一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

最後の順位戦

2024-03-15 01:24:16 | 将棋雑記
青野照市九段は12日の第82期C級2組順位戦最終戦に臨み、安用寺孝功七段に敗れた。この結果、青野九段最後の順位戦は0勝10敗で幕を閉じた。
実は、青野九段のように、60歳を過ぎてC級2組で順位戦を指すケースは珍しい。たいていは60歳前にフリークラスへ降級するか、現役生活延命のために転出してしまうからだ。
だから、C級2組からの降級=引退は、誇れるケースともいえるのだ。
では、順位戦C級2組から降級して引退した棋士の、最後の成績を見てみよう(カッコ内の数字は、後述の田中魁秀九段を除き、最終戦時の年齢)。

丸田祐三九段(76)第54期 46位 ●●○●●●●●●○
関根茂九段(72)第60期 38位 ●●●●○●●○○●
有吉道夫九段(74)第68期 32位 ○●○●●●●●●●
大内延介九段(68)第68期 39位 ●●●○●●●●○●
田中魁秀九段(68)第74期 43位 ●●●●○■■■■■
森雞二九段(70)第75期 44位 ●●○○●●●○●●
加藤一二三九段(77)第75期 45位 ●○●●●●●●●●
桐山清澄九段(74)第78期 48位 ●●●●●●●●○●
田中寅彦九段(64)第80期 49位 ●●●●●●○●●●
青野照市九段(71)第82期 51位 ●●●●●●●●●●

丸田九段は、最終戦は植山悦行六段(当時)に勝って、有終の美を飾った。このとき76歳11ヶ月で、これが順位戦最高齢勝利である。
関根九段と森九段は3勝を挙げたが、順位の差で降級点となり、引退に追い込まれた。降級点を取る多くのケースが「順位差」で、ここに順位戦の恐ろしさがある。
有吉九段、大内九段は引退が決まったあと、竜王戦の5組に残留した。「5組なのに引退は厳しい」との声が上がり、それが竜王戦独自の延命ルール創出のもととなった。
田中魁九段は、6回戦から不戦敗となり、順位戦の満期を待たず、引退となった。
加藤九段は、順位戦参加62期の大記録を作った。
桐山九段は、順位戦降級時に竜王戦は5組在籍だったため、このあと5組を2期務め、引退した。
田中寅九段は、自身の対局がないときに降級点3が確定、引退が決まってしまった。それを周りに言われて知ったという。
青野九段は、「60歳以上の棋士が、最後のC級2組順位戦で、勝ち星なしで強制引退」となったが、これは初のケースだと思う。

棋士は順位戦を指してこそナンボ、である。長く順位戦を務めた棋士に、敬意を表するものである。
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