一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

田中女流1級の名文

2024-03-05 23:19:43 | 将棋雑記
日本将棋連盟では今年も今月1日から、「升田幸三賞」と「名局賞」の募集を始めた。私はとくに応募しないが、多くの票が集まるだろう。
ところで私が入会している将棋ペンクラブでも、世間ではまったく知られていないが、大賞候補作の推薦を求めている。といってもこれは会員限定なので、知っている人しか知らない。
私も推薦作はあるのだが、ちょっと異色なので、推薦はしない。読者の皆様にだけお教えする。
LPSAには「GSPチャレンジ」という取り組みがある。女流棋士を目指す女性への手助けをするもので、その体験会が3月30日にある。
それに伴い、LPSA所属女流棋士の堀彩乃女流1級、渡部愛女流三段、礒谷真帆女流初段、島井咲緒里女流二段、田中沙紀女流1級がメッセージを寄せている。この5名がみな、心を打つ名文なのだが、とくに感銘を受けたのが田中女流1級のそれだ。
田中女流1級は2018年に女流3級となったが、規定期間内に女流2級に昇級できず、正式な女流棋士にはなれなかった。
その後田中女流1級は研修会に入り直し、2021年に女流2級の資格を取り、晴れて女流棋士となった。
田中女流1級のすごいところはここからで、田中女流1級は第2期白玲戦・女流順位戦にD級の最下位から参加した。そこで7勝1敗の成績を取り、堂々の昇級。同時に女流1級へと昇級したのだった。
そんな「泣き」の入っている田中女流1級だから、メッセージもほかの女流棋士とは違う厳しさがある。もう、全文をコピペしたいくらいなのだが、それだといろいろ不都合を生じそうなので、とくに感銘を受けた箇所を引用する(全文は「田中沙紀女流1級のメッセージ」)。

「プロを目指す人たちは、他の人たちが遊んだり、違うことをしている時も常に将棋を優先している人たちです。
他のひとよりも何倍も将棋をしている人たちばかりです。
好きなことを職業にするということはそういうことです。」

いかがであろう。とくに最後の1行がいい。
田中女流1級が女流棋士になっても浮かれず、冷徹な目で自身を見つめているのが分かる。
十分に名文だと思うのだが、ネットに掲載されたこと、文章量が少ないことなどで、たとえ私が推薦しても、候補作にも挙がらないだろう。でも、それでいいと思う。肝心なのは、これを読んだ将棋女子が感銘を受け、女流棋士を目指してくれることなのだから。
コメント
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