「労働組合よ、あるべき姿に戻ってほしい」・違法時間外労働に思う

2017-01-13 05:57:27 | 日記

 「労働組合よ、あるべき姿に戻ってほしい」・違法時間外労働に思う

 

  「三菱電機 入社1年目社員に違法な長時間残業 書類送検」(毎日新聞1/12)の見出しの記事を見る。若い女性の命を奪った広告会社「電通」の違法残業問題は日本有数のビック企業の職場で発生した。従業員に対する時間外、休日労働の就業命令は、労基法にもとづく時間外協定、いわゆる36協定があってはじめて発生するものであろう。「ブラック企業」とは言え、電通においてもこの36協定は結ばれていたであろう。問題はその後の運用である。協定に署名するということは、上司の部下に対する就業命令を正当とするだけではなく、その時間の労働に対する正当な賃金の支払いもさることながら、その労働によって発生する「労働者の権利、安全、衛生を保障」することを意味するはずである。よって協定にあたる労働者代表は「就業命令が強制されないこと、安全、健康の確保がされること」などの確約を常に求めることは当然である。しかし、この当然なことが遵守されていなかったことを「電通問題」は露呈したと言っても過言ではない。それが釈明と謝罪に事業者代表(広報部担当というのも無責任であるが)の姿があっても、協定に署名した労働者の代表の姿が見えないことに疑義を持った。

   さて今回の場合も同様である。三菱電機と言えば電機メーカーの最大手であり、労働組合も電機メーカーの労働組合で結成されている電機連合の大手組合の一つである。歴史もありその立ち位置からしても他の模範となるべき労働組合であろう。当然にして36協定の労働者代表となる組織である。その事業所における違法な時間外労働の実態、そのことによって発生した疾病が労災と認定されたこと、さらに就労命令を発した当時の上司が書類送検をされたことに対し、労働者代表の姿がここでも見られないことに改めて疑義を感じる。もちろん当該労使間においては、事業主へ強い叱責と責任の追及がなされていると思うが、大手の労働組合が存在している事業所で起きた法違反の容疑は極めて残念と言わざるを得ない。

   春闘も「官制春闘」といわれて久しい。労働条件は「労使の問題」である。ましてやビック企業と労働組合間の賃金交渉が「官主導」と言われることは情けない。労働組合の主体性を失った「証の姿」と受け止められないか。そのようなことが今般の「違法労働」を生み出すものとなっていないか。

   また、この報道は毎日新聞のみならず中央紙の各紙、そして地元の神奈川新聞をはじめとして全国各地方紙でも大きく報じられていることに、その重さを真摯に受け止め、社会的制裁の厳しさを労働組合も深刻に受け止めるべきではなかろうか。

   労災の認定を受け、同時に職場復帰を求めている男性は「飲酒運転の悲惨な事故は厳しく断罪されるようになった。同時に労働法規に違反することは犯罪(違法時間外労働)だという意識が広がってほしいと訴えていた」と述べているが、それは当然である。

 現役を去って久しい一人であるが「労働組合よ、あるべき姿に戻ってほしい」と切に願うものである。


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