「多重介護を考える」・1人で両親を看る行川さんの苦悩

2014-11-17 13:56:45 | 日記

  「多重介護を考える」・1人で両親を看る行川さんの苦悩

 

  平均寿命女子86歳・男子80歳。私の親の時代には考えられなかった「高齢社会」である。しかも、寿命を延ばしているだけではない。普通の生活ができている「元気高齢者」の多いことも事実ではあるが、いつかは老化に直面するのは「確立100パーセント」である。また、若年痴呆症など年齢を問わず「介護」をめぐる問題が、深刻な、そして緊急の課題となっていることを認識しなければならない。

  中でも多重介護の悩みが顕著になっていることに注目しなければならない。このことは「長寿」と重なる深刻な事実である。つまり「実の親と義理の親」、「親と配偶者」など1人が複数の家族を介護する“多重介護”が増えているということである。

  さて、要介護者の数は確実に増加している。そしてその介護期間も長期化している。よく言われる「先が見えない介護の期間」というものである。いつまで続くかわからない介護から悲しい事件も発生する。

  そこに今般改定された介護保険制度が重なる。要介護度が「2」以下だと施設への入所は、特例はあるものの蚊帳の外となる。また要介護度3以上にしても、幸いにして介護施設に入所できたものの、費用が払えず在宅で介護せざるをえないというケースも増えている。そこにきて特別老人ホームや介護付き高齢者賃貸住宅がある。今や建設会社や不動産会社までもがオーナーとして参画してきている。入所一時金をはじめとした費用は年金生活者にとつては受容能力を超えるものが多い。しかも入所者に対し介護を強要する「過剰介護」も問題化している。

  NHK・クローズアップ現代「広がる多重介護」(11月10日)がある。そこには92歳と87歳の父母を自宅で介護する実名入りの行川修さん(57歳)が登場する。彼は両親を1人で介護している。訪問医療に携わっている医師は述べている。「1人を介護するだけでもすごく大変なところに2人を介護されるということは、それぞれ症状が違っているところからケアをするポイントも違う。精神的にも肉体的にも大変だろう」と述べている。

  そのことが次の事例となる。彼が父親の痰の吸入をしている最中に、母親はトイレに行く。転倒を心配するが付いてはいけない。彼は述べる。「だいたいは二人のケアは連動して現れるのです。食事をさせている(胃瘻)の最中に、もう一人はトイレを要求する」という具合です。「今こっちやってるから、それは無理、待って」と言えない時があるともいう。

  施設介護への入所は要介護者の介護度によって決まる。また介護者がいるかどうかによって決まる。しかし、前記のような多重介護は対象にならない。しかも両親の介護のために「休職、あるいは退職を決意する」ことも判断の材料にならない。多分、前記の行川さんは年齢から言っても復職は困難であろう。両親を看取った後の彼にどのような人生がまっているのだろうか。深く考えさせられた場面であった。

  総選挙が日程にのぼった。安倍内閣は「介護・医療一体改革法」を成立させた。宇宙で人間が生活できる時代に「姥捨て」があるとはどういうことなのか。

  今般の総選挙を、確実にやって来る「超高齢社会」に向けた私たちの選択を示す絶好の機会としたいものである。

 

 

 

 


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