の勉強をする、という覚悟で臨む必要がある。
今の女流棋界なら、勉強すれば上位に上がれる。ただし怠惰に過ごしても、もう女流棋士の資格は剥奪されない。厳しい道を選ぶか、ラクな道を選ぶか。どちらを選ぶかは高浜女流2級次第だ。

24日の女流名人戦第5局は、里見香奈女流名人が勝って、7連覇を達成した。
本局、後手・里見女流名人のゴキゲン中飛車に、清水市代女流六段の採った作戦は「超速▲3七銀」。しかし数手後に▲6六歩と突いたので怪訝に思った。
名人戦でも出た手らしいから私がどうこう言えないが、速攻の▲3七銀とじっくりの▲6六歩の整合性がないと思ったのだ。
それと、これはレベルが違うのだが、私も対中飛車に▲6六歩型を指すことがあるが、あまりうまくいったことがない。やはり角の運用が難しいのだ。
清水女流六段は▲3八飛と回って▲3五歩△同歩▲同飛。これが清水女流六段用意の手だったらしい。
さらに▲5六歩△同歩▲5五歩。銀を追い返して▲5六銀、が清水女流六段の読みだったが、この瞬間△5七歩成が軽妙だった。
この手自体は行きがけの駄賃みたいなもので、私レベルでも指せそうである。ただし私が思い付きで指すのに対し、里見女流名人のそれは十分な読みの裏付けがある。読みの濃さ、という意味では天と地ほどの差がある。
里見女流名人、△5二銀。6三の銀を引いたのだ。ここ、私なら△7四歩と玉の懐を拡げるところ。しかし△5二銀は金銀の連結を密にして、指されてみればナルホドと唸る手だ。
里見女流名人は△2四歩と戦端を開いたが、清水女流六段はこの忙しい時に▲5八金引と1手入れねばならず、ここで差が開いたようだ。先の△5七歩成の効果である。
里見女流名人、5五に馬を作って、4四に引く。一般的に角(馬)は飛車より劣るが、この△4四馬の輝きはどうだ。敵陣、自陣と八方に利き、竜の働きに勝るとも劣らない。
ここで素人目にも、里見女流名人に利があることが分かってきた。
里見女流名人、△5三桂。桂は控えて打て、を地で行く手で、次に△6五桂が実現すれば将棋は終わる。そこで清水女流六段の放った▲7五飛!!にはのけぞった。
「イチヨの金」に書いたように、清水女流六段はよくも悪くも、形に拘らないところがある。▲7五飛はその典型で、並の棋士はバカバカしくて打てない。そこを平気で打つところに、清水女流六段の強さがある。
しかし本局は相手が悪かった。里見女流名人は的確に包囲網を狭め、△7八とで終局。
感心したのは、終局図がキッチリ一手違いになっていたこと。棋は対話、というが、最後は両者が申し合わせたかのように、美しい投了図を紡いだ。
これで里見女流名人は7連覇を達成。棋力の充実からして当然とも思えるが、それにしたって7連覇はなかなかできない。
一方の清水女流六段、敗れはしたが、現役奨励会三段相手にフルセットまで持ち込んだのだから見事だった。もはやほかの女流棋士とは大駒1枚違う感じである。ぜひ捲土重来を期してほしい。
両者とも、お疲れさまでした。いい将棋を、ありがとうございました。
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