北海道「泊村長選」から原発を考える

2016-01-17 08:44:33 | 日記

   北海道「泊村長選」から原発を考える

 

   津軽海峡を隔てた北海道は遠い。情報文化の時代とはいえ「北海道・泊村の村長選」のあることを知らずにいた。それが私の県の地方紙「福島民報」の『原発再稼動争点にならず』という見出しの記事によって知ることとなった。「現と新」二候補の選挙であり、共に原発再稼動容認の立場。「原発マネー」を前提とした人口減少対策と村の振興が訴えるものとなっていると報じられていた。

 早速、地元の「北海道新聞」を検索する。同紙も「泊原発再稼働、問わぬ村長選 12日告示、2候補とも容認派」という見出しによる次の記事を見る。「【泊】北海道電力泊原発の地元の後志管内泊村で村長選が12日に告示、17日に投開票される。立候補を予定するのは3選を目指す現職の牧野浩臣氏(69)と、村議の三浦光博氏(64)。泊再稼働論議が本格化する中で8年ぶりの選挙戦となるが、両候補とも再稼働を前提としたまちづくりを掲げる点で違いはない。『国が安全性に責任を持つならば、状況を総合的に考慮した上で同意手続きを進める』という立場で次のように訴えている。『原発あっての泊村。恩恵をしっかり活用して、時代の変革に対応できる産業を育てていく』(牧野氏)・『原発財源を将来への投資に使い、先人が誘致によって成し遂げようとした豊かな村づくりを進めたい』(三浦氏)」(1月10日)

 福島民報紙はさらに次のように報じている。

 泊村の15年度当初の一般会計の歳入の8割(30億5千万円)が原発関連交付金と北海道電力の固定資産税という「原発関連収入」で賄われていると説明している。では歳出の実態はどうか。その内容が1月14日の東京新聞が報じている。「村民の住宅新築に対しては200万円までの奨励金・結婚と出産で各10万円の祝い金がもらえる。65歳以上には原価700円の弁当が100円で毎日自宅に届く。各戸にパソコン1台が無償貸与され、インターネット回線も無料だ。そして村の説明では、15年後の固定資産税は約7億円まで減り、村財政の縮小は避けられない。それでも、村幹部の間では『原発が止まっても、廃炉になるまでの何十年間は、国も北電もそれなりの補償をするはず』という意見が強い」ということが付け加えられている。

 過疎の村。若者も離れ、高齢者の集落になりつつある実態が浮かび上がる。いずれにしても「限界集落」に向かいつつある実情を物語る。それは「泊村」だけの問題ではない。しかし、それでも「廃炉までの間は補償がある」と答える村の幹部とそれを追認する村人には「原発立地地域」の独特な意識が色濃く存在しているということは事実であり、その他の地区とは異なる。

 福島原発の立地地域もそうであった。阿武隈山系と太平洋に挟まれ「東北のヒマラヤ」という呼称まで付いた地域であった。出稼ぎ、若者の流失、「お嫁さん不足」などなど、そこに原発誘致の運動が巻き起こった。一時は村・町を二分する論争となったが、時を経るに従い「その恩恵にくみする状況」が拡大をしていった。

 六ヶ所日本原燃もそうである。戦時下、満蒙開拓団として海を渡った山形庄内地区の皆さんが帰国をしてきた。しかし、その皆さんには戻るところが無かった。そこで六ヶ所村開拓団として移住をしていった。厳寒の地「モグラに似た生活」と表現する人もいたくらい厳しいものであった。そこに舞い込んだのが「原燃基地」である。「札束が降ってきた」と表現をしたとも記録に書いてある。

 切ないことである。しかし、このことが「福島の原発破壊」を生んだことも事実であり、であれば「原発再稼動反対」の国民的世論もここから出発しなければならないのではなかろうか。

 泊村長選の結果はどうあれ、村政の中身は変わらない。そして第二・第三の泊が出現しても不思議ではない。「住民の生活を守りつつ、そして原発を再稼働させない、無くしていく」この国民的討論を指導してくれる政党、識者、そしてそれを具体的に広める運動の輪づくり。そのことを急がなければならないことを痛感する、その「輪づくりには参加したい」と決意する福島の一人である。

 

 

 


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